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第2の成長

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡邊 眞也(スピード・ライティングゼミ)
 
 
「あれ? 渡邊さん、背、伸びました?」
お世話になっているトレーナーの言葉だった。
 
もちろん、40半ばの自分の身長が伸びる、という事はない。むしろ今後は縮む方向だろう。
 
過去にも言われた事がある。5年前にダイエットをした後だった。その時は縦横の縮尺が変わったからだった。横が縮んだ分だけ、印象として縦長になった、という意味だった。ただその時は、身長が伸びた、というよりも、痩せた、という印象の方が強かった。背伸びたね、というのは少数意見だった。40歳近い中年男子が半年で15キロ落とせば、言われるのは、「痩せたね」のニュアンスに「何か悪い病気にでもかかった?」が含まれていた。
 
しかし、今回は違う。姿勢が良くなったのだ。
 
縦横という意味では、横にも成長している。巻き込み肩が少しずつ改善しているからだ。正しい位置にすると、正面から見れば「ガッチリしてきたね」という印象になる。それでも、人の体を見るプロでもあるトレーナーからして、背が伸びた、ように見える。
 
大きいのは猫背で頭を体の真上よりも、前に出していたのが、正しい位置にすると、首が長く見える分、全体に縦長に映るようだ。
 
姿勢を直すこと、これをちゃんとやろうとするとけっこう大変だった。
体にとっては、今までの悪い姿勢こそが正しい。何十年も猫背の姿勢でやってきた。だから、猫背を前提として、体が最適化していたのだ。
 
トレーナーに、正しい首の位置、肩の位置を指摘されて、トレーナーさんの手で矯正されても、その正しい位置でキープするのは容易じゃない。キープするための筋肉は、長年使ってこなかったものだ。筋力がない、という以前に使う感覚がない。
 
ここに来て、感覚のズレからトレーナーさんとのコミュニケーションがうまく行かなくなった。トレーナーさんは、体を使うことのプロだから、「〇〇のところを意識して、そこから動かしてください」と指導してくれる。でも、私にはその言葉通りにやろうとすると、うまく行かない。○○は深層筋、俗に言うインナーマッスルなのだけど、そこに意識が行く前に、使い慣れている大きな動かしやすい筋肉で、似たような動作をしようとしてしまう。自分でもイライラして来るのが分かった。
 
「あれ、渡邊さん、うまく使えてるじゃないですか」と、お褒めの言葉をいただく時には、言われたとおりに意識するのではなく、大きな筋肉を使わないように意識したからだった。
 
2ヶ月位、言葉の噛み合わなさが続いた。お互いの理解を整理して納得するのに時間をかけたため、トレーニングの充実度が下がった。それでも、ダイエットの時から、ずっとお世話になっているトレーナーさんなので、信頼関係が出来上がっているから、続けられた。
 
姿勢を習慣とするなら、習慣を直すには新しい習慣で上書きするしか無い。つまり、ジムのトレーニング時間だけでは、足りなかった。日々歩く時、座っているときにも首の位置を気にしていた。姿勢の最終形態になれば、筋力は必要最低限で済むはず。矯正中のうちは、無理やり正しい位置に意識的に持っていく必要があった。頭部という体重の約7分の1の重さを持つものを、首の細い筋肉で正しい位置にキープしようとするから、首が凝った。寒い季節だから、首のこわばり具合がキツかった。
 
更にしんどかったのは呼吸。猫背は気道を圧迫して、空気の通り道が少なくなる。でも、少なくなった状態で最適化していたものだから、自分としては、呼吸が細いとか、しずらい、という認識はない。首を後ろにセットし、それでバランスを取ろうとすると、お腹が前に出てしまう。それを抑えるために腹筋にも力を入れて、いわゆる背骨のS字カーブを美しく作ろうとすると、逆に呼吸が苦しくなる。
 
トレーナーさんは、「苦しくても、トレーニングのときだけでも、これでやってください」と言った。鬼だなぁ、と思いながら、続けた。
 
深く呼吸が出来ないものだから、浅く短い、過呼吸のような状態になる。もしくは、数十秒のトレーニングの間だけは息を止めて、終わったら、また深く呼吸して、次のセットをこなすようにした。「息は止めないで、吐きながらやってください」というような一般的な方法ではなかった。
 
姿勢を良くする事のメリットは大きかった。
 
まずは深い呼吸が出来るようになった。矯正の過程でこそ、呼吸のやりにくさを感じたが今はそれがない。
 
次に重たい首を、姿勢で支えるようになるから、首や肩の凝りも少なくなる。
 
最後に印象の変化だ。首がスッと長く見える、巻き込み肩が直って、堂々として見える。
 
武術の師匠が、「姿勢を良くすることで、脳への血流が改善されて、思考力も向上するよ」、というのはまだ実感できていないが、今後の楽しみに取っておきたい。
 
 
 
 
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2020-01-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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