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中堅看護師が白衣の天使というイメージをぶち壊す


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:のの(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
あなたは「白衣の天使」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。私の友人男性は優しく包み込んでくれそうとか、笑顔で励ましてくれそうとか言っていました。世間のイメージも私の友人男性に近いように思います。
 
私の職業は看護師です。22歳で看護師になり、職歴は10年を超えました。看護師を10年以上して分かったこと、それは「世間がイメージするような白衣の天使なんていない」という事です。「看護師=優しい白衣の天使」というイメージを持っている方、申し訳ありません。
 
新卒の頃の私は例えるならポケモンの「ヒトカゲ」でした。初々しく今より可愛げがあり、世間のイメージのような白衣の天使になるんだ、という熱い気持ちを持っていた私は、冒険に出たばかりのヒトカゲだったのです。同期も皆そうでした。しかし、配属された部署の先輩看護師の中にヒトカゲは一人もいませんでした。看護師は患者さんの命やその後の人生に大きな影響を与える仕事です。理不尽な思いをしたり、辛い思いをしたりすることも多いです。いつまでも可愛いヒトカゲのままではやっていけません。
 
看護師は経験を重ねるごとにレベルが上がり、進化していきます。可愛いヒトカゲでいられるのはせいぜい2年目ぐらいまででしょうか。必ずリザードに進化し、最終的にはリザードンへと進化します。
 
あなたはリザードンを天使だと思えるでしょうか。表情鋭いドラゴンのような見た目、すべてを燃やし尽くすような炎を吐くあのリザードンを天使と思える人はいないのではないでしょう。残念ながら看護師はリザードンになっていくと思っておいた方が良いです。ただしこれはメンタル的なことであって外見がリザードンになるという事ではありません。
 
看護師は経験を積むごとに気が強くなっていきます。新人の頃、大人しくて花のように可愛らしかった子も、経験を積むごとに敵に回すとヤバいなと思わせるぐらい強くなりました。「白衣の天使=とにかく優しい」というイメージは全く当てはまりません。
 
ここで訂正しておきますが、私は「看護師は優しくない」と言っているわけではありません。どういう事情があるにせよ、看護師という人に寄り添う仕事を選んだのですから、優しい人がほとんどです。ただ、白衣の天使の優しいというイメージには、「なんでもしてくれる」「無理を言っても何とかしてくれる」など、「甘やかしてくれる」という意味を含んでいると感じることが非常に多くあります。看護師は経験を積むごとに優しさを「厳しさ」という形で表現するようになります。その方が結果的に患者さんのためになりますからね。リザードンは甘くないですよ。甘えてこられると火炎放射を吐くこともあります。
 
看護師は天使ではありません。経験と共に火炎放射を吐くリザードンになります。10年以上看護師をしている私が言うんですから間違いないと思って下さい。もしかしたら看護師に対する夢を完全につぶしてしまったかもしれませんね。
 
しかし考えてみて下さい。リザードンが味方についたら心強くはないでしょうか。リザードンはあなたを必ず支えてくれます。厳しい言葉はあなたを思っているからこそ出てくるのです。逆に怒らせたら怖いという事も忘れないで下さいね。
 
もし、あなたが今から看護師を目指すのであれば、看護師は必ずリザードンになる、必ず強くなると考えておいて下さい。世間の甘やかしてくれる白衣の天使像に応えようとする必要はありません。応えようとすると自分が辛くなってきます。
 
因みに私は今までリザードンを例に出してきましたが、実はリザードンにならない看護師も少なからずいます。そういう看護師は、初めから「カビゴン」なのです。とにかく動じず、どんな時もマイペース、そして初めから強い。カビゴンも甘やかしてはくれません。ただし、リザードンほどの激しさもないです。そういう視点で看護師を見てみると面白いかもしれませんね。
 
私は看護師10年越え。もうヒトカゲではありませんが、リザードンにもなれていません。まだまだ経験不足です。同期たちの中には役職がついたり、資格を取ったりしてリザードンに進化している人もいますが、それでもまだ進化したばかり。私たちはこれからもレベルを上げ続けさらに強くなっていくでしょう。
 
冒頭に出てきた私の友人男性ですが、私を含め何人かの看護師と関わり、「看護師は気が強い。怖い。天使なんかじゃない」と怯えるようになりました。しかしながら彼は看護師と結婚し、奥さんの尻に敷かれながら幸せに暮らしています。
 
この話を最後まで読んでくれたあなたはもう看護師を天使なんて思わないでしょう。夢を壊してしまったかもしれませんが、夢を見たまま看護師に近づくと大やけどしてしまう可能性がありますからね。看護師はただ優しく甘やかしてくれる存在ではなく、あなたを支える心強い味方です。天使ではなくリザードンだと思って頼って下さい。必ずあなたを支えますからね。
 
 
 
 
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2020-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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