「不倫がばれるとセックスレスが解消される矛盾につての考察」
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記事:綿谷しふみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
セックスレスは闇が深い。一見、仲がよさそうに見える夫婦だって男と女の関係は終わっており、家族としてただ成り立っているということもある。
「仲良しだけどセックスレスなんです」と嬉しそうに宣伝する人なんてみたことないし、言いふらすことでもない。
お互い納得しているならいいけれど、片方又は両方が不満を抱いている場合いくら仲が良くても幸せなパートナーシップを築いているとは言えないだろう。
ではセックスレスに解決策はあるのだろうか。その前になぜセックスレスになるのかを考えていきたいと思う。
まず理由の1つとして思い浮かぶのは仲が悪いということだ。嫌いな相手なんて顔もみたくないしまっぴらごめんというのは当然のことである。ただこんなの当たり前すぎるので考える必要もない。
それよりも仲良しだけどセックスレスになるという、矛盾する現象について掘り下げることにしよう。
知人に仲良しで有名な夫婦がいる。結婚して20年も経とうかというのにラブラブなのだ。いつも一緒だし、お互いのことは何でも知っているのがご自慢。心の中まで全て見通せると超能力者気取りのふたり。はた目には理想の夫婦像にしかみえない。
けれどそんなふたりにも誰にも言えない秘密がある。
その秘密とはセックスレス。
かれこれもう10年以上もセックスレスが続いているのだとか。ここで1つの疑問がでてくる。家族を持ち精神的に安定していると、性欲がなくなってしまうのか?ということだ。
答えは否。
性欲は人並みにあるのだが、パートナーには欲情しないのだそうだ。
仲の良さが自慢のふたりなのに一体全体どういうことなのだろうか。
なんと、とても意外なことだがセックスレスの原因は親密さが大きく関係しているのだ。
その昔、結婚とは社会的なものであり、愛とはなんら関係がないものであった。
それが18世紀終わり頃から結婚と愛が切っても切り離せないものに変化してきたのだ。
結婚と愛が結び付くとなんとも甘美で素晴らしいもののように勘違いしがちであるが、セックスレスという愛とは矛盾する問題を生み出すことになった。
なぜなら愛とは所有することであり謎や秘密はあってはならないものだと考えられているからである。ここにセックスレスのヒントが隠されている。
性欲とはそもそも非日常的なものであり、刺激と好奇心から湧き上がる。相手をもっと知りたいという欲望。肌を重ねることで一体になったように感じる高揚感。
このことからもわかるように、相手を所有しすべてをわかっていると勘違いさせるような、一見安定しているかに思えるパートナーシップは、セックスととても相性が悪いのだ。
前述した知人夫婦もお互いを所有物だと思っており、独立した個人だとは認めていない。結婚したら一心同体であり全てを知りたいし知るべきであると考えている。
この間違った結婚観こそがセックスレスの引き金なのだ。結婚後も男女として良好な関係を続けていくには、相手の心の中に入り込めない謎があることを認めることが必要なのである。
ロマンティックな感情の炎は、謎という空気が必要不可欠であり密着し過ぎると窒息状態になって息絶える。
では死に体になった欲情を復活させる方法はあるのだろうか。少々荒療治であるがなくはないというのが答えだ。
ある若いカップルは結婚1年程でセックスレスに突入。夫が妻を女としてみることができないというのが理由であった。このふたりも決して仲が悪いわけではなく、仲間内では友達夫婦として名をはせていた。
仲良しなのにセックスレス。誰にも言えない悩みに打ちのめされ、女としての自信をなくしていたある日、彼女は恋に落ちた。
いわゆる不倫というやつだ。褒められた行為ではない。が、彼女は失くしていた女としての輝きを取り戻した。と同時に不倫関係は夫の知るところとなってしまう。
セックスレスであるし不倫まで発覚したわけで通常なら離婚まっしぐらのはず。だけどこのふたりは違った。最初こそもめにもめてゴタゴタしていたが、なんと元さやにおさまるだけでなくセックスレスまで解消してしまったのだ。
このことは決してミラクルではない。十分あり得る話だ。嫉妬が死に絶えた欲情に火をつけたのだ。
そして彼女の女としての価値が夫の中で急上昇したのである。不倫万歳と叫びたいところであるが倫理的問題からやめておこう。
息絶えたロマンティックな欲望に火をくべるのは、不倫だけということでもない。
パートナーに自分の知りえない部分があることを認め、新しい目で見ることで出会った頃のワクワク感が戻ってくる可能性もある。
そして何よりも、結婚したからといって相手のアイデンティティーまで手に入るわけではないこと理解し、縛りあう関係でないことを認めることがセックスレスを回避する方法なのだ。
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