現代病の大人ができる唯一の子育て方法
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:千神弥生(ライティング・ゼミ 日曜コース)
「昨日、自分のお小遣いでこれを買ったんだよ!」
小1の娘が、毎日のお布団敷きの仕事でもらえる20円を貯めたお金で買った、体のサイズに合わない大きなバッグを見せてくれました。
私がいない時にパパと買い物に行ったそうです。
私は「え! これ大きすぎない? 使う時ないと思うけど」と言ったのですが、娘は私の言葉は耳に入らないかのように、続けてこう言いました。
「他にもコレも買ったよ! 合わせて1200円使ったけど、パパが『自分のお金だから好きに使ったらいいよ』って言ってくれた! 私もいっぱい貯めれたから、使ってもいいなって思えた!」
と嬉しそうに、そして、ものすごく満足そうに言うのです。
その納得に満ちた表情と、言葉の力強さと言ったらありませんでした。
もし私がついて行っていたら、大きすぎるとか、1200円は使いすぎじゃないか、などとついつい言ってしまったと思います。
子供は母親の意見に従おうとする性質があるので、きっと私の言葉に「なるほど」と思い、購入しなかった可能性は高いです。
たくましく自信に満ちた娘の顔を見て、「自分だけの答え」を出す力を奪わない親の在り方が大切だと痛感しました。
私は仕事として、生活に障るような生きづらさを抱えている方の相談もたくさんお受けしています。
その中で「自分がやりたいことが分からない」という相談を受けることが多くあります。
それは、仕事や子育て、家事、人間関係など、人生の様々なところで「自分が何を望んでいるのかが分からない」というものです。
純粋に「自分の望み、やりたいこと」だけを指すなら、みんな分からないはずがないのですが、その言葉の裏には「間違っていない、正解の道を教えてください」という意味が含まれています。
「人が正解だという答え」なら幸せになれる、そんな幻想が、そこには隠れているからこそ、分からなくなるのです。
「私という人生の主人公がどう思うのか?」ではなく、「人から見た私が何をやったら正解なのか?」という視点に対して、人はそれぞれ好きなことを言ってくれます。
その人のフィルターをとおした「答え」をくれます。
もちろん、それはほとんどの場合が好意で言ってくれるものばかりです。
ただ、どの言葉を聞いても、心から納得することはできないんですよね。
結局、人は「自分で答えを見つける」以外、満足いく答えには出会えないようになっているからです。
これは説明するまでもなく、誰もが奥底では分かっていることですよね。
でも、小さい頃から先生や親の言うことが絶対正しいと思って生きてきた今の大人たちは、誰かに出してもらった答えの方が素晴らしく、正解だと思ってしまうのです。
時には、その「誰か」を、より素晴らしい人を探すことで、納得しようとする人もいます。
それが、偉人や著名人の言葉だったり、神様とか天使などスピリチュアル的なことだったりすると、熱心なファンになる、宗教に入る、といったことが起きてくるのだと思います。
より正解率の高い誰か、何か、を求めてしまうのです。
これは、自分以外の誰かを自分の上に置く、という構図になり、自身の力をますます失っていくことになります。
このように、自分で感じ、自分で答えを出す、という訓練をしてきていない私たちは、どうしても誰かに答えを求めてしまいがちですが、これは実は単に「怠けている」ことにもなると思うのです。
人に委ねる方が楽だし、責任を負わなくても済むからです。
また、人の答えにあれこれ振り回されて最終的に誰も信じられなくなる、ということにもなりがちです。
ならば、面倒だけど怠けず、「私だけの答えを、私が出す力」を育てていくこと。
それこそが「しあわせに生きる力」だと思うのです。
「私だけの答え」が欠けても、「私が出す」が欠けてもいけないんです。
どちらが欠けても、人は納得できないのですから。
ご相談に乗っていると「私の感覚に従っていっていいんですか?」そんな声が挙がります。
だって、家族がなんて思うか。
だって、普通から考えたらあり得ない。
「私だけの答え」に邪魔が入ります。
段々とその「邪魔」が「正しい答え」に刷り換わっていきます。
今、私たち大人が求められていることは、子供たちに対して「私だけの答え」を奪わないことだと思います。
そうしないと、近未来は、ロボットのような答えしか出せない子供たちと、デジタルな答えだけが蔓延した世界になりかねません。
今すでに、その「私だけの答え」を持つ人と、「世間基準の答え」を持つ人とが二極化しているニュースが連日流れているように思います。
ただ、ここで言いたいのは「今の大人が間違っている」「私たちの親の育て方が間違っていた」ということではありません。
「私だけの答えを私が出す力」を失っている状態から、ではどうやって育てていくのか?
ここに、私たち大人のよろこびが眠っていると思うからです!
これからの人生は自分の力を信じて進む!
どんなことが起きても自分で乗り越えていく!
子供たちの未来のために、私たちが嘆かない未来のために。
まずは、人の声に耳を澄ませ、自分との違いを感じてみます。
そこから湧きでてきた想いが「私だけの答え」です。
注意することとして、一度出てきたその答えは、世間の基準に縛られているものかもしれないので、何度も感じてみる必要があります。
世間の基準ではない、オリジナルの「私だけの答え」を自ら導き出せたとき、心の底から感動し、自信を持って生きられるようになります。
そうやって「私だけの答え」を洗練させていくプロセスで発見する「よろこびの日々」を背中で見せていく。
子育てに正解はありませんが、親として大人として今子供たちにしてやれる唯一の方法だと思っています。
あの日以来、自分の答えに自信を持った娘は、もっとお小遣いをもらうための方法を聞いてきたり、髪型や宿題のやり方など、自分で考えて答えを出す機会が増えたように思います。
私も見守っています。
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