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メディアグランプリ

「普通」という名の呪縛


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡辺みゆき(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「“普通にしろ”って何? “普通”の意味がわからない!」
 
私は「普通」という言葉が大嫌いだ。
なぜなら、私の人生を狂わされたからだ。
 
私は幼少期から「変わってるね」とよく言われていた。
集団より1人が好き、人形遊びよりロボット遊び、気遣いのない言動。
 
「普通」とは、平均的とか多数派とも言い換えられる。日本社会は「みんなと同じ」や「普通」や「平均」が最大勢力で、安全地帯だ。
 
私が小学生だったある日、親から「女の子は1人ではなく、集団で過ごすのが普通だ」と言われ、全く仲良くもない女の子の集団に放り込まれた。しかし私は、女の子たちから鋭い目線と悪口を浴びせられ、居場所を失い、涙をボロボロ流しながら家に帰ってきたのだ。
 
しかし親は、私をなぐさめるどころか「泣くな! もう一度一緒に遊んできなさい!」と、追い返した。
 
私は、身も心も完全に打ちのめされた。
 
「普通」とは、そんなに正しい存在なの?
「普通」は、そんなに偉いの?
「変わった子」は、そんなに悪いの?
 
私は、「普通になりたい」と願うようになった。普通の人になれば楽になれるはず。そう考え、多数派の人々の行動をマネたり、意見に従っていた。「普通」の仮面をかぶり、本来の自分を消す必要があった。
 
息子が生まれてからは、さらに「普通」に対する意識が強まった。多くのママは、ママ友の集団で行動してる……それが「普通」なんだよね。
 
ある日の、学校の保護者会議。
 
「Aさん宅の息子さんが〜」
「Bさんのダンナさんが〜」
「Cさんって離婚するらしいよ〜」
 
ママが集まれば、興味のないトークが繰り広げられる。この雰囲気はやっぱり苦手だ。
この場でもママの集団に馴染めない私は、「渡辺さんって変な人ね〜」と鼻で笑われてしまった。
 
もう、うんざりだ。
身近に変な人がいて、どうにかなるのか。
あなたに迷惑はかけていないはず。
もう、放っておいて欲しい。
 
保護者会議が終わるや否や、ママ友の集団から飛び出して自宅に帰り、ソファーに身を投げ出す。
 
「はぁ〜〜」
 
心の中に溜まったモヤモヤを吐き出すように深呼吸して、テレビをつけた。当時話題になっていたドラマ「下町ロケット」だ。
 
実は、下町ロケットの舞台になっている会社には、モデルがあるらしい。保護者会でのママ友トークで話題になっていた。そのモデルになっている会社の社長、植松努さんの講演が、感動のあまり号泣する人が続出するほどの人気だとか。
 
「多くの人を号泣させる植松努さんって、どんな人だろう?」ネットで検索すると、「TED(テド)」というサイトがヒットした。
 
TEDは、世界中の著名人による、さまざまな講演会を開催・配信している。過去にはビル・ゲイツや、スティーブ・ジョブズが登壇したこともあった。植松さんの講演動画は、450万回も視聴されている。視聴回数ランキングでも上位で、日本人ではトップだ。
 
20分程度の、植松さんの講演動画を試聴してみた。見た目は町工場のオジサン(すみません)。決して派手なパフォーマンスがあるわけでもない。しかし、植松さんの今までの人生で培った深い人間性と人柄、想いが、シンプルな言葉に乗って伝わってきた。
 
たった20分で、胸が熱くなるほどの内容。これはスゴイ……。
 
さらに植松さんについての情報を探すと、近辺で講演会の予定があるとのことだった。120分の講演だが有料だ。今まで有料の講演会に参加したことはない。でも、号泣するほど感動できる講演会は気になる。迷ってる間にも「残席わずか」。これは行かなきゃ! 気がついたら参加ボタンを押していた。
 
講演会当日、会場には親子連れが多かった。赤ちゃんを抱く人もいた。小学生や中学生、教師、高齢の方もいた。開場時刻直後から席は埋まり、10分ほどで700席が、ほぼ全て埋まった。
 
植松さんが登壇した。前置きもそこそこに話し出す。
 
植松さんの幼少期からのエピソードが、子どもにも分かりやすい言葉と、シンプルな表現で語られる。時折クスッと笑えるエピソードも挟まれる。大人の心にも、ストーンと入っていった。私の心にも、植松さんの話が、言葉が、次々と積み重なってきた。
 
そして、この言葉が私の心に深く突き刺さった。
「違うってステキ!」
 
違うことが素敵。ナニコレ……こんな言葉、聞いたことない。
私の心の中でギチギチに絡まっていた鎖が、バキーーン!! と粉々に砕け散った。
気がついたら、私の目から涙があふれていた。
 
あっという間の120分だった。
講演会が終わってからも、私は呆然としていた。
 
帰宅後、植松さんの言葉を忘れないよう、思い出せる限りノートに書き留めた。
 
この日から、私の心に大きな変化が訪れた。私に向けられた「変だね」の言葉も、誇らしく感じられるようになった。そうだ、元々人は、一人一人違うはずなのだ。なのに「普通」であることを求められる。「普通」とは恐ろしい。
 
私にとって「普通」は、呪縛だった。「普通」という言葉に、感情も行動も縛られていた。不甲斐ないことに、30年以上縛られていたのだ。しかし、私を呪い、縛るにまで追い込んでいたのは、私自身だった。そのことに気づいてからは、自由を噛みしめるかのように、がむしゃらに動き回った。
 
そんな私だが、今は起業家としての道を歩み始めている。
起業家になろうと思った理由は、たった1つ。「普通の人と何か違う」と悩み、苦しんでる人の力になりたいからだ。
 
「人と違うって素晴らしい!」
 
この言葉を、多くの人に伝えたい。
呪縛から解き放たれた人は、さらに強く、大きく羽ばたけるのだ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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