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箱根駅伝が嫌いだった僕が箱根駅伝を好きになった話


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記事:石塚 勝巳(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「がんばれー!」
「前を追えー!」
「離されるな―!」
 
 
選手が通過するたびに、沿道から大きな声援が飛ぶ。
 
 
お正月の定番である箱根駅伝。
生まれも、育ちも、今も小田原に住み、家の目の前が駅伝のコースになっている。
そんな環境で育ったからこそ、僕の中で1月2日と1月3日の定番コンテンツとして、
確立された。
 
 

だが、昔は悪い意味で確立されていた。
そう、箱根駅伝の良さがまったくわからなかったし、むしろ嫌いでもあった。
どんなスポーツでも、観るのもやるのも好きだった。
 
 
ただ、箱根駅伝だけは、あまり好きになれなかった。
理由は3つある。
 
 

1つ目は、僕が「走る」こと自体に楽しさを見いだせなかったからだ。
長距離を走っていても苦しいし、走り終わっても苦しい。体も重い。
それ以上の感情は一切なく、楽しさを感じられなかった。
走っている選手を見ても道中は苦しそうだし、ゴールをしても倒れ込む選手もいる。
そこに、どんな楽しさがあるのか、理解ができなかった。
 
 
2つ目は、連覇が続きやすいからだ。
○連覇みたいに、その大学ばかり、何年も何年も、優勝し続けると、だんだんとアンチになってしまう僕がいた。
選手も監督も大学も何1つ悪くない。
むしろ、何世代に渡って、勝ち続けるという、最高難易度に挑戦し、
成し遂げているのだから、ものすごい。
だけど、あまりにもその大学ばかり勝ち続けると、「なんとなく」面白くない。
この「なんとなく」が厄介で、明確な理由があるわけでもない。
 
 
3つ目は、交通規制がかかるからだ。
選手の安全を考えたら、交通規制をかけなくてはならない。これは当然だ。
交通規制がかかることが知っているから、どこかに出かけるとしても、その時間や場所を外して計画を立てればいいだけのこと。
困るのは緊急のときだ。
子供が急に体調を崩して、休日診療所へと行かないといけない時に、交通規制がかかると思うように進めない。
さらに、観戦マナーが悪い人もいる。困るのは観戦を追えた後の帰り道だ。
 
 
スマホを見ながら帰る。
道路にはみ出しながら帰る。
ときには、道のど真ん中で立ち止まる。
 
 
だが、僕が嫌いな理由をよくよく考えてみると、
箱根駅伝そのものが嫌いじゃなかったことに気づいた。それが、数年前のことだった。
それ以来、僕の見方が変わった。嫌いだったものが好きへと変わっていた。
 
 

1つ目に関しては、年を重ねていったという要素もあるかもしれない。
走っている選手に対して、「きっと、こういう想いで走っているのだろうな」とか、思い浮かべながら観るようになったら、自分のことかのように思えてしまい、何度も感情移入してしまう。
 
 
2つ目に関しては、「大学」や「連覇」というところだけ見ていたからかも知れない。
もっとミクロに、選手個人を見ていったら、面白いポイントや感動ポイントが多かった。
 
 
3つ目に関しては、そもそも箱根駅伝が悪いのではない。
この人たちのマナーが悪いのだ。
 
 
箱根駅伝の面白さを一言でいうと、「人が織りなす脚本のないドラマであること」だ。
 
 
仕掛けどころや他の選手との駆け引きも、
あまり注目を浴びていなかった選手が素晴らしい走りをすることも、
とてつもないパフォーマンスを発揮した走りもゾクゾクしてくる。
 
 
「最下位で受け取ったタスキを○○人抜きして、ここまで順位を押し上げました!」
こんな、実況を聞きながらその走りを見たときには、ゾクゾク感がハンパない。
 
 
それから、選手たちが必死にタスキをつなげていく姿に感動ポイントがある。
交通規制を最小限にするために、タスキの受け渡しに時間制限が設けられている。
たとえ、どんなに受け渡しまで、あとわずかだったとしても、
この制限時間内に渡せなかったら、つないできたタスキは途切れてしまう。
仲間の汗と想いが染み込んだタスキを繋げなかった時の悔しさは計り知れない。
 
 
また、「箱根駅伝」に出場できることすら、感動ポイントになる。
来年の箱根駅伝出場に関して、上位10校には出場が確約されるシード権が与えられる。
10位と11位の間には、とてつもない壁がある。谷がある。天国と地獄くらい差がある。
たとえ、10位と11位の差が数センチメートルだったとしても、非常だったとしても、
そこには明確に順位が決まる。
シード権を獲得できなかったチームは、来年の秋にある予選会に出場しなくてはならない。
関東の何校もある大学の中から勝ちをもぎ取って来なくてはならないのだ。
これも次の世代へと箱根駅伝のタスキをつないでいくということなのだろう。
 
 
僕は本気になっている人が好きだ。
本気になって、箱根駅伝を走る選手たち。
彼らはすごくかっこいいし、応援したくなる。
彼がつくる再現性のないドラマが感動を呼ぶ。
彼らたちが、コンテンツそのものとなっている。
 
 
ライティングゼミでは、コンテンツとは、『お金と時間を費やしても良いもの』と定義している。
 
 
1日7時間もの時間を箱根駅伝に費やしていた僕。
労働時間とほぼ同じ時間を箱根駅伝に費やしていることになる。
ならば、箱根駅伝は圧倒的なコンテンツということではないだろうか。
 
 
そして、箱根駅伝のスポンサー企業のCMもいい味を出している。
特に、ビールメーカーCMは釘付けとなってしまった。
『大人のエレベーター』のCMと『今年の箱根駅伝』のCM両方とも素晴らしいCMだった。中継の合間に入るCMは他チャンネルへ変えるいい機会なのだが、今年はそれすらもさせてもらえなかった。
 
 
今年もたくさんのドラマがあった箱根駅伝。
結果としては、青山学院大学が歴史的な新記録で優勝を飾った。
来年も1月2日と1月3日に行われる。
どんなドラマが待っているか、僕はもう待ち遠しい。
 
 
来年の箱根駅伝はあなたと感動を共有したい。

 
 
 
 
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2020-01-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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