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映画は僕の国語の先生


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ひろり(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
僕は映画を観るのが好きだ。特に洋画が好きだ。
自己紹介を書くときには決まって趣味の欄に「映画鑑賞」と書いてしまう位好きだ。
結婚して、子供ができて、なかなか映画館に行けなくなってしまい、ちょっと寂しい思いをしているけど、やはり映画が好きだ。
映画館でポップコーン片手に観る映画は最高だ。
トイレに行きたくなるから水分は程々に。
子供の頃、テレビで映画が放送される日は、親の「早く寝なさい!」という忠告を無視して夜遅くまで観てしまう。しかもテレビ映画は当時週に三回もあり、毎回夜更かししてしまうものだから、仕舞いにはがっつり怒られてしまう。それでもまた懲りずに夜更かししてテレビ映画を見てしまうほど好きだ。
 
マニアとかオタクとか言うほどでは無いにせよ、僕は映画が大好きだ。
映画は僕に色々なことを教えてくれた……と思っている。
特に僕にとっては「国語」の先生のようなものだった。
 
僕がどうして映画好きになったかという事を自分で考えてみた時に、
一つの記憶にたどり着く。それは小さい頃に父に連れられて行った映画館の記憶だ。
 
父は船乗りだったから、きっと航海中に船の中でよく観ていたのだろう。とにかく映画が好きな人だった。
 
ある日のこと、父に手を引かれ、たどり着いたのは自宅から少し遠く離れた街の映画館だった。父は僕の手を引き、淡々と大人と子供のチケットを買い、映画館の中に入っていった。
どうやら、その日に限って父は僕をお伴に映画を観に出かけたのだ。
普段なら連れてこられない映画館。しかも生まれて初めての経験。当然僕はワクワクした。
しないほうがおかしい。
 
しかし、小さい子供を映画に連れて行くというのはかなりリスキーだ。自分が一生懸命観ていても、「父ちゃんおしっこ~!」と子供がぐずったら、トイレに連れて行かないといけない。映画好きなら鑑賞を妨げられたら当然イライラするだろう。そんなリスクを抱えても敢えて幼少の僕を連れていったのは、恐らくだが母から「映画行くなら、子守の一つでもせんかい!」と怒られて、渋々連れて行ったのではないだろうか。母ちゃん恐るべし。
 
とにもかくにも、初めて連れて行かれた映画館。薄暗い室内。イスがいっぱいで目の前には巨大なスクリーン。日常と切り離されたような不思議空間に迷い込んだような感覚だった。
 
まだ小さかったので全て覚えているわけではないが、初めて観た映画については今でもはっきり覚えている。それは「スーパーマン」だった。
映画が始まり、有名なテーマソングが鳴り響いた後、父と一緒に観始めたけど、話が全く分からない。ピッチリした青いスーツの人が空を飛んだり、ビルを担いだりしていることは映像で解ったが、それ以外が何も分からない。
 
話が分からなかった理由は「字幕」にあった。
 
当時は今のように必ず吹き替え版があったわけではない。
昔の洋画には字幕版しかなかったのだ。
映画館は字幕、テレビ映画は吹き替え、そんな棲み分けだったように思われる。
 
スクリーンの俳優が英語で喋る度に流れてくる字幕。読み終える前に次の字幕、また次の字幕と来るため、字幕を読もうと一生懸命になってしまうと今度は肝心の映画が目に入らない。それに字幕には当然漢字も含まれる。ひらがなだけ追いかけても何も意味が分からない。結局「???」の連続となり、気がつけばスーパーマンはあっという間に終了してしまった。
 
結局、生まれて初めて映画館で観た映画「スーパーマン」の内容に関しては全く理解することができなかった。唯一テーマソングのところで「大声で歌っていたぞ」という恥ずかしいエピソードだけが後に父から語られる事となった。
 
これは僕にとって非常に悔しいことだった。せっかく映画を観てるのに、内容が解らないなんてあり得ない。今にみていろ、絶対字幕を読めるようになってやる・・・!
とそこまで固い決意を抱いた訳では無いけども、やはり悔しかったのか、それ以降、テレビや雑誌に出てくる漢字を素早く追って、読み方と意味を確認する様になった。読めない漢字は両親に確認して、国語の宿題もちゃんとやった。学校の成績のためではない。あくまで映画の為なのだ。
 
そうやって字を追いかける生活をしている内にまた父と映画を観に行くチャンスが訪れた。
今度は「スターウォーズ エピソード6 ジェダイの復讐」だ。
(今の邦題は「ジェダイの帰還」だけど、当時は「復讐」だった)
 
前回の失敗を繰り返すまいと、今度は字幕と画面を交互に見ていった。
大人たちが余裕で映画を観ている最中、首を右に左に忙しく動かしていたから、きっと「落ち着きのない子供がいるな……」と思われたのではないだろうか。
 
頑張った甲斐あって、字幕を読み逃すことは無かった。しかし、肝心のストーリーについてはいきなり「エピソード6」だったので、結局のところよく解らなかった。
当たり前だけど、字幕さえ読めれば理解できるということでは無かったのだ。
とりあえず、敵の基地が最後にドカーンと大爆発したということだけは記憶に残った。続き物の最終話だけを連れて行くなんて、今思えば父もなかなかのお茶目な人である。
結局それでも十分映画は楽しめた。映画館で観る映画は今も昔も良いものだ。
 
以上、幼い頃の他愛もない話なのだが、「字幕を一生懸命追いかけて映画を観る」ということを頑張ったおかげで、かなり漢字に詳しくなったし、影響があったかどうかは定かではないが、音読が得意になり、そのおかげで国語の授業は随分楽になった。
多分字を目で追うことに慣れたからではないかと勝手に推測している。
ということで、映画は僕にとって漢字を教えてくれた学校以外の国語の先生なのだ。
 
そこから発展して英語の先生になってくれたらもっと良かったのだが、残念ながら英語の方はあまり上達せず、未だに字幕に頼ってしまうところが情けない。
また、学校の先生が教えてくれないようなキワドいスラングも映画で学習することになってしまうのだが、それは「社会勉強」ということで勝手に片付けている。
 
 
 
 
***
 
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2020-02-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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