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サボテンをブクブクして学んだこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:花ちゃん(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
みなさんは、どんな趣味をもってますか?
私は、パソコン、ゲーム、アニメ、日曜大工。
でも、ひとつ、なぞの趣味があるんです。
 
それは、「サボテン」
 
特別、植物が好きな訳でもないし、
どちらかといえば、
にぎやかな都会の風景とか、精密な機械とか、
人工的なものに、心おどる性格だというのに。
なんで、サボテンなんだろう?
 
思い返せば、始まりは小学5年生。
修学旅行の行き先は、伊豆のシャボテン公園。
ガラスばりの巨大な温室の中には、
大小、色とりどりのサボテンが植えられて、
荒野の楽園が広がっていた。
 
おみやげに選んだサボテンは、
「金晃丸(きんこうまる)」という品種。
柱サボテンだけど、ふっくらと丸めの輪郭。
緑の肌と、全身に黄金のトゲ。
トゲは、とっても、やさしく、やわらかい。
そっとなでれば、心地よい指先への刺激。
 
おみやげの、サボテンくんは、どうなったでしょう?
小学生の男の子が、まともに面倒をみれる訳もなく、
放置されるのは、自然のなりゆき。
本棚の暗やみにおしこまれ、最後は、胴体がへこんで、
ふにゃふにゃと、しぼんで、お亡くなりに。
 
「かわいそう……」
 
子供ながらに、めちゃくちゃ強い、罪悪感。
乾燥に強い、サボテンを枯らしてしまうなんて、
僕は、なんて、なんて、ダメなやつ……
 
そして、歳月が流れ、
大人になった私は、サボテンくんの事なんか、すっかり忘れ、
まじめに働き続けていた。
ある日、仕事にかかわる商品のパンフレットを受け取った。
なにやら、おまけの販促品がついている。
 
「!!!!!」
 
なんと、「きんこうまる」のミニサボテン。
ビーズっぽい土に、のりで固められていて、
なんだか、とってもかわいそう。
すぐに救出作戦が始まった。
書店の、多肉植物の本を参考に、
水はけのいい土に植え変えたけど、
なんだか、いまいち元気がない。
 
そんな、ある日の、ネットサーフィンで、
「サボテンの水栽培」という情報を、発見した。
球根と同じように、根を水につけるだけで育つという。
サボテンに水とは、なんとも常識はずれ。
失敗する可能性も高そうだ。
 
ネットの情報をもう一度、冷静に分析しなおした。
どこかの国立大学で、まじめに研究されているホームページが存在する。
岐阜か名古屋のサボテン農家で、実際に行われている方法である。
金魚を飼うように、ブクブクで、水に空気を送り込むと、
根が腐らずに成功しやすい。
 
「よし。この方法にかけてみよう」
 
キャンドル用のガラスキューブを買ってきて、
サボテンが立って水につかるように、
もちまえの図工能力でオリジナルの台を作り上げた。
栄養は、観葉植物の液体肥料をときどき投入。
こうして、世にも奇妙な園芸が始まった。
 
しばらくすると、サボテンくんが、
目に見えて、元気になっていくのが、みてとれた。
表面の色つやもいい。
水の中に、どんどん根をのばすサボテンくん。
そのけなげな様子は、なんだかとっても癒される。
サボテンは水がキライだって、
はたして、だれが決めたのか。
はっと気づかされた。
 
何年もかけて、サボテンくんは大きく成長し、
やがて、根本から、何匹も、小さい子供がわいてきた。
子供を切り取って、水につけたら、
うまく根っこが生えてきた。
次々と生み出される、水栽培の、新技術。(笑)
 
いつしか、水サボテンの家族は、3種類に増えていた。
ある時、その1つに、突然きれいな花が咲いた。
普段、もの言わず、おとなしい存在だというのに。
信じられない、まさかの変身。
花に、勇気をもらったのかは、しらないけれど、
その年、私は仕事で独立することを決心した……
 
以上、私の、奇妙なサボテンとのつきあいを、語ってしまいましたが、
分析してわかったことがあります。
それは、「サボテン」は、「野球」 だってこと。
このままでは、意味不明ですよね。
言い方を変えますね。
「野球道」、「野球魂」としたらどうでしょう?
野球少年には、野球に、
幼少の思い出、すばらしい友達、教訓などが、いっぱい、つまっています。
私には、サボテンに、同じものが、同じように、つまっていたのです。
 
体育はダメだけど、図工の能力がすぐれていた、私には、
「サボテン道」が、お似合いだったわけですね。
サボテンをブクブクする事で、
人生を学ぶ、だなんて、ちょっと笑えるお話だけど、
自分らしくて、とってもいいかな。
 
愛情、工夫、継続、忍耐、自己主張、燃える心。
サボテンから学んだことはいろいろあるけれど、
私のなかのイチオシは、
「世の中にあふれる情報を、しっかり選んで、行動に生かすこと」
現代は、テレビ、新聞、インターネット、スマホなど、
情報は洪水のように、あふれかえっています。
その情報が、うそかホントか、頭の中で戦わせて、
自分の経験も、しっかりと、おりまぜて、
正しい答えを見つけだす。
この能力が、とても大切だってことですね。
難しい言葉で、
「メディアリテラシー」っていいます。
この力をみがけば、だれでも、最高の結果に、たどりつけるでしょう。
 
サボテンと関わることで身についた、
すばらしき、私のメディアリテラシー能力。
今の仕事や生活に、しっかり、がっつり、生かされています。
ほんとうに、ありがとう。サボテンくん。
 
今年の夏、15年間、水栽培を続けた、「きんこうまる」のきれいな花が咲いたのでした。
 
 
 
 
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2020-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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