少し臆病なあなたに読んでほしい、「フリマアプリの始め方」
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:ワタナベアヤ(ライティング・ゼミ平日コース)
もうすぐ70歳になる母が、ずいぶん前から「メルカリを始めたいのよね」と言い続けていた。
娘の私はネットオークションやフリマアプリ歴20年以上。最近はメルカリヘビーユーザーである。しょっちゅう「あれがいくらで売れた、これをいくらで買えた」と話していたから、興味をそそられたらしい。
ちなみに母は昔から年齢のわりに機械モノを使える人だ。好きなアーティストの曲をセレクトしてCDやDVDを編集するところからパソコンに親しみ、YouTubeで大好きな猫動画を探し、ブログを書き、スマートフォンを手に入れてからはLINEで友達とグループを作ったり孫とビデオ通話を楽しんでいる。
私の薦めもあり、ようやく母はメルカリ会員になった。おっかなびっくり数百円の商品を購入し、支払いも無事に済ませた。もともと良くネット通販で買い物をしているからここまではそんなに抵抗なく進んだのだが、もともと母がなぜメルカリと言い出したかというと、断捨離して不用品を出品したかったから。まだその目的を果たしていない。
「もう慣れてきたでしょ? 次はいよいよ出品だね」
と言う私に、母は「でもまだ怖い。買うのはいいけど出品する勇気が出ない」と尻込みをするのだ。
結局その後1年以上経つが、今日もまだ母は出品に踏み切れていない。
母くらいスマートフォンの操作が出来て新しいものに抵抗がない人でも、操作面だけではない不安があれこれあるらしい。
また、母だけでなく私の周囲の同年代やもっと若い人でも「出品って何か怖くて」という人が意外と多く、それを聞く度に何とも歯がゆい思いをしている。興味も無い人には薦めないが、やってみたいのに踏み出せない人たちのために、自身の経験からその不安や疑問を解消していきたい。
不安その①
『若い子しかやってないんじゃないの?』
10代~20代が多いというイメージは昔の話。若年層から始まったフリマアプリは、スマートフォンの中高年層への普及に伴って、ユーザーの年齢層は劇的に広がっているという。
そもそも、取引をする時に年齢はわからない仕組みだ。相手が10代だって何の問題も無い。
不安その②
『梱包や発送が面倒くさそう』
梱包は確かに少し気をつかうが、お店じゃないのだから常識の範囲で良い。洋服だったら丁寧に畳んで透明のビニールに入れてさらに紙袋に入れてガムテープで留めれば十分。
発送は、専用の発送システムを利用すれば、宛先を書く必要すらない。コンピニか郵便局へ持っていって発送用バーコードを見せるだけ。
何なら、駅とかにある宅配ボックスからも発送OK。あのボックスは受け取るだけでなく発送も出来るんだと最近知ったが、あまりに便利。バーコードをかざしてボックスに入れれば完了だ。日本の配送システムの素晴らしさ・利便性への飽くなき追求と企業努力に頭が下がる。
不安その③
『変な人にあたったらどうしよう』
神経質なクレーマーもいるらしいが、怯えるほど割合は高くないのではと思っている。私自身の取引では、覚えている限りでトラブルは2回。言いがかりのように悪い評価を付けられたのが1回、偽ブランド品が送られて来たのが1回。
悪い評価は運が悪かったと諦めたが、偽ブランドのトラブルは運営会社が間に入って対応してくれたので実害はなかった。
あとは普通郵便で送った先に不着だったことが3回。これには参った、頼むよ郵便局。
結局行方不明のままで、やむなく返金するはめになった。値段にもよるがなるべく追跡機能のある発送方法が安全だ。
不安その④
『値切られるんじゃないの? 損したらどうしよう?』
値切られるのは本当。90パーセントの確率で値下げ交渉が来る。でもその分出品時の値段を少し高めにしておけば良いし、非常識な値下げはきっぱり断るのも自由。
どれくらい利益を出せるかは、送料や値下げ分を考えつつどのくらいの値段で出品するかが肝となる。
……と熱く述べている私は、何故そんなにフリマアプリに魅力を感じているのだろう。
不要品をゴミに捨てる罪悪感を減らしたいだけなら、寄付だっていい。
少しでもお金になればと思うなら、段ボールでまとめて買取業者に送る方が楽だ。
フリマアプリで一つずつ出品すれば一番売り上げが上がるが、その分手間がかかることも否めない。
では何故?
アプリ上の私のページは、私が開いた小さなお店。
出品しているものは、以前に私が気に入って手に入れたものたち。
そうか、誰かがそれを気に入って買ってくれたときの幸福感は、SNSで「いいね!」をもらう嬉しさと似ているからだ。
自分が承認欲求強めな性質なのは自覚している。商品が1個売れるたびに誰かに認められた気がして小さな幸せを感じることは、私のストレス解消になっているらしい。
(もちろん、売り上げが入るのも同じくらい嬉しいのが本音だけれど)
最近はフリマアプリも種類が増えたので私も複数に登録し、各アプリの傾向の違いも研究中だ。
ちなみに、母もようやくあとボタン1つで出品という段階まで準備が整った。結構な人気ブログを書いていたのに最近卒業した母だから、フリマアプリでのちょっとしたやりとりにきっと喜びを感じてくれると思っている。
しばらくは困るたびに電話がかかってくるだろうから、覚悟しておかないと。
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