お米とおっぱい、どっちを選ぶ?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:星永俊太郎(ライティング・ゼミ日曜コース)
『お米とおっぱい。』
そんなタイトルの映画があったら、どう思います?
なんだそりゃ? と思いますよね。
番組紹介の文章を見るとさらに謎が深まります。
「日給10万円のちらしを見て集まった見ず知らずの男性5人。彼らがすることは唯一つ。『お米』と『おっぱい』どちらかが世界からなくなるとしたら、どっちを残すか? それを全員一致で決めること」
え? どういうこと? 「お米」と「おっぱい」はまったく別物で比較できるものじゃないよね? でも、男性5人で決めるってことは、「おっぱい」に決まるまでをおもしろおかしく描いたコメディ映画なんだろうなって思いました。
でも、見始めたらこれ全然「笑い」ないんです。いや、おもしろいんですよ。そもそもシチュエーションが滑稽ですからね。でも、思ってたようなコメディでは全然なくて、男5人が超絶ガチンコで議論を交わしてるんです。
「お米は日本人の心だろ!」って大声を出す昭和の頑固親父みたいな人、「お米がなくなったら、何%の飲食店がつぶれて、日本経済に何%の打撃を与えるからお米を残すべきだ」と主張する理屈っぽい人。一方「おっぱいは未成年男子にとって、合法ギリギリのエロであり、これがあるからこそ、未成年男子の暴走が食い止められているんだ」と主張する真面目な青年までが、真剣に議論しています。
全員の意見が一致すればこの議論は終了するので、もういいやって意見を合わそうとする人も居ますが、そんなのじゃ納得しない、納得しない限り自分の意見は曲げられないって人もいるため収拾がつきません。
何度も何度も話し合いが行われ、そのうちに「じゃあ、川に『お米』と『おっぱい』が溺れてるとして、どっち助けます?」なんてよくわからない思考実験まで登場してきます。
途中までは、「大の大人がくだらないことで議論してるなあ、どっちでもいいじゃん」と思って見てたのですが、ついに激昂したお米派の昭和の頑固親父が、おっぱい派の真面目な青年を殴りつけます。
それでも意見を曲げない真面目な青年を見ていて、あることを思いました。
「私は、この状態で、ここまでされても自分の意見を貫くことができるだろうか……?」
私はこれまで、人とぶつからないこと、場の空気を悪くしないことを心がけて生きてきたように思います。大したことじゃないのなら、自分が少しがまんしたらその場が収まる。自分に悪影響を及ぼすようなことならば反対意見を言うことはできるが、相手が折れないもしくは高圧的に向かってきた時に、自分の意見を曲げずに貫き通すことができるのだろうか……いや、できない。
そう思った時に、おっぱいについて熱く語っている真面目な青年のことが、すごく眩しく見えたのです。
そして、自分の意見を曲げないこと以上に、彼のすごいところは、データによらず、自分の頭で考えたことを語っているところです。「生まれた時に最初に口にするのはおっぱいですよね? じゃあ死ぬ直前に欲しいのはお米ですか? おっぱいですか?」なんて、心を揺さぶる言葉を次々に繰り出してきます。「詭弁だ、君の発言はデータに基づいてない!」と言ったお米派に、彼は言いました。「僕は、専門家じゃないからデータは持っていません。でも、僕には自分で考えることが出来る、この頭があるんです」
この発言を聞いたときにもショックを受けました。私は果たして自分の頭で考えているのだろうか? 誰かが言っていた、本に書いてあった、テレビで言っていたことをそのまま鵜呑みにしているだけで、自分の頭でそもそも考えることをしてるのだろうか? 誰かが言ったことをそのまま信じることは楽だ。自分の脳みそを働かすのは疲れるし、ストレスも掛かるかもしれない。でも、自分で考えるからこそ次々と考えを広げていけるし、考えに深みがでてくるのではないだろうか。
おっぱい派の真面目な青年が次から次に新しい論を繰り広げていくのに対して、お米派はひたすらに同じ言葉を繰り返すことしかできませんでした。
でも、この映画、自分の意見を貫くことだけが正しい、と主張しているわけじゃないんです。集まった5人はそれぞれに抱えている問題がありました。例えば、昭和の頑固親父であれば、家庭に問題があって若いやつの意見なんか聞きたくない、という心の前提があったり、女性と問題があるために、どうしてもおっぱいを認められない人が居たり。それが何度も議論してぶつかってるうちに、少しづつ少しづつ心の内を見せ合うようになっていき、自分自身でもその問題に向き合っていきます。
正直、「お米」と「おっぱい」、どっちを選ぶ? なんて、ふざけた題材の映画で、こんなに考えさせられるとは思いませんでした。
「それで、お前は『お米』と『おっぱい』どっち派なんだ?」って?
本当はこんな公の場で言いたくないのですが、この映画で、自分の頭で考えた自分の意見を述べることの大切さ、を教えてもらったのですから、言わないとおかしいですよね。
お米、大好きなんです。私。おかずと一緒に食べる白米、カレーライス、チャーハン、丼、どれも大好きです。でも、食べ物として見た場合には、他にいくらでも食べるものは存在します。一方、おっぱいは唯一無二のものであり、中高生の頃からのあこがれだったので、ここは間違いなく「おっぱい」派です。
映画で、わだかまりを捨てた彼らが最後の最後にたどり着いた結論とは……。
ぜひ、ご自身で確かめてください。
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