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メディアグランプリ

ジムのフリーウエイトエリアでの一触即発の怒りは杞憂に終わる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:窪田克彦(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「っざけんなよー、こいつ。前も同じことしやがった。俺に、喧嘩売ってんのかなあ、ほんとムカつくんだけど!」
 
高木が怒りまくっている。
 
高校時代からの腐れ縁の悪友高木とは高校卒業以来ほとんど会っていなかった。たまたま飲みに行った4年程前にお互いの身体のだらしなさから、一念発起で身体を鍛えようぜと意気投合し“居酒屋ワタミでの誓い“を打ち立てた。
 
おっさん体型からのさよなら。
特に厚い胸板を創り上げ、お腹が胸板によって隠れて見えなくなること。
これが誓いの内容だった。
 
「落ち着けよ。どうしたんだよ。何で、そんなに怒ってんの?」
 
普段それほど怒ることのない温厚な高木なのに、何があったのか?
 
負けず嫌いの2人は4年間スポーツジム○ナミに通い続けている。
その通い始めの頃のことだ。
「フリーウエイトエリア」で高木が激怒したのだった。
 
「フリーウエイトエリア」とは、まさに“フリー“=自由な、“ウエイト“=重り。つまり、マシンではなく「自由な重り」。自由な重りで身体を鍛える場所(エリア)だ。簡単に言うと、ダンベル、バーベルを使い身体を鍛える場所。ベンチに寝転がってバーベルを持ち上げるベンチプレス、ダンベルを片手で持って胸の方へ曲げて力こぶの上腕二頭筋を鍛えるダンベルカールなどが代表的な種目。機械(マシン)で軌道を制御されてないので、非常に多角的に筋肉が鍛えられる。本気で鍛える人にとっては非常に大事な場所、聖地なのだ。
 
当然、
 
「その三角筋(=肩の筋肉)ソフトボールより大きいっすね」
 
「広背筋、ムササビにしか見えないんだけど」
 
「おいおい、なんだその大胸筋の厚さ、広辞苑と大辞林の揃い踏みだな」
 
などというような人たちばかりが集まってくる。
 
そして、○ナミのフリーウエイトエリアでは、ベンチプレスを含め使用時間の制限がないのが特徴だ。1人30分使用したら次の方に場所を譲るという明確なルールのジムも多いが、○ナミは紳士同士の譲り合いの精神に委ねている。
 
だから、1人が器具を独占していると、他の人が待ちきれず、イライラ状態が生まれてしまうのだ。
 
「あいつ、なげーんだよ、ほんと、もう40分は、やってる。いい加減代われって。しかもさ、音がうるせーんだ。ほらね」
 
「ガガーーーン、ガッシャーン!!」と大きな音がした。
 
○ナミには、ここは本当にジムかなと思うくらい普通のおじいちゃんやおばあちゃんが多い。その周囲のおじいちゃんやおばあちゃんが、飛び跳ねるくらいの大きな音を出している。いや、実際飛び跳ねている。
 
ベンチプレスという胸の上でバーベルを抱え上げるという種目。バーベルを下ろす時にスタンドに乗せる時に大きな音が出るのだ。
 
もしかして本当に喧嘩を売ってんのか、こいつ、って自分も感じていた。
 
目を合わせず、音だけを出し、
「お前、うるせーんだ、待ってる感出しやがって、俺は真剣に鍛えてるんだ、邪魔すんな」的なオーラを出している気がしてた。
 
筋トレをやり始めたばかりの自分と高木にとっては知識がなさすぎて、どうしてこんな大きな音が出るのか。出てしまうのか、わざと出しているのか、区別もつかなかったのだ。
 
しかし、今ならわかる。筋トレは最後の数回が勝負なのだ。とくに最後の1回、もう上がるか、上がらないかわからないところで力を出し切る。ここで筋繊維がブチ切れて、その再生によって筋肥大が起こるのだ。だから、音が出るのは当然のこと。限界までの回数に挑戦している証なのだ。最後にゆっくりと音を出さずに下ろす人はこの筋肥大の重要なラスト1回を放棄していることになる。
 
今は、高木も自分も
 
周囲のおじいちゃんと、おばあちゃんには申し訳ないが
 
「ガガーーーン、ガッシャーン!!」
 
と音を出して筋トレを毎日している。
 
「現実はすべて自分が創っている」
 
目の前で起きていることをどのように認識するか。認識している人間が
全てを創り上げている。
相手が本当は怒っていないのに、怒っていると受け止めてしまう。
事実は1つ、受け止め方はいろいろだ。杞憂に過ぎないことって多い。
 
そういう時に、よく聞く言葉だ。
 
自分は、フリーウエイエリアでの高木の杞憂に終わった怒りによって、この言葉の意味を初めてちゃんと理解出来た気がする。
 
そして、その高木を怒らせた「ガガーーーン、ガッシャーン!!」男、木村さんというが、ボディービルの大会に何度も出ている人だった。
 
高木、木村さん、そして自分の3人で、今、ワタミで仲良く飲んでいることが、『現実はすべて自分が創っている』に過ぎないことをより強く証明してくれている。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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