紙おむつを洗濯しちゃった。そしたら……
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:谷口季代子(ライティング・ゼミ平日コース)
洗濯機のフタを空けて絶句した。
やってしまった。
何ということだ。
白っぽいゼリー状のものが、すべての洗濯物にまんべんなく付着している。
洗濯物だけでなく、洗濯槽にも、ごみ取りネットにも。
マジか~。
紙おむつを一緒に回しちゃったんだ。
ゼリー状の正体は、おしっこを吸い取る「高分子体」だ。
紙おむつが破けたところから、かなりの量がバラまかれている。
限界まで水分を吸い込んで、テロッテロのゼリーになっているではないか。
ああ、いまいましい。
58リットル分も洗濯したのに。
この洗濯物と洗濯機、どうしたらいいんだー。
ふーっと息を吐き出す。
とにかく何とかしなきゃいけない。
洗濯物を取り出そうと、一番上の服を引っ張り出すと、ゼリー状がバラバラと床に落ちた。
私の手や腕にも、付着している。
こりゃあ、手強い。
どうやって処理しよう?
うっかり、レトルトカレーを電子レンジでチンして、爆発させた時を思い出す。
これ、みなさんもやったことないだろうか?
カレーは食べられないわ、
レンジの中はえらいことになるわ、
拭き取ったカレー付きのふきんを見て、残念な気持ちになるわ。
「って言うか、用意した白ごはんは何で食べればいいんじゃーい?」
まさにこんな心境である。
やるせない。
怒りに任せて、洗濯物と洗濯機をゴミ箱にブチ込むことは出来ないし……
誰かに不満をぶつけることもできないし……
よく確認しなかったのが悔やまれるなぁ。
あーあ。
粛々と片付けるしかないのかー。
実は、紙おむつを洗濯する大失敗は、以前にもやったことがある。
でも、そのときのおむつは赤ちゃん用だった。
だから、バラまかれた高分子体の量も大したことなかった。
外でバンバンはたいたら、洗濯物のゼリー状は落ちたし、
さっと拭き取ったら、洗濯槽もきれいになった。
今回は違う。
小1の長男用「オヤスミマン」の「ビッグサイズ以上」だ。
500mlペットボトル1本分の、おねしょを吸い取る能力があるらしい。
洗濯槽の中に、水を吸ってパンパンになったおむつを見つけた。
引っ張り上げる。
おお? けっこう重いぞ。これ。
もはやこれは「ネタ」かもしれない。
試しに近くにあった体重計に載せてみた。
1.1kg!
ええ? っと思って、未使用のものも測ってみる。
こちらは57g。
むむっ。牛乳1本分の水分を吸い取っているではないか。
パッケージのコピーにウソはないようだ。
重さを測ってみて、やるせない心境がちょっと変化した。
以下は、私の心の声。
「いやもう、だってこれ。写真撮って笑うしかないでしょ?」
「洗濯機の中も洗濯物も、ゼリーまみれのカオスだもん。あはははは」(乾いた笑い)
iPhoneでバシバシ写真を撮った。
ゼリーを接写したり、
外でバンバン洗濯物をはたいで、ゼリーの自打球を全身に浴びた自分を自撮りしたり、
落ちたゼリーの山を撮ったり。
洗濯槽とごみ取りネットも画像に収めた。ゼリーでなかなかえらいことになっていた。
いやホント、今日が休みの日で良かった。
仕事の日だったら、何も見なかったことにして、とりあえず会社に行っていただろう。
結局、復旧に3時間ほどかかった。
外でバンバンはたいて、洗濯物のゼリーを落とし、
使い捨てのふきんで、洗濯槽をきれい拭いてから、満水にしてお急ぎコースで一回まわし。
完全に洗濯槽をきれいにしてから、もう一度、洗濯物を洗って干した。
何も産み出さない、どうにもめんどうな作業であった。
でも、発見があった。
写真を取りながら作業をやったら、気分がラクだったのだ。
誰に見せようとか、その時は何も考えていなかったけど、
面白く撮れる角度とか探していたら、やるせなさが失せていった。
ホントだったら、めちゃめちゃイライラしながら作業していたに違いなかったのに。きっと。
そしてこのあと、二つおもしろいことが起きた。
一つ目はこの写真を、家族に見せたときの反応。
「紙おむつって、こんなに膨らむんだー」
「もとに戻すのに3時間もかかったの!?」などと、子どもも主人も興味津々。
そして、こんな張り紙が洗濯機のボディに貼られた。
「おむつ注意! まぜるな危険!」
我が家でこの失敗のアゲインは、もうないだろう。
二つ目は、この写真を保育園のママ友に見せたときの反応。
これ、あるあるだよねー!! と大盛りあがり。
この問題に関する情報がいっぱい入ってきた。
ゼリー状がついたまま、柔軟剤を入れて洗濯するときれいに取れるとか、
そのまま干して、乾いてからバンバンやるときれいに取れるとか、
オムツメーカーのHPに対処法が載ってるよ、とか。
↑ホントに載ってました(笑) みんなやる失敗なんだー。
これからも、この手のやるせない失敗をするだろう。
買った生卵が買い物袋の中でつぶれて、買ったものがぜーんぶ卵まみれとか、
うっかり手があたって、牛乳ほぼ1リットルを床にぶちまけるとか、
マンガみたいに、自転車で釘を踏んで、タイヤをパンクさせるとか。
こういうのは、もはやネタだ。
写真に撮って笑い飛ばしてしまおう。
だって、誰もがうっかりやってしまうことだから。
めっちゃ共感されるネタになること間違いない。
イライラと一人で復旧するより、ずっといい。
「あるある」ネタと写真は、人をつなぐ力がある。
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