メディアグランプリ

ライティング・ゼミが教えてくれたもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:久田 一彰(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「このコースは、ハードモードとなっております!」
冒頭にこんな説明を受けた。
 
天狼院書店が開催する、「ライティング・ゼミ」というものがある。
通常は4ヶ月間のコースだが、超短期の4日間集中コースがあり、その冬休みコースに私は参加している。
 
小説家になるわけでも無く、ライティングがどういうものかよく分からず、ただ何となく受けてみた。
作文は昔から得意ではなく、父から「よく本を読め、だからおまえは亀の様にコツコツ出来ないんだ」と怒られていたから、参加するにあたり、何に惹かれたのかも分からない。
 
4日間講義を受け、毎日の課題として、9日間記事を書く。
文字数は2000字、つまり400字詰め原稿用紙を5枚分だ。
根拠となる自信はないが、なんとなく書けそうな気はする、と楽観視していた。
まるで「うさぎとかめ」のうさぎだった。
 
初日の講義後、友人に会うために大阪へ移動していた。
「締め切りまでまだあるし、移動中の新幹線で書けばいいか」
駅弁をゆっくり食べ、新幹線の旅を続ける。
途中ノートに書けそうなことをいくつか並べて、そこからチョイスする。
「よし、清書はホテルに着いてから仕上げよう」
しかし、ここで楽観は少しの不安に変わる。
1時間ほどパソコンへ打ち込むが、タイピングが進まない。
残り800字を残して、友人との約束の時間が迫る。
気分転換になるかと、友人と会って食事をする。
楽しい時間はあっという間、そして酔いの勢いに任せてホテルで続きを書こうとした。
だが、なかなか書くのが進まない。
結局締め切り予定の23:59に提出出来ず、1時間程過ぎてようやく提出したのだ。
「まあ、間に合わなかったが、提出出来たからいいだろう」と思っていた。
 
しかし、翌日返ってきた返事は、「締め切りを過ぎているので、受付はしない」という。
締切りは必ず守らなければいけない。
「でも年内まだ時間あるからいいか」と、心のどこかで思っていた。
翌日はきちんと提出出来たが、掲載にはならなかった。
そして、その翌日もOKにはならず、とうとう、記事は掲載になることはないまま、年を越した。
 
大晦日・正月はなんとかネタを確保し、書き上げなければと思いながら過ごした。
食べたもの・好きな音楽・時事ネタ・友人のこと。
ショッピングモールや街中を歩く度に、記事に出来そうな物はないか、人の会話からヒントはないか、必死にネタを集めていく。
 
1/4から課題提出が再開になったが、次の日も記事が採用されることはなかった。
そして、冬休みが明け、仕事が始まる。
初日からトラブル・クレーム。
いつまで経っても帰れない。
イライラは増える、書く時間は減る。
 
一方で、他の参加者はどんどん力をつけ、記事として掲載されていく。
読んでいた私の心は、悔しさ・不安からやがて焦りに変わり、そして妬み・絶望へと変わっていく。
 
今日も課題を提出する。
しかし返ってきたコメントは、「またのチャレンジお待ちしております」だ。
何度このコメントをみたことか、記事はまたしても掲載されなかった。
もう7回落ちたことになる。
 
帰りがけ気分転換で本屋に入り、ある本に目が止まった。
原田 マハ著『本日は、お日柄もよく』だ。
気分とはまったく逆だ。
そういえば、薦められていたな。
何かヒントにあるんじゃないか、読んでから考えてみようと、家に帰って読み始める。
部屋の中が寒いが、もう少しキリの良いところで、暖房つけよう。
するとどうしたことか。
読む手が止まらない。
読み進めて行く内に、ぐいぐい物語に引き込まれる。
言葉に一喜一憂していく。
時にはうるっとくる。
笑う。
泣く。
そして共感する。
いくつもの感情が、ぐるぐると自分の中で嵐の様に巻き起こっているのだ。
 
終わった瞬間、「何だ! 何だ! 何だこの本! すごい!」とソファーから勢いよく立ち上がった。
思わず本から手を離した。
「そうか、これが本のすごさだ。言葉のすごさなんだ。ライティングのすごさなんだ。
書き続けたからこそ、本のすごさが分かるんだ!」
 
そして、この感覚が分かり、その勢いで8回目の提出に挑む。
結果、本日初めて記事が掲載されることになった!
待ちに待った「WEB天狼院書店にアップします」だ。
「やったあ、やった」
喜びが思わずあふれる。声が出る。にやける。笑いが出る。
本当に毎日続けてやってよかったと心から思う。
 
今の時代、何でもすぐに手に入る。
それこそ欲しいものはネットを使い、ボタンを押すだけで、明日には手元に届く。
でも体得するまでに時間のかかるものもある。それがライティングだ。
掲載されるまでは、きっと何度も何度も書かないといけない。
コツコツネタを集めては書く、書いては書き直し、直しては書く。
掲載されなくても次を書いて、また提出する。
極めていくには、とことん追求することで得られるものがあるのだ。
 
父が言っていた、「亀になれ」
そうか、亀はわたしだ、ゆっくり歩めばいいのだ。
ゆっくり、そして書き続けていくのだ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/event/103274
 

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2020-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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