メディアグランプリ

歴史に彩りをつける 

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡邊 眞也(スピード・ライティングゼミ)
 
 
「渡邊さん、せっかく訪問した蔵の創業が1848年とか、安政の大地震で建物が被災したって言うなら、歴史的な背景を掘り下げてみては?」
 
1月に愛知県知多の澤田酒造という日本酒の蔵を訪問した。蔵の社長と副社長に聞いた話のレポートを提出したときに講師に指摘された。
 
日本酒蔵のレポートと言っても、提出先は日本酒のスクールではない。去年より受講している、取材ライティングゼミという自分で取材を実際してみて、記事を書いて添削してもらう講座だ。
 
10年間通っている、日本酒スクールの日本酒勉強仲間へのレポートなら、商店は絞られる。日本酒の作りの特徴、将来の課題などを書いていれば十分。歴史的背景は蔵のことだけで十分だ。
 
取材ライティングゼミでは、仮定読者を日本酒唎酒師の資格を取ったばかりの人にしていた。そこで、講師の方が、記事の内容に興味を持ってもらう間口を広げるために「蔵の歴史背景を数行でも加えてみたらどうだろうか?」とアドバイスしてくれた。
 
しかし、どうにも歴史は苦手だった。一応、学生時代は文系だったが、大学を受験したのは、英国数で受けた。歴史は年号と事件の羅列を覚えるだけのように思えて無味乾燥、興味を覚えなかった。自分にとって歴史の勉強は、遠い過去の他人事のモノクロの世界だった。
 
講師からの指摘を受けて、家の本棚から一冊の本を引っ張り出した。山川の日本史だ。なんで苦手なのに歴史の教科書を持っているのか?
 
去年読んだ池上彰さんの本か、佐藤優さんの本に歴史を学ぶことの重要性が書いてあったから、その時に買った。本を開くとシャープペンで線を引いたり、少し書き込みもしていた。「よっしゃ勉強するぞ!」というモチベーションは一読で燃え尽きた。やはり興味を持てなかった。
 
課題の1848年前後って何があったのだろう? 、と調べた。嘉永って年間なんだな。そういえば蔵の高いお酒に「嘉永」ってあったな、と少し興味が湧いてきた。黒船来航が近いのか、いよいよ幕末って時なんだなぁ。
 
ついでにやってしまおうと次の週に陶芸家さんとコラボして開く日本酒会のリストのお酒についても、創業年もチェックしてみた。
 
最初のお酒、うごのつきの相原酒造は、創業は昭和29年 11月かぁ。昭和29年は、と調べると、防衛庁・自衛隊発足。ちょうど陸上自衛隊で働く友人が、参加してくれるからメモしておこう! 広島県のどこ? 呉市! 旧海軍、今も海上自衛隊の基地がある土地だ。去年見た、アルキメデスの大戦、思い出すなぁ!
 
次のお酒は、石川県の菊姫。ここは古い。創業年がはっきりしていなかった。安土桃山時代の1573~1592年とホームページにあった。
 
1573年、室町幕府倒幕。1592年、豊臣秀吉の朝鮮出兵。マジか?!
 
調べるのが止まらなくなった。こんな激動の時代に、創業したんだ!
豊臣秀吉の花見の時に「加賀の菊酒」が出て、全国の大名に加賀の酒の旨さが知れ渡ったと言うようなことは、確かマンガ「へうげもの」に書いてあったかなぁ、とマンガの記憶もくっつき出した。
 
もう止まらなかった。
 
明治の初期の創業の蔵も多い。そうなると日本史の教科書と、るろうに剣心を行ったり来たりした。ここの蔵は明治4年か。大久保利通が活躍していたのは、このあたりかな?えーっと、るろうに剣心の中で、瀬田宗次郎に紀尾井坂で暗殺されるのは、と明治11年だから、ちょっと後か。
 
若干、妄想と史実が入り交じった。しかし、歴史を調べてるのは、読者というか、日本酒会に参加してくれる人に興味を持ってもらうためだから、間違ってない!
 
以前、勉強しようとした時には、歴史の事実には必ず発端となる原因があって、人がその流れを作り、また巻き込まれていく。それを知ることは今起きていることを理解し、次に起こるだろうことを予測するのに役立つ、はず。と思ってやっていた。スキルを身につけるため、と思っていたのだから詰まらないはずだ。それでは、学生時代に「いい成績を取るため」に勉強していたのと変わらない。
 
大好きな日本酒を、より美味しく楽しむために歴史を調べる。
 
あの大名が花見で自分の国の酒を自慢していたのかも知れない。
池田屋で飲まれていたのは、やはり伏見の酒だったのかな。
時代劇で見るような、江戸時代に飲まれていた酒は、灘の酒だったのかな。いや、庶民に下り酒は飲めなかったかも知れない。
量り売りで使う貧乏徳利って、いつ出来たんだろう。
 
妄想をツマミに酒が一本飲めそうだった。
 
途端に、モノクロだった歴史が、24色の絵の具で描いたカラーの映像として、広がった。拡張現実のように自分もその世界にいて、一緒に酒を交わしてる錯覚をした。
 
今度の歴史の勉強は、心が折れずに続けられそうだ。何より、好きなことを、より好きになるためにやるのだ。そして、好きなことをより多くの人に伝えるためにやるのだから。
 
 
 
 
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2020-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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