メディアグランプリ

新しいことへのチャレンジに、あえてのネガティブな想像


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:星 柱(平日ライティングコース)
 
新しいことへのチャレンジ!
音の響きはポジティブに聞こえると思います。私も好きです。
でも、いざ自分がチャレンジする立場になると、腰が引けてしまいます。
私の場合、いつもちゅうちょしてしまうチャレンジがあるんです。
それは買い物です。
1万円を超える買い物は、いつも踏みとどまってしまいます。
ショッピングは楽しく感じます。本や文房具、DVD、服、ちょっと奮発したデザートなどなど。
が、1万円というボーダーラインを超えると途端に財布のひもが固くなるのです。
買った物が自分に使いこなせるのか? 使う頻度は? コストパフォーマンスは?
そういうことで悩んでばかりで、結局は買わずに終わることもしばしば。
でも、どうしても買わなければならないときに直面するときもあります。
生活必需品と化したスマホが壊れたとき。仕事上、その道具が必要に迫られることが想定できるとき。
買い物びびりな重い腰を上げるには、どうすればいいのでしょうか?
そのヒントを教えてくれたのは、まさかの古代ローマでした。
 
古代ローマの哲学者エピクテトスは、非常に有力な人をたずねるときに「不愉快な待遇をされること事前に想像しておく」ことを勧めています。
想像しておけば、実際に不愉快な待遇を受けても「予想していたとおりだな」と耐えることができるのです。
この心構えは、現代の私たち――強く言えば私に――にも通じるものがあると思います。
 
新しい買い物で、私はこのヒントを試してみました。
買おうとしていたのはパソコンのソフトです。お値段は3万円ほど。
普段の私からすると、ボーダーラインを完全にオーバーして、買い物リストから除外されます。
ですが、このソフトしか適当な選択肢がないのです。使用する機会は年に数回なのですが、そのソフトがないために、いつも苦労しています。頻度からすると、買うのをちゅうちょするパターンにはまってしまいます。しかも、そろそろ2020年の新バージョンが出るという情報もありました。そんなときにかぎって必要とする期間は新バージョンが出る前。旧バージョンを買うべきか。買わずにいつもの苦労に甘んじるべきか。
 
ここでエピクテトスの言葉を思い出してみるのです。非常に有力な人をたずねる(私からすると買い物というチャレンジ)ときは、まさに今です。不愉快な待遇を想像してみます。
 
買ってはみたものの、思ったより作業効率は良くならなかったな。
意外と使うのが難しいな。
やっぱり新バージョンを待てばよかったな。
 
ネガティブなイメージを思い切り想像してからソフトを手にします。
レジに並んでいる最中も、「どうしようかな、うーん」と悩む自分がいます。
それでもここはチャレンジなのだから購入を決定。
さっそく、パソコンにインストールして使ってみます。
結果、ソフトの使い勝手は、ものすごく良かったのです。いつもの苦労が嘘のよう。
ちょっと不便だな、と思うことも2、3点ありましたが、そんなことは想定済み――ここで私は気づいたのです。
 
「あ! まさにエピクテトスの言ったとおりだ!」
 
新しいことにチャレンジとなると、成功する姿や、わくわく感、周囲の人たちからの祝福など、ポジティブな想像を思い浮かべることもあると思います。
しかし、人生は厳しいもの。必ずしも、そう思い通りになるとは限りません。
ポジティブな想像に反して、現実がダメダメだったら……。
それは落ちこみますよね。
 
反対にネガティブな想像してからのチャレンジはどうでしょうか?
スムーズにできない、やる気が出ない、応援もなく孤独。そんな想像からスタートしてみます。
ネガティブな想像に反して、チャレンジしたことがうまくいったら、それはそれでうれしいです!
もし想像通りだったら「思ったとおり」と冷静に受け止められる。
もちろん、失敗しても自分を責める必要はありません。
エピクテトスも「自分に対して『こんなに苦労することなんかなかった』などとは決して言うな」と語っています。
私はもう一歩進んで「チャレンジしたこと事態が素晴らしい」と、褒めてあげたいくらいです。
 
チャレンジに対して、あえてのネガティブな想像で心構えを作っておく。
エピクテトスの言葉でこそ語られていませんが、これは将来への保険です。
将来に困難があると困るから保険をかける。保険があれば安心ですね。
ネガティブな想像という保険があるから、新しいことへのチャレンジもしやすくなる。
もちろん、チャレンジしてみないと体験できない世界、感覚、感情もあるはずです。
 
私のチャレンジは「買い物」という軽いレベルでしたが、エピクテトスが想定していたのは、「対人関係」という、もっと重いレベルのものでした。
チャレンジの軽い重いにかかわらず、ネガティブな想像で事前に心構えを作っておく。
そんな考え方も「あり!」だと思います。
 
参考文献:奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業(荻野弘之 著)
 
 
 
 
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2020-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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