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私の父親はゴルゴ13並に感情を出さないが、愛は深い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:安平 章吾(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私の父親は強面ながら亭主関白であり、なおかつ昔気質で感情を表に出さない、そしてヘビースモーカーという、まさに昭和を代表する男である。
 
そのため、家族のルールは厳しかった。
20時までにご飯が出てこなかったらその日の夕食は全員食べられず、その夕食中に少しでも会話をすれば「うるさい、黙って食え」と頭をたたかれる。そして、21時までに就寝しなければ、家の外に放り出されるのだ。
 
父親とは喧嘩しなかったが、母親とはよく喧嘩した。
しかし、その喧嘩も父親がいないタイミングでないと自分の身に危険がふりかかる。
 
「うるさい!」と鼓膜が破れそうになるほどの大声で喧嘩を静止され、それで終わらなかったら父親が仲裁に入り、問答無用で私が殴られる。
機嫌が悪いときには殴る前にテレビのリモコンを顔に向けて投げられる。父親がいるときに喧嘩をすると毎回非常に痛い思いをするため、よく考えて行動することを小さいながら覚えた。
 
仕事から変えると基本不機嫌な上に、何を考えているか見ているだけでは分からず、いつも怒っているのでは、と子どもながら気を遣い、顔色を伺っているのは今でも良く覚えている。
 
どちらかと言えば父親が嫌いだった。ルールを厳しく設定する割には、自分は私たちが普段過ごすリビングで、父親以外が嫌いな煙草を悪びれる様子もなく吸う。
 
小学生のときに一度だけ、父親に対して意見を言ったことがある。
 
「部屋で煙草を吸うのやめてほしい」
 
灰皿を投げられた。しかも陶器製。
 
これ以降、父親に意見を言うのを諦めた。
父親というのはずるく、自分のことしか考えていないのだろうなとも思うようになった。同時に、私は父親に対しては恐怖心しかなかった。他の友人から話を聞く「優しい父親」がとても羨ましかった。
 
しかしながら、そんな父親でも、ふと見せる優しさはとても嬉しかった。実は子どものことを大事に考えているのは母親よりも父親のほうであり、そして、心配性であることを成長とともに気づいた。
 
それは、これまで2回、唯一、父親が直接私に優しさを見せた場面がある。
 
小学生のとき、休日の昼間から学校の友人と遊んでいたが、たまたまその日、夜に地域の夏祭が開催されることを知り、事前に家族に相談することなく、その場の流れで参加することにした。
 
終わったときには20時を過ぎていた。私の家族は私のせいで夕食を食べれられなかったのではないだろうか。夏祭が終わったときに時間を確認したときには「家出しよう」と思ったほど、その日は家に帰るのが憂鬱になった。
 
仕方なく家に帰ると案の定、煙草をふかしながら父親が仁王立ちで家の前に立っているのが遠目に見えた。
 
「殺される」
 
そう思って恐怖心が高まって目の前が真っ暗になりそうだった。
しかし、父親の態度は想定していたものとは180度違った。
 
「おかえり、変な人に連れて行かれたのかと焦ったやないか」
「怪我はしていないか、さぁご飯を食べよう」
 
「おかえり」とこのとき初めて言われた気がする。
そして、私のことを心配されたことを今まで感じたことがなかったため、このときは不思議な気持ちになった。
 
それと同時に、父親に対して悪かったという気持ちからその場で大泣きし、何度も謝った。何より20時を過ぎて夕食を食べたのはこのときが最初で最後である。
 
また、高校の進路先を決める際、どうしても行きたい高校があったが、自宅から電車で2時間かかる場所であり、中学の担任や母親から猛反対された。
 
しかしながら、父親だけは違った。
 
「自分がやりたいことをやりなさい。その代わり中途半端は許さん」
 
父親にだけは相談できないと思っていたが、反応は真逆で父親だけが賛同してくれた。そして、母親の反対を抑え込んでくれた。
 
しかも高校に通い始めてから、早朝にもかかわらず毎朝最寄の駅まで車で送ってくれ、帰りも夜遅くになり、終電が過ぎていたときには車で1時間離れた駅まで迎えに来てくれた。
 
高校のときは車内で2人きりになる毎日が続いたが、特段話し込むことはなかった。それでも父親が私のことを想ってくれ、私が感謝していることも察してくれていたことは理解できた。
 
無言で何も話すことないが、任務は忠実に遂行する。
人を愛するという点では多少異なるが、私の父親はゴルゴ13に少し似ているな、とこのとき思った。
 
時は過ぎ、現在、私も2児の父親になり、私の父親は祖父となった。
 
父親が私の子どもと接する際には、自然な笑顔がこぼれ、過保護なほど心配し、煙草も外で吸うようになった。何より、私の子どもに会うために車で7時間かけて実家から私の家まで駆けつける。
 
私が一緒に過ごしたかつての父親の面影はない。しかしながら、変わらず、私のことを想ってくれたように私の子どものことを想ってくれている。
 
自分もそんな父親になり、自分の子どもが私のことをそう思ってもらえるようになりたい。
 
 
 
 
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2020-03-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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