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「二人分の命」時に忘れることも愛なのかもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Mina Shiraoka(ライティング・ゼミ特講)
 
 
まず、はじめに、これから話すことはすべて実話であると記しておきたい。
 
人生とは、予定調和でないから、面白くもあり、また、哀しくもある。
 
天気のように、晴れたかと思えば、雲が風に押され太陽を隠し、目の前の空間に影を落とす。
 
自然界の一部である私たちにも、コントロール不能なことが起こり得る。
 
そう、人生には、自分が思いもしない、想定外の物語がやって来るのだ。
 
たとえば、こんな形で……。
 
 
 
それは、今から10年ほど前、心理学の講座に通っていたときのこと。
 
「生まれた瞬間から、人生の流れを線にしてみましょう」
 
講師が明るい声でそう言った。
「真ん中が0で、下がマイナス、上がプラスです。横軸は生まれてから今までの年齢です」
 
テキストの図を見ながら、書き方の説明があった。
 
私のテーブル5人の生徒たちは、ペンを止めることなく、スラスラと線を書いていた。
 
 
私はというと……ペンを持って固まっていた。
本当はペンを置いて、投げ出してしまいたかった。
でも、できなかった。
周りの目を気にして、空気が変になるのが怖かったから。
 
講師はそんな私に気づき、一歩一歩、私のいるテーブルに近づいてきた。
 
講師は何も言わず、テーブルに座っている私と同じ目線の位置まで腰を降ろした。
 
一言も発することなく、私の心の声を感じ取っているかのように、ただただ黙って私を見守っていた。
 
無言の愛を感じた。
「これが、心理カウンセラーの心に寄り添うということか」
 
 
私は、心の世界に興味を持った自分は間違っていなかったと確信した。
子どもの頃から、人間の「言葉にならない心」を感じ取りすぎて疲れていた。
それは、ネガティブなことだと思っていた。
しかし、心理学を学ぶということは、心を感じることを最大限に遠慮なくできる。
ずっと探し求めていたものと出会えようで、嬉しかった。
 
 
「書けないです」
 
講師の無言の愛を感じ、私は空気が重くならないよう、なるべく明るい声でそう言った。
 
講師は、優しく頷いた。
 
ふと、周りの生徒のテキストを見ると、生まれた瞬間は0より上のプラスから始まっていた。
 
 
「自分が生まれたことが、喜びの出来事だったと思えないんです……」
 
 
私の言葉に、周りの生徒がペンを止め、楽しそうに話していた音が無音になった。
 
初対面の同じテーブルの方々に、これまで話したことのない話をするのは戸惑った。
しかし、私は、勇気を振り絞り、ぽつりぽつりと、唇を開いた。
 
 
「私が生まれて数日後、まだ産婦人科医院にいた赤ちゃんの私を見に来ようとして……
祖父が交通事故に遭ってしまい天国に旅立ってしまいました」
 
 
 
同じ目線に腰を降ろしている講師に見守られながら、私は、生まれた瞬間、正直に0より下の底辺の位置から線を書き始めた。
 
 
 
それから、3年後、私の人生を大きく変える出来事が起きた。
 
 
初めて参加したお茶会で、数秘術をするという女性に出会った。
電卓を渡され、西暦の生年月日を一桁で足していった。
電卓に「33」と表示された。
 
 
「数秘33ですね! 珍しい数字です。幼少期から大変なことが起こりやすく、人生が波乱万丈になりやすいんですよ。周りからも理解されないことが多くて、ちょっと、いや、かなり変わり者でもありますね」
 
 
優しい口調で楽しそうに話してくれる、その言葉が不思議と呼吸をするように私の中に入ってきた。
 
これまで、どこにも属せず、居場所のなかった私がぴったりと居場所を見つけたようだった。
 
 
お茶会の帰り道、数秘術の本を買い、一晩で一気に読み切った。
家族、友人などあらゆる人の生年月日を一気に計算した。
 
数字や計算は大の苦手だった。
それなのに、数秘術は自然と頭にぐんぐん入ってきた。
チョコレートが口の中で自然と溶けていくように、数秘術が私の脳内で自然と溶けていくようで、楽しくて仕方がなかった。
 
 
33歳になった頃、短期の仕事を増やし、お金を貯めて、数秘術の資格を取得した。
 
週末にカフェで数秘術の体験講座を開催するようになった。
講座後の帰り道に、スマホですぐに講座の様子をブログにアップするほど楽しくて夢中だった。アップするスピードがあまりにも早いので、よく驚かれていたほどだ。
 
今、思うと恥ずかしいブログの内容だが、大文字で「楽しかった〜!」とデカデカと書くほど無邪気に楽しかった。
 
 
 
数秘33が楽しくて、生きる喜びを感じていた。
 
そんな私を変えてくれた数秘33は、この時、思いもしない物語を連れてきた。
 
 
私が生まれたとき、天国に旅立った、あの祖父の名前を知ることとなる。
 
祖父の名前には、漢数字の「三三」が付いていた。
 
その事実を知った時、信じられなかった。
33歳で数秘33の活動が楽しくて仕方のない時に、祖父の名前に「三三」が付いているという、どこまでも「33」のシンクロに、出来過ぎた映画の結末のように感じたからだ。
 
 
人は驚きの事実に遭遇すると鳥肌が立ち、驚きのあまりすぐに涙は溢れない。
数分後に、ゆっくりと事実を受け入れ、そして、じんわりと涙が溢れた。
 
……
 
祖父の名前が付いている「33」の活動をできていること。
 
会いたくても会えない祖父と、会えたような気がして、嬉しかった。
 
心の底で、ずっと「ごめんなさい」と思っていたけれど、祖父の名前の活動をできていることで、恩返しできているように思えた。
 
 
この数年前は、どん底で入院もしていた。
その時のことを、天狼院書店のライティングゼミに投稿をし、まさかのランキング2位をいただいた。
不思議なことに、その時のランキングは「33rd Season 第3戦目」だった。
ここでも、「33」が応援してくれていたのかと、驚いた。
 
 
どん底もあったけれど、数秘33と出会ったことで私は、数え切れない喜びと幸せに出会った。
 
 
 
そして、祖父の名前に「三三」が付いていたと知った33歳の時から私の中に、揺るぎなく生きる軸ができた。数秘術や数秘33を伝えていくことが使命だと感じた。生きる力が湧いてきた。
 
今、心理学の人生を線にするワークで、33歳からずっと0より上のプラスの線を描いている。
「今が一番幸せ」と思えるようになった。
 
 
 
祖父は空の上から、きっと、私が罪悪感を抱いて気にして生きていることを望んでいないだろうから。
 
祖父の分まで精一杯命を輝かせていこう。
 
そんなことがなかったかのように、満面の笑みで幸せいっぱいの私になっていこう。
そう心に誓った。
 
 
「時に、忘れ難いことを、忘れることも愛なのかもしれない」
 
そう思ったとき、机の上のデジタル時計が午後3:33になっていた。
 
 
 
 
***
 
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2020-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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