メディアグランプリ

夫婦円満のたったひとつの秘訣とは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山下佳代(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「なんでわたしがやんなきゃなんないのよ!」
心の中でそう叫んでいるじぶんに気が付いて、かけていた掃除機のスイッチをオフにした。
午前10時に来客を迎えるための準備をしているときのことだった。
その日、朝から不機嫌なじぶんには気が付いていた。
その不機嫌さをカーペットにぶつけるかのように、ガシガシと乱暴に掃除機をかけていたのだ。
心の叫びは聞こえてきたのはそのときだ。と同時に、愕然とした。
なぜ愕然としたのか。
 
「思考の現実化」や「引き寄せ」と言われる「じぶんが思っていることがじぶんを取り巻く現実を作っている」という量子力学や脳科学をもとにした考え方がある。
その考え方を人生に取り入れていくことで、じぶんの望むような人生に変えていける、ということを伝えるのがわたしの仕事であり、わたし自身も一実践者だ。
 
もしも「今とは違う現実に変えたい」と思うのなら、「思っていること」を変えればいいのだが、実はじぶんが「思っていること」に人はなかなか気づけない。
なぜなら、わたしたちは1日に6万回も思考しているというのだから。
「昨日どんなことを考えたり思ったりしましたか?」と問われて、100個も思い出せるだろうか。
そのくらいわたしたちはじぶんの「思考」に無自覚なのだ。
 
「なんで家事は女性の仕事なのよ!」
男女平等が叫ばれる昨今でも、まだまだ世の中の多くの女性がこんな不満を抱えながら家事を引き受けているのが現実ではないだろうか。
 
ところがわたしの夫は毎朝、出勤前に掃除機をかけてくれていた。
それは何も威張って話せるようなことではなくて、わたしが家事が苦手なうえに、床に多少ホコリが転がっていても気にしないズボラな性分なものだから、テキパキと家事をこなす姑に育てられた夫はしびれを切らしてじぶんでやっていただけなのだが。
 
以前はそれがとてつもなくいやだった。明らかに不機嫌に見える夫のことを、
「家事をしないわたしへの当てこすりだ」と思っていたから。
掃除をしてくれる夫に感謝するどころか、イラつきさえ覚えていたのだった。
 
よく「夫婦は合わせ鏡」と言うけれど、これは単に「似たもの同士」だとか「反面教師」という意味ではなく、「じぶんが出したものがじぶんに返ってくる」という意味でもある。
これは中学校で習ったあの「エネルギー保存の法則」なのだ。
 
あの朝、いつもは夫に任せている掃除機をわたしがかけていたのは、前日から夫が出張で不在で、でも来客があるからやむを得ずだった。
わたしの中で、掃除機をかけるのは夫の仕事になっており、夫がやってくれるのが当たり前になっていた。
だから「あなたがやるべきよ!」「あなたがやってよ!」という不満でいっぱいになってしまったのだ。
わたしは知らず知らずに夫に「やってよ!」と依存し、それを当然のことにしていたのだ。
 
この「やってよ!」という思いがどんな現実を作るのか。
 
「出したものが返ってくるの」のだから、夫もわたしと同じく、わたしに対して「やってよ!」と思うのだ!
 
わたしの「やってよ!」が夫の「やってよ!」になって返ってくる。
これこそが「思考の現実化」であり、「引き寄せ」なのだ。
夫が不機嫌に掃除機をかけて、当てこすられているように感じたのは「おまえがやれ!」と夫に言われている気がしていたからだ。
 
あの朝、そのことに気づいたから、わたしは愕然として思わず掃除機のスイッチをオフにしたのだった。
 
それにしても、日ごろ繰り返し伝えていることを、じぶんもやっちゃっていたのだから、正直「こりゃまいったなぁ」である。
しばし、掃除機を手に持ったまま考えた。
 
こんなときは基本に立ち返るべし。
 
もしも「今とは違う現実に変えたい」と思うのなら、「思っていること」を変えればいい。
「出したものが返ってくる」のだから、「思い」を変えればいいのだ。
 
「そうだ! まずじぶんから『与える』だ!」
 
勘のいい人はもうおわかりだと思うが、
わたしの「与える」が、夫の「与える」になって返ってくるのだ。
 
これ、最初から見返りを求めてやるとうまくいかないので、そこはご用心!
 
これこそ夫婦円満のたったひとつの秘訣だ。
「夫婦とは与え合うもの」
懐中時計の鎖と鼈甲の櫛を贈り合う夫婦のお話「賢者の贈り物」でもわかりやすく語られている。
夫婦関係だけでなく、現実をうまくいかせたかったら、「いつもじぶんから」なのだ。
 
だから、「なんで家事は女性の仕事なのよ!」と思えば思うほど、夫は「きみがやってよ!」と重い腰をあげないことになる。
「与える」と言っても、なにも自慢の髪を売ってこい!という話ではなく、ただ、今あなたがやっていることを、「これはじぶんがやるべきこと」だと思ってやるだけだ。
 
わたしも気持ちを切り替えて、じぶんにできることを積極的にやるようになった。
それまでのわたしは恥ずかしながら本当にズボラなクレクレ人間だったのだ。
 
さて、あの日から2年。
「与える」に徹したわたしたち夫婦はどうなったか、というと……。
わたしは相変わらず家事は苦手なのだが、気が付けば掃除機かけだけでなく、夫が毎朝の食事や休日の昼食も作ってくれるようになっている!
そんな夫のことをもちろん「当てこすり」だなんて思わず、素直に感謝している。
 
 
 
 
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2020-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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