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メディアグランプリ

『みんながそういっているので』


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松永 恵(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「以前のサービスが楽しかったので、終わってしまって悲しすぎると思うんです。復活させてください!みんなそういってます!」
会社の問い合わせには、しばしばお客様からこんなメールが届きます。
私はこの「みんなそういっています」というご意見を聞くたび、小さな違和感を覚えてしまいます。
 
私は1人のお客様から問い合わせを受けたはずなのです。
1対1のお話であれば、お客様にご返答すればいいだけなのですが、「みんな」という言葉で複数対1人のお話になってしまっているのです。
 
「みんな」とは果たしてどこの「みんな」?
家族?地域?それとも日本全体の話?
「みんな」という人々の顔が見えず、私は誰に対して答えていいのか、分からなくなってしまうのです。
 
私は約10年ほど、Webディレクターという職業に就いており、Webに関する企画・制作・運営等、様々なことを担っています。
現在、私はとあるWebサービスに携わっていますが、そのWebサービスに届く問い合わせ対応も仕事の一つで、日々お客様の声に(メールなので)目を通しています。
 
「スマートフォンで見た時の操作方法が分からない」
「ページがどこにあるのかわからない」
「ニュースの内容がイマイチがわからない」
 
ほとんどは、上記のような操作や内容についての問い合せやご意見なので、お客様のご意見を参照し、分かりにくい箇所があればより詳しく丁寧に、サイトを修正して対応しております。
 
しかし、まれに冒頭のようなご意見をいただくことがあります。
ここで登場する「みんな」とは、周りの友人や家族等の、顔の見える人々なのでしょうか。
 
実は、Webサービスへのご意見に登場する「みんな」とは、会ったこともないネットの向こう、不特定多数の「みんな」のことを指している場合が多いのです。
 
私はこういう意見をいただくと、急いで同じような問い合わせや、ネット上のSNS・ブログなどをリサーチします。
お客様が「みんな」とおっしゃっているならば、大勢の方から同じご意見が届いているはずだし、ネット上で表現しているはずだからです。
 
しかし、驚くほど同じ意見が出てきません。
見つかっても、1~2人くらいの場合が多いのです。
 
もちろん私が見つけていないだけかもしれませんし、限定されたSNSの中で意見が出ているのかもしれません。
しかし不思議なことに、「みんな」というには同じ意見が見つからず、むしろ「次も楽しみです」等の、サービスに対する肯定的な意見を目にすることが多いのです。
 
想像するに、ご意見を送ってきた方は、SNSで自分と同じ意見や考えを持っている1~2人の意見をもって「みんな」と言っているのではないでしょうか。
 
1~2人が私と同じ意見をいっている。
私1人だけではない。
同じように考えている人がもっといるはずだ
みんなも同じように思っているのだ。
 
このようなストーリで、自分の考えと同じ仲間がいることが心強く、やがてそれが「みんな」という複数にいつの間にか変化するのではないか、と思うのです。
 
これは、私自身にも身に覚えがあることです。
 
ネットで多くの「みんな」がこう考えているから、少数派の私の考えは間違っているのではないか。
そう不安に思うことが、私も日常でよくあるからです。
むしろ多数の意見に押されて不安になり、自分の意見を肯定してくれる、少数派の仲間を必死に探そうとさえしてします。
そして少数派の仲間を見つけると、私だけではない!他の「みんな」も同じことを考えているんだ、と安心し心強くなるのです。
 
ネットで多数派の考えや感情を探し、「みんな」から外れることを、いつの間にか私は恐れるようになってしまっているのではないか、とある日ふと気づいたのです。
 
ネットには情報が溢れ、一般の方々の意見や考え、感情さえも検索すればすぐに分かります。
「自分の考え」に不安になったら、ネットで「みんな」の意見を探し、同じ意見であることに安心することができます。
 
けれど「自分の考え」は本来自由です。
誰かに同意を求めることも、仲間を探すこともしなくていいのです。
 
「自分の考え」を公にするのは、とても勇気がいると思います。
今、文章を書いている私個人の考えも、公にするのはいつも勇気が必要です。
 
しかしネットの不特定多数より、名前のある1人の考えが物事を動かす事例もたくさんあります。
 
サービスをやっている人間にとって、意見を伝えてくれる人々の存在は大変うれしいものです。それだけ真剣に、サービスを使ってくれているからです。
「自分の意見」に自信を持っていただきたいな、その意見を「みんな」の意見ではなく、「自分の意見」として問い合わせまで送って欲しいな、そんなふうに思うのです。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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