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あなただけがハラスメントをしていると言われる理由

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:tosi(ライティング・ゼミ 冬休み集中コース)
 
 

「これをやったらハラスメントになるんじゃないだろうか……」などと悩まない生活を送りたい。
そう思ったことはないだろうか。
 
 
「実は契約社員の女の子からセクハラだと言われてしまいまして……」
それは、私が講師を務めるハラスメント防止研修での受講生の一言だった。
「仕事も大体二人でしていたし、ここのところずっと残業につき合わせてしまっていたから、お礼も兼ねてご飯に誘っただけなんですけどね……」
事情を説明しようにも、契約社員の女性は連絡を一方的に断っているらしい。
上司には説明したが、
「相手がセクハラだと言ってるし、こっちで話はうまくまとまってるから何もしないで欲しい」と言われたそうだ。
 
 
果たして、この人は本当にハラスメントをしたと言われるべきなんだろうか。
答えはYesだ。
なぜなら、相手がハラスメントだと感じているから。
ハラスメントの怖いところは、基本的に「相手がどう感じるか」に依存していることなのだ。
 
 
ハラスメントとは「嫌がらせ」を意味する言葉だ。
セクハラというフレーズは平成初期から使われていて、決してハラスメントという言葉は最近の「ぽっと出」ではない。
昔から、意識はされてきている言葉。
ただ、2019年5月にパワハラが法で定義されるなど、どんどん熱を帯びてきている言葉でもある。
 
 
最近では日常でもハラスメントに注意が必要になってきている。
「もっときれいにお皿を洗いなさい!」
これは、家事ハラスメント(通称カジハラ)に該当する。
 
 
外食にも注意しなければいけない。
ずっずずズっ……ちゅるん。
麺をすする時の音もNG。
ヌードルハラスメント(通称ヌーハラ)と呼ばれている。
 
 
今類型化されているハラスメントは実に35種類もあって、あらゆることが人の嫌がることだと定義されてきた様子を感じる。
嫌だと思う人がいる限り、これからも様々な聞いたこともないハラスメントが登場していくに違いない。
 
 
自分だけが我慢するのではなく、「嫌なこと」を、しっかりと伝えていくことができる環境があるということは、とても良いことだと思う。
生きにくい世の中だなあとも感じるけれど、「嫌なこと」という切り口から、一人ひとりが認められるようになっているとも言えるのではないか。
 
 
一方で、同じことをやっても許される人がいるのも事実だ。
「俺はハラスメントなのに、あいつがやったら何も言われなくて悔しい」
「どうせイケメンに限るってことでしょ」
みたいなこと経験はないだろうか。
私はある。
 
 
「マネージャーに着こなし褒められてちょっと嬉しくなっちゃった」
喜んでいるのは私の仕事仲間。
皺が無い暖色系の落ち着いた服、首元、耳元には寂しさを感じさせないアクセサリー。
決して主張しないけれど、相手に対して最大限の身だしなみを心がけているという雰囲気の方。
私はその時、ふと思って聞いてみた。
「もし、マネージャーじゃなくて上司に全く同じこと言われたらどうなん?」
聞くや否や
「いや、あいつはダメでしょ。きもいしセクハラじゃん?」
「そうだよねー。あいつは無い」
上司涙目の突っ込みだった。
「でもさ、マネージャーって別にイケメンとかじゃなくない? ぶっちゃけほとんど会わんし、月2くらいで見るかなーくらいやん?」
「でもその2回で、毎回気を使ってくれるし、相談乗ってくれるよ」
 
 
別の機会に、マネージャーにも聞いてみた。
「毎回気を使って下さって助かります。疲れないですか?」
マネージャーはいつもの笑顔で答えてくれた。
「そりゃ疲れるよー。私の担当は区を跨いでるし、人の入れ替わりも激しいし。別に私は気を使ってるつもりはあんまりないんだけどね。月に1回か2回しか来れないし……ところで最近は仕事慣れた?フロアが変わっただけだけど困ったことがあったらいつでも言ってね」
流れるように、気を使われてしまった。
相手のことを常に考えている。言葉に出す。それが習慣になっている。だから、許される。
マネージャーはイケメンではない。
ただ、「この人だったら許せる」と思ってもらえる環境を、常に自分から作り出している人だった。
 
 
ハラスメントに悩まない生活は、相手への配慮からだ。
この人は何を思い、何を望んでいるかを考えただけじゃ全く足りない。
人には、言葉や行動を通してしか伝えられないのだから。
 
 
まずは変えたいことを見つけよう。
小さいところからでいい。
一番いいのは、周りに聞いてみることだ。
自分で見つけた変えたいところより、誰かが教えてくれることの方がよっぽど相手に配慮していると私は思う。
だって、相手が嫌だと感じているところを直すのだから。
もし直らなくても、わざわざ聞いて努力するということ自体が、私ならとても心地よい。
 
 
私には、仕事に集中している時に話しかけられるとものすごく不機嫌で攻撃的に見えるという弱点があった。
人に言われてようやくわかり、今も努力している。
今も直りきってはいないが、やってしまったと感じたら即謝りに行くし、そうならないように気を付けている。気を付けているから、自分で気が付く。
「ちょこちょこ謝りに来るところが子どもみたいでかわいいですよね」
子どもってなんだよと思いはするが、不快にさせないようにはなってきたようだ。
 
 
「思考、言葉、行動、習慣、性格は全て、自分の運命に結びついている」
と、マザーテレサは言った。
 
 
些細な行動に向き合った私は、現在ハラスメント研修の講師という運命に巡り合っている。
 
 
あなたなら、どこから運命を変えていきますか?

 
 
 
 
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2020-01-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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