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メディアグランプリ

野菜づくりの経験を人材育成に活かす


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:杉本 知隆(ライティング・ゼミ特講)
 
 
農業は人材育成と似ている。
野菜を育てるのも人材を育てるのも同じだ。なんて言ったら農家からも人事部からも怒られそうだが、これは実際に畑づくりを通じて学んだことである。
 
畑仕事をするようになったのは、ここ5年の話だ。
近所の菜園を借りてやっている。
平日は仕事しているので、週末にまとめて作業している。猫の額ほどの大きさなので、週末だけでもなんとかお世話できる。といっても、作業できるのが週末だけというのは結構辛い。休日出勤しなければならない週もあるし、週末が雨でつぶれることもしばしば。
 
相手は生き物だ。少しでもサボるとシッペ返しがきっちり返ってくる。
 
例えば、昨年梅雨でしばらく畑に行けていなかったときのこと。作業を1週間飛ばしただけだったが、その間にトマトやナスはびっくりするほど大きくなっていた。
大きくなったのなら、良かったじゃん? とならないのが、農業の奥深いところである。
 
トマトは放っておくと、脇芽がどんどん伸びるのでそれを摘まなければならない。脇芽というのは人間で言えば、ムダ毛みたいなものである。いや、ムダ毛よりタチが悪くて、ムダ毛があるとそこばかりに栄養が入ってしまうので、後で実がたくさん取れなくなってしまうのである。私のトマトはムダ毛ボーボー状態。慌てて処理を行った。
 
ナスは、実そのものが大きくなりすぎていた。スーパーで販売されているものよりも2倍くらいの大きさまで育っていた。
「おばけナスはあかん。食べられるけど、小さいうちに取らないと後々実がつかなくなるよ」
同じく菜園を借りているおばちゃんに怒られた。
おばちゃんは毎日菜園に通っていて、私の畑の様子を監視している。でもよくアドバイスをくれるからありがたい存在ではある。なるほど、菜園界では大きくなったナスのことを「おばけナス」というのか。感心しながらも慌てて収穫した。
 
ご覧のとおり、野菜を育てていると言いながら、実際は野菜の成長に振り回されている感覚である。考えてみれば、植物は放っておいても勝手に育つものである。光や酸素、水分があれば自分で生きていく力をもともと持っているのである。だから育てているなんてことはある意味でおこがましくもあるのである。
 
たまに、菜園に農家が指導に来てくれる。
「肥料をあげるタイミングは、野菜の顔を見て決める」
そんなことをよく言う。
一応野菜作りにはマニュアルがある。いろんな出版社から野菜作りの本が出ており、そこには肥料のやり方が書いてある。
 
植えてから3週間たったら、2週間に一度肥料を与えましょう。ってな具合だ。
 
でも、プロの農家は違う。顔を見るのだ。
例えば葉っぱの色を見て、肥料を与えるタイミングを決める。場合によってはそれは栄養不足でなく、病気のこともある。顔色を伺うのである。もちろん、素人にはすぐにはわからない。野菜の成長の仕方は、植える時期やその年の気温、雨の量で随分と変わってくる。その成長に合わせて、農家は手入れをしているのである。
「農家は気にかけるのが仕事」
こちらが育てていると言うよりは、ちゃんと育つように、フォローしてあげる。農家のその言葉に、農業の本質みたいなものを感じた。
 
この考え方って、会社の人材育成のスタンスとしても使えるのでないか?
畑で野菜づくりをするうちに、そんなことを思うようになった。
会社で後輩や部下を持つようになったが、人を育てるという事に関しては、いまだにどのようなアプローチをとっていいか分からないでいる。
 
そんななか、畑作業を通して、少しスタンスがクリアになった。
 
そもそも自分が思うように育てることの難しさを野菜づくりでも学んだ。考えるべきは、育てるというよりも、その人の仕事をぶりを観察し、不足しているものは何か考え、育つ環境を整えてあげることなんだと気づいたのだ。
 
困った時のアドバイスは肥料である。トマト栽培は、肥料をあげすぎても実がつかない。
おばちゃんは毎日菜園に通って、私の畑の様子を観察しているからこそ、適切なアドバイスが出来るのである。
 
環境を整えてあげることも大事だ。寒さに耐えるためにあえて小さいうちに苗を寒いところにあてることがある。自分で考える癖が身に付いてない人には、あえて突き放すことが必要なのだ。
 
きっと言うは易し、なのだろう。でも人材育成の観点では、決して間違ったスタンスではないと確信している。仕事の進め方は、おそらく人ごとにペースも内容も違う。自分のやり方を叩き込むよりかは、人にあわせてやり方を変えていくことが大切なのだ。
 
野菜は、種まきから収穫まで時間がかかる。
きっと、人づくりは野菜づくりよりも100倍時間がかかるだろう。
それでもやがて大きな実がみのることを楽しみに、成長を見守って行こうと思う。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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