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「ラン活」を1日で終えたいあなたへ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡辺まほ (ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
花粉が飛ぶ季節。
この季節がくると、「ああ、もう年度末かあ」としんみりします。
 
そしてこの時期、
「ねえ、資料請求した?」
「展示会予約した?」
なんて声が、一部のママたちから、ちらほら聞こえてきます。
 
彼女たちは、5歳のお子さんがいるママ達。
話題にしているのは「ラン活」、すなわち「ランドセルを購入するための活動」のことです。
 
私には小2になる息子がいて、3年前に「ラン活」を実際に経験しました。
振り返ってみると、ちょうど3年前の同じころ、同じ年の子がいるママから
「ねえ、ランドセルの資料請求ってやった? もう動き始めないとダメみたいよ」
なんて言われて、
「えっ、そうなの⁉ こんなに早くからやるの?」
と焦りました。
 
そこから、約3か月、私の迷走するラン活がスタートしたのです。
 
今ならわかります。
ランドセル選びは、登山靴選びと一緒。
1日で終えることができたのに。
 
その日から私は、暇を見つけてはネットを検索する日々でした。
 
ランドセルは、私が子供だった30年前から、サイズはB5サイズからA4サイズへ大きくなり、重さも800~900gから1.2~1.4㎏まで重くなりました。
その他、自動ロック、背負いを補助してくれる立ち上がりベルトなど、機能も進化。
 
購入場所も、百貨店、職人の手作りを売りにする工房やメーカーからの直販、誰もが知るイトーヨーカドーやイオンなどの大手スーパー、インテリアショップの限定モデルなど、たくさんありました。
そして、色や、かぶせの鋲まで選べ、本当に選択肢が多すぎたのです。
 
ああ、一体何から手を付けていいものか?
 
何社かに資料請求すると同時に、ひとまず息子の意見を聞いてみることにしました。
 
「とっくんはさ、ランドセルどんなのが欲しい?」
「ランドセルって、なあに?」
「ランドセルっていうのは、小学生のお兄ちゃんたちが学校に行くときにしょっている大きな四角いリュックのことだよ。とっくんも、つぎの4月には小学生になるでしょ? それを準備しようと思っていて」
「ああ、あれね。僕ね、紫のランドセルがいい。ぶどうの色のやつ」
 
むらさき?
紫のランドセルなんてこの世に存在するの?
 
これは失敗でした。
選択肢をせばめることなく、最初に子供の意見を聞いてしまったのです。
5歳の子供に、カバンはどういったものがいいなんて意見があるはずなく、色くらいしか言いようがないのですよね。
 
ともかく、私はそこから濃い紫のランドセルがないか調べることになるのですが、結局、この検索行為は徒労に終わり、子供に次のように言うことになりました。
 
「あのね、探してみたんだけど、ぶどうの色のランドセルはないみたいなの。青とか紺色ならありそうなんだけど……」
「えー、ないの? んー、まあ仕方ないか、じゃあ青でいいよ!」
 
ありがとう、わが息子。
 
気を取り直し、カタログをみて、ネットの口コミを調べ、展示会を予約し、息子と一緒に実物を確認する日々が始まりました。
 
私は、安っぽいなあ、首に当たっているなあ、強度がいま一つ、デザインは好きだけど機能がおしいなあ、などと、こだわりすぎて、なかなかしっくりきません。
 
こうなると頼みは息子。実際に背負わせて、尋ねます。
 
「どう、どんな感じ? 重くない?」
「うん、大丈夫。青がいい!」
 
もうちょっと、感想ないのかな?
 
「もう探すの疲れちゃった?」
「ううん、ほかにも見に行きたい!」
 
弱ったなあ、これはお出かけを楽しんでいるだけになっているんじゃ?
 
息子には感想らしい感想がなく、困ってしまいました。
私も何軒も見るうちに、色々と考えすぎて頭の中はぐちゃぐちゃ。
まさに迷走していました。
もう疲れて投げ出したくなっていた私。
そんな時、ふと思いました。
 
そもそも私の選び方が間違っているのではないだろうか?
 
そこで はっ! と思い出したのです。
 
私は結婚前、当時働いていた会社の仲間と登山を楽しんでいました。
登山靴は何キロもの山道を歩くのに足を守る大事な道具です。
ランドセルも、6年間もの長期間、毎日使う大事な道具。
 
ランドセルも登山靴と一緒では?
専門店に行って、専門家に見てもらうのが一番良いのではないか?
 
そこから、再度ネット検索。
 
ランドセル専門店なんてあるのかしら?
あってほしい。
あってくれ!
……。
体にあったランドセルかどうかをカウンセリングしてくれる店。
これだっ! どこにあるの?
横浜? ちょっと遠いな。
龍ヶ崎。ここだ、ここなら行ける!
 
その週末、ドキドキしながら茨城県龍ヶ崎市の店舗に訪問しました。
 
「はい、この3つのランドセルを順番に背負ってね」
 
お店の方が背負いを補助してくれる機能が異なる3タイプのものを出してきました。
それぞれに3キロの重りをいれて、息子が背負い、店内をてくてく歩きます。
 
その様子を観察していたお店の方、あるひとつの機能のものが合うと選択してくれました。
息子の場合は、肩幅が狭く、細身のベルトのものがいいということで、その機能をもつ2メーカーの製品を勧められました。
 
そのお店には、専門家からみて、素材・縫製を含めて6年間の使用に耐えうる強度をもった製品しか置いていないということでしたので、勧められた製品から息子に好きな色を選ばせて、購入しました。
 
ああ、やっと終わった!
 
息子も喜んでくれて、私も無事選ぶことができ、ほっとした瞬間でした。
 
かくして私の「ラン活」は終わりました。
 
あれから3年弱。
今思えば、ほとんど自分のこだわりのせいで迷走していた「ラン活」でしたが、まずは選ぶ方針を決めるというのが大事なのだと勉強になったと思っています。
 
あの時買ったランドセルを毎日背負って、息子は元気に登校しています。
このお店では6年の間に、メンテナンスが2回無料でついています。
再来年度にメンテナンスを頼んで、その時に下の娘のランドセル選びもする予定です。
 
そう、今度は1日で終えられます!
 
 
 
 
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2020-02-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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