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メディアグランプリ

独身アラフィフ女がヌード写真を撮ってみて思ったこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きさらぎ満月(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
そのイベントを知ったのは、フェイスブックの投稿だった。
天狼院書店という、イベントも行う変わった本屋が以前から気になっていて、フェイスブック上でフォローしていた。上がってくるイベントは、飲み会だったりイラストや写真講座だったり、内容はバラバラである。一番気になったのは文章を書くセミナーだが、心のどこかにひっかかっていたのが、近々福岡で開催される「秘めフォト部」というイベントだった。
 
どうやら女性が複数集まり、プロカメラマンにヌード写真を撮影してもらうイベントらしい。カメラマンは、書店の社長で作家でもある男性だ。その男性がイベントの紹介文を書いているのだが、その文章が怪しい。このイベント参加した女性には、なぜだかわからないがさまざま幸運が訪れるという、ちょっとうさんくさいところもある内容だった。イベント自体は怪しいものではないようだが、意外に長いその紹介文を、私は流し読みした。
 
元来顔に自信がない私は、体ならいけるんじゃないかと勝手に思っていた。自分のヌード写真を撮ることに興味があり、20代の頃たわむれにセルフヌードを撮影したこともある。しかしその後かなり太ってしまい、体にも自信がなくなった。
ところが50歳を目前にした最近、15キロのダイエットに成功した。せっかくダイエットしたのに誰も見てくれる人がいないので、またヌード写真でも撮っておきたいな、とぼんやりと思った。別になにかに使うつもりはない。ただの記念だ。
ヌード撮影をしてくれるスタジオをインターネットで検索して、3万円のコースをブックマークしていた。そこに、天狼院書店のイベント紹介の投稿が目に入った。
 
しかしその直後、男に出会ってしまい、すったもんだしている間にヌード撮影のことは棚上げになってしまった。
男との関係は短い期間で終わりを迎えた。自分から別れを告げた割には、未練があった。それを吹っ切ろうとじたばたしているときに、あの書店の(秘めフォト部ではなく)文章を書くセミナー「ライティング・ゼミ」を思い出した。
 
第1回の講座に参加した。なかなかの強度で脳味噌を刺激されたあと、会場となっている書店を出ようとしているときに、スタッフの女性に話しかけられた。
「女性の方をこのイベントにお誘いしているんです」と笑顔で差し出されたのは、「秘めフォト部」のチラシだった。ああ、あのヌード写真イベントだ。人気のイベントという煽り文句だったが、まだ残席があるという。参加費は3500円、写真は5000円で全データがいただけるという。期日はあさっての夜。
私は講座を受けたままの勢いで、「行きます」と答えていた。
 
当日は早朝からの仕事を終え、撮影スタジオに向かった。メイクは出勤前の朝5時にしたそのまま、下着も普段着のままだ。というか、下着は普段着しか持っていない。みんなよそいきの下着など持っているのだろうか、それとも撮影のために下着を新調するのだろうか。勢いで参加を決めてしまったため、あまり気合いが入っていない自分を感じる。
少し時間があったので、近くの洋食屋で腹ごしらえをしつつ、赤ワインをひっかけた。アラフィフのおばさんがヌード写真を撮るのだ。多少の景気づけは必要だ。
 
その日の参加者は私を含め4名、スタッフは男性カメラマン以外女性だった。内容を紹介したいところだが、イベントホームページに「本イベントの内容の著作権は、スタジオ天狼院および天狼院書店に帰属します。本イベントの内容を他で利用することを、あらゆる面で、固く禁じます」とあるため、控えておく。ただ、半裸になり撮影されるという心理的抵抗感が大きい状況下で、参加者がリラックスして楽しめるよう、よく考えられている、ということだけは伝えておきたい。
 
参加している間私が考えていたのは、ほかの参加者たちはなにを求めてここに来たのか、そして私はなにをしに来たのか、ということだった。
私以外の参加者は私よりも若く、ごく普通のお嬢さんに見える。しかしこの非日常的なイベントに、それぞれ一人で参加しに来たのだから、踏み板からはるか下の水面に飛び込むような度胸があることは確かだ。その背中を押したのはなんなのだろう。
 
私の背中を押したのは、満たされないナルシシズムなのかもしれない。
一人暮らし歴30年、仕事もあまりうまくいかず、せっかくできた男とも別れ、誰からも必要とされないと感じることが多くなった。そんな心の闇を晴らしにここに来た、ような気がする。
このお嬢さんたちは、心にどんな闇を抱えているのだろう。
 
などと考えていると、自分が被写体になる番がきた。どんな顔をして写ればいいのか考える間もなくポーズを取らされた私は、なにかに復讐する気分でレンズに向かって微笑んでいた。
 
二日後、できあがった写真データが納品された。期待に胸を弾ませながらファイルを開いてみて、最初の感想は「やっぱりブスだな」だった。そこには、プロの手によって多少見栄えはするようになったが、疲れた顔の中年女性が写っていた。がっかりしたということは、私は無意識に奇跡の一枚を期待していたわけか。まあ滑稽だが、これが現実だ。これでも精一杯生きているんだ、認めてやろう、とちょっと笑えてきた。
しかしあの男はこれに欲情していたのか。貴重な人材だったな、惜しいことをした。
 
 

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2020-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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