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私はスカートが履けない。

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記事:ハンプティ(ランティング・ゼミ日曜コース)
 
 
スカートが履けない。
 
そうはっきり自覚したのは、小学5年生のときだ。
 
「シオリってスカート履かないよな。なんで?」
 
友達に言われ、自分でも人前ではズボンばかり履いているのを自覚した。
 
スカートを持っていないわけではない。
 
それは、タンスの奥深くに眠っている。
 
なぜ、人前でスカートを履かないのか。
 
そのときは、はっきり答えられなかったけど、今ならわかる。
 
女の子である自分に自信がなかったからだ。
 
私の中でスカートは「女の子」を象徴するアイテムだった。
 
そのアイテムを身につけることが、私にはおこがましいことのように思えた。
 
似合ってないのに、そんな恰好するなんて恥ずかしいと。
 
当時、私は学年でも、トップクラスに背が高かった。男子も含めてだ。
当然、体重も学年でトップクラス。脚も周りの子と比べて太かった。
 
今にして思えば、標準体型だったんだろうけど、周りが自分より背が低い子ばかりだったので、その子たちと比べて、大きい自分の身体が、たまらなく嫌だった。
 
また、近所に住む幼馴染のRが、それはもう漫画に出てくるような美少女で、父親から、よくその子と比較されていたのも、自信をなくすことに拍車をかけたのだろう。
 
「Rちゃんは細いなー」「おまえと違って、Rちゃんは少食だなー」……。
父親は、何の気なしの一言だったのだろう。
 
でも、私は傷ついていた。
 
小学生なのに、ご飯を食べないでやせようとしたこともあった。
(結局、食欲には勝てず、しっかりご飯を食べていたのだが)
 
だから、小学5年生のときには、「私はかわいい女の子じゃない。だからスカートは似合わない」と、思っていた。
 
「似合わない格好をしてもおかしいだけ。だからスカートは履かない。」
そうやって、人目を気にしてた。
 
小学5年生から中学3年生まで、私は制服以外でスカートが履けなかった。
 
それが変わったのは、高校生のとき。
 
当時、『ゲゲゲの女房』という「ゲゲゲの鬼太郎」の作者である水木しげるさんの妻・武良布枝さんをモデルとした話が、NHKの朝ドラで放映されていた。
主人公の武良布枝さんの役は、松下奈緒さんが演じていた。
 
「私も背が高いから、主人公にすごい共感する」
放課後、家に帰りながら、中学からの友達のAと、そのドラマについて話していた。
 
そのドラマの主人公は、背が高いことがコンプレックスである。
周りの目が気になって、内向的な性格。
綺麗な姉がいて、その姉に憧れているけど、姉が褒められると自分が責められるような気持ちになってしまう。
 
そんなところに、すごく共感できた。
「私も一緒だ」と。
 
「『ゲゲゲの女房』の主人公と自分は似ている」そんな話をした翌日、Aとまた一緒に帰っていると、こんなことを言われた。
 
「昨日シオリが『ゲゲゲの女房』の主人公と自分が重なるって言ってたじゃん。その話お母さんにしたらさ、『確かにシオリちゃん、松下奈緒と一緒で背が高くて美人だから、重なる部分も多いでしょうね。でも背が高いこと全然気にしなくていいのにね』って言ってたよ」
 
びっくりした。
 
「美人」って言ってもらえたの、たぶん初めてだったから。
 
「いや、私が似てるって思ったのは、松下奈緒じゃなくて、松下奈緒が演じる役の性格だよ。うちは松下奈緒みたいに美人じゃないし。」
 
「でも、うちのお母さんは昔からシオリのこと美人って言ってたよ!」
 
私とAは中学のとき同じバレー部だった。試合のときなどは、保護者が応援に来ることがあったので、そのときAのお母さんとも会ったりしていた。
 
「松下奈緒も身長高いけど、めっちゃきれいじゃん。だからシオリも背が高いこと気にしなくていいよ! 自信もって!」
 
お世辞だったかもしれない。
 
だけど、そのときから、自分の中で何かが変わった。
 
自分を苦しめていたものから、少し解放されたのだ。
 
性格がすぐに変わったわけじゃない。
今でも人からどう見られているか、気になってしまうことは多々ある。
 
だけど、そのときAやAのお母さんから言ってもらった言葉は、今でも私を照らしている。
 
自分に自信がなくなって真っ暗になったときに、夜道を照らす街頭みたいに、その言葉は私のなかで光っている。
 
現在、私は人前でスカートを履いている。
 
相変わらず、身長も高いし、脚も太いままだけど、スカートを履くことは苦ではない。
 
人から自分の見た目を認めてもらえた。
それは、私にとって、大きく意味を持つことだった。
 
人は誰かから認めてもらえて初めて、自分のことを認められるようになると思う。
 
コンプレックスの問題はデリケートだから、一概には言えない。けど、私は自分を認めてもらえて楽になった。
 
だからもし、あなたの周りにコンプレックスを抱えている人がいたら、「大丈夫だよ」って言ってほしい。「自信をもって」って。
 
それは、その人の心を照らす光になるかもしれないから。
……なんて、ちょっとくさいセリフだけど。
 
 
 
 
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2020-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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