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メディアグランプリ

いち販売員として、どうしても伝えたいこと


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:いしはら(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
わたしはずっと接客業が好きで、かれこれ12年程、あらゆるお店と様々な立場から接客販売を続けてきました。
 
そんなわたしにはいま、どうしても伝えたいことがあります。
 
販売員さんに、お礼のひと声をかけてほしいのです。
 
ひとこと、「ありがとう」「どうも」だけでいいから、伝えてほしいのです。
 
あなたはレジで、あるいはふらっと立ち寄ったショップで、対応してくれた販売員さんにお礼を言ったことはありますか?
 
わたし自身、お礼をちゃんと言うようになったのは、恥ずかしながら自分が接客業に関わり出した12年前のことです。
 
初めてのアルバイトは大学1年の頃、早朝のカフェでした。そこでびっくりしたのが、お食事を持って行ったりお会計をするとたいてい「ありがとう」と言っていただけたこと。わたしはそれまでお店の人にお礼を言えたことがなくて、ぺこっと軽く頭を下げることしかできていませんでした。
 
でも実際にお礼を言われてみると、とびきりうれしかったのです。それ以来、自分がお客さんの時は販売員さんにお礼を伝えるようにしています。
 
お礼を言ってくださるお客さまは、ヒーローです。
 
新卒で就職したデパートでも、お礼を言われることのありがたさに助けられました。
 
入社間もない頃、富裕層で良いモノを知っているお客さんに対してどこまで提案できるか不安でしかありませんでした。緊張の毎日でした。その中で、未熟ながら真剣に応対していたら、「丁寧にありがとうね」とお礼を言っていただけたことがあります。泣きそうなくらいうれしかった。またがんばろう、そう思えました。
 
一方で、接客業が好きなわたしでも、接客で心折れることもありました。
 
それはクレーム対応です。もっと言うと、クレームの中でも、感情的になっているお客さんの対応をすることです。
 
クレームは必ずしも悪いものではありません。お客さんによっては淡々と問題を指摘してくださる方もいます。これはただただ申し訳ない限りで、全力で対応します。
 
ところが感情的になられていると、話がうまくまとまらなかったり、必要以上の謝罪を要求されたりします。ひどい時はこちらに落ち度がないのに言いがかりをつけ人格否定をし、間に入った他の社員に暴力を振るい警察沙汰になったこともありました。
 
一度こういうことがあると、店頭に立つことが冗談抜きで怖くなります。またあの人がきたらどうしよう、あの人じゃなくても他の人からまた言われるかもしれない。わたしもかつて理不尽すぎるクレームを受けたあと、恐怖心が抜けきらず、しばらく怯えながら出勤していました。
 
だからこそ、いま騒動になっているマスクの買い占めの件で、対応に追われているドラッグストアの店員さんのことを思うと、とても心が痛みます。
 
SNSを見ていて、ドラッグストアの店員さんを名乗るかたの思いが綴られた文章を複数目にしました。ひっきりなしの問い合わせ。開店前から門の前には行列があり、お店に入ろうとすると矢継ぎ早に「今日のマスクの入荷は?」と問い詰められる。営業中もマスクがないと言えば「隠してるんじゃないか」「本当のことを教えろ」と怒られる。自分たちは悪くないのに、もう参ってしまった、と。
 
それでも、そういう文章を発信した店員さんは最後に「ねぎらってくださるお客さんに救われている」「この危機を頑張って乗り切ろう」と、前向きに締めています。すごく大変な思いをしているはずなのに、前を向いています。
 
「販売」って誰にでもできる仕事だと言われていますが、わたしはこの表現が嫌いです。たしかに販売はどんな人でも取りかかれるものではありますが、売るにはセンスが必要です。声をかけ続けたりクレームにも対応する根性もいるし、立ち仕事なので体力も求められます。明るさとか、要領の良さ、正確さとかも大事。
 
誰でもやってみることはできるけど、続けることはできないのが販売職です。
 
それでも、販売員は「誰にでもできるから」といって、下に見られがちです。お店に行けばそこにいるのが当たり前だし、お客さん扱いをしてくれるから、ありがたさを忘れられてしまうんですよね。仕方のないことです。
 
だからこそ、お礼を伝えてほしい。どんどん伝えて欲しいのです。
 
いま、多くの企業が在宅ワークに切り替えたり、学校がお休みになったりしています。みんなが外出を控えている中で、販売職の人たちは、お店を開けにいかなくてはなりません。
その人だって本当は外に出たくないでしょう。ましてやお店で不特定多数の人を相手に働くなんて感染リスクでしかありません。でも、それでも、お店を開けて必要な品物を購入できるようにしてくれています。
 
そんな人たちに文句ばかり言うお客さんのこと、わたしには理解ができません。
 
悪いのは、コロナウイルスです。
 
どうか、いま現場で頑張っている販売員さんに、ひとことお礼を伝えてください。わたしも引き続きそうします。あたたかい言葉をかけて、みんなでヒーローになりませんか。
どうかこの危機が、一日も早く終息しますように。明るい春を迎えたいですね。
 
 
 
 

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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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