メディアグランプリ

英語で「別人」に出会おう

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:EM(ライティグ・ゼミ日曜コース)
 
 
「ハロー、ナイストュミート・ユー (こんにちは、お会いできて嬉しいです)!」
 
日本人が外国人と会って話す時、ひきつった笑顔になっている人が多いように感じる。そんなに外国人が怖いのだろうか? これだけ海外旅行に簡単に行けるようになり、日本にも外国人観光客が多くいる今はそんなことはないだろう。英語を話すのが苦手だから緊張しているのかもしれない。日本の政治家でさえ、海外の要人に会うと日本で見せたことのないような笑顔になり、国内で見慣れた表情とのあまりのギャップに驚かされる。
 
商社マンでよく外国人と会っている主人にも聞いてみた。
「なんで日本人は外国人と会うと無理して笑顔になるの?」と。
すると答えは、
「こちらに余裕があるように見せるためかな」だそうだ。
なるほど、そういう理由の人もいるのか。
それはなんとなく分かるような気がした。
 
私は日本人だが海外で人生半分を過ごした帰国子女のため、会社では「外人扱い」される時が多い。会社での通訳という立場上、本物の外国人がいる会議でいつも外国人側に付いているし、言動がやや一般の日本人と違うことがあるのも原因だろう。廊下で同僚とすれ違う時、「お疲れさまです」と無表情でお辞儀をするのが苦手な私は、つい相手の目を見て笑顔で挨拶をしたくなってしまう。入社してから徐々に私に笑顔を返してくれる同僚が増えていった。そしていつの間にか名前も苗字でなく、下の名前で呼ばれるようになったりした。
 
同僚の中に一人特に印象的な男性がいる。とてもおとなしい、話すときはいつもうつむき気味で相手と目を合わせたがらないタイプで、所属部署では「暗い人」のイメージが定着している。その同僚が私と社内の廊下ですれ違う時、毎回引きつった笑顔になる時期があった。私が歩いてきた途端に急に表情を変えてくれるので「そんなに無理しなくてもいいのに」と申し訳ない気分になり、相手にそんな無理をさせてしまう自分が内心嫌だった。そこで勇気を出して廊下で話しかけてみた。たわいもない会話だったが、どんどん同僚の表情が明るくなって楽しそうに話していた。
 
その時に思った。明らかに私と話している間、一時的でもこの人は普段とは「別人」になっている。どうも私は彼の目に「日本語を話す外国人」のように映っているようだ。それからというものの、社内で他の人たちには見せない笑顔で明るく私と話してくれるようになった。もしかしていつも明るくなったのかも?と思って、彼の部署をのぞいて見ると、やはりこれまで通りの暗い表情で首を垂らして座っていた。その姿は周囲の人たちに「暗い人」というレッテルを貼られていてそこから抜け出せなくなっているように見えた。
 
このとき気づいた。私たちは外国人と自分の母国語以外の言語で話すとき、少し日常とは違う「別人」になるきっかけを与えられるかもしれないということを。
 
私がアメリカに行った子供の頃、英語を現地の学校で初めて学び、話していくうちにどんどんその国に馴染んでいった。今でも感覚的に覚えているのだが、外国語である英語を話すのには自分の中のこれまでとは違うエネルギーを使っていた。そしてその新しいエネルギーが心地よく、楽しかった。英語で自分の気持ちをはっきりと説明すること、いつも自分の意見を言うことを求められ、大変だったがそれをやろうと頑張っていること自体がワクワクした。私の両親曰く、日本にいた頃毎朝幼稚園に行くのを泣いて嫌がっていた私が、アメリカで英語という言語を習得していくうちに別人になったように伸び伸びしてきて、笑顔が増えていったらしい。
 
私が帰国して大学生の頃、中高生の英語の家庭教師のアルバイトをしていた。その時も生徒さんが英語を話すと表情が明るく元気になっていく姿を直に目撃した。日本語を話すときは恥ずかしがってモゴモゴ話すのに、英語の練習をしているときは大きな声で滑舌もよくなる結果、気分が高揚するのかもしれない。レッスンが終わるころには生徒さんたちは目線も口角も上がり、明るくなっていた。私が御宅に到着した時とは表情が全く違う生徒さんに毎回玄関で見送られて私は帰っていった。
 
英会話教室に通う日本人はどうだろう? やや無理をしながらも、外国人講師に合わせてレッスン中は明るくして、日本語とは違う発声をしているうちに生き生きした表情になる人を多く見かける。それは、マンネリ化した日常の自分とは「別人」を楽しんでいるのではないだろうか?
 
そこで皆さんにも提案したい。英語を話して自分の中の「別人」に出会って見ませんか?最初は引きつった笑顔になってもいい。それどころか、引きつった笑顔こそが、これから自分のコンフォート・ゾーン(自分の慣れた枠)を超えられる貴重なチャンスの証なのだ。
 
新たな自分を見つけることで、今までの自分に対する新たな視点も生まれるだろう。社会が、いや、自分で自分に「私はXXな人」とレッテルを貼っているものを取り払うきっかけにきっとなると思うので是非試してほしい。さあ、まだ見ぬ「別人」に出会いたい人は、外国人と英語を積極的に話してみよう! 私を使っていただくのも大歓迎です!
 
 
 
 
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2020-03-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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