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メディアグランプリ

無観客試合だからこそ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:和田 誠司(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「まじかよ、せっかく有給を取って開幕戦を見ようと思っていたのに」
世間を賑わしている、コロナウィルス感染症の影響で、プロ野球の開幕延期が決まり、オープン戦は無観客試合で行われることが決定した。
開幕戦延期は、僕にとってはショックが大きすぎるものだった。野球好きにとってプロ野球は、甘党の人のチョコレートのようなものだ。もうなくてはならないもので、無いと人生の活力を失ってしまうのである。
払い戻し金額確定の画面を見ながら、僕はただただため息をつくしかなかった。
決まったことはしょうがないので、オープン戦を楽しもうと思った。
嫁からは、「そんなもの見たってしょうがないじゃん」と憎まれ口を叩かれても、僕はオープン戦を見続けた。
ありがたいことに、今の時代はインターネットでプロ野球のオープン戦が見られるのは救いだった。いつもならファンの「かっとばせー〇〇」という声援や「パラパパラパー」というラッパなどの楽器の音はなく、とても静かなものだった。この静まり返った試合のおかげで、僕はあることに気がついた。実は無観客試合はとても面白いということだった。なんだったら、開幕戦も無観客試合でTV見るだけでも良いと思えた。静かな試合を楽しめない人は野球の楽しみを半減させ、損をしていると思う。
 
では、何が面白いのか、全部で3つある。
1つ目の面白さは、選手が意外に声を出していることである。誰かがヒットを打てば、「良いねー」や「ウェーイ」とか拍手もお互いに出し合っている。
普段なら応援でかき消されていたこれらの言葉が、静かな試合だからこそわかるのである。
それを見ていた僕は「意外にも選手は声を出しているんだな。プロになったらてっきり声を出さないものだとばかり思っていた」
解説の人も「プロはこうやって声をしっかり出しているんですよ。少年時代に教えられた基礎を今でもしっかりやっているんですねー」と言っていた。
僕も大きく納得した。声を出すことにより、実は連携が生まれているということにも気づいた。お互いに励まし合い、応援し合い、気持ちを高め合っているのである。
やっぱり野球はチームプレーを大切にしているのだなという気づきをもらえた。それからは、選手同士でどんな言葉を掛けているのかを見るのが楽しくなって来た。ただ、無観客試合の面白さはこれだけではない。プロの技術が分かるのである。
 
2つ目の面白さは、バットの音をしっかりと聞いていると、バットの芯を食った良いあたりなのかどうかが分かる。鈍い音でもヒットにする選手はバットコントロールが上手いということが分かる。正直今まで解説の人が「巧みなバットコントロールですねー」と言っても半分ぐらいしか理解をしていなかった。あとはキャッチャーのミットの音である。こちらが聞いていて、「パシッ!」と気持ちの良いキャッチングをしていると、キャッチャーのレベルの高さを理解できる。おそらく、投げているピッチャーも気持ちよくなっているのではないだろうか。ここからもチームプレーが伺えて、面白い。
今まで、応援することばかりに注力をしていたので、プロの技術を味わい尽くすことをしていなかったということに気がついた。野球好きであれば、むしろ無観客試合の方が技術をみることができ、良いと思えた。
 
3つ目は、選手の表情がよく見えることである。人間の心理状態がよく見えて、シナリオの無いドラマを見ているようである。
いつものプロ野球であれば、あまりベンチの様子を映さない。ピッチャーとバッターがメインであり、後はファンの応援の様子を映したりしている。
無観客試合はそうではなかった。ベンチの様子がよく見えるのである。実はベンチの選手たちも顔や声で、「ここで打たれたらまずいぞ」という不安な様子や「チャンスだからいけー」という元気を与える様子を表していたのである。ベンチの選手たちと同じ表情や声を出すことで一体感を持つことだでき、気持ちがよく理解できた。一人がよければ良いわけではない。チームで試合に勝たなければ意味がないのである。だからこそ、ベンチの選手たちも、マウンドやバッターボックスに立つ選手と同じ気持ちで応援する必要があるのだ。
「毎回こんなに、気持ちを込めて試合をしているんだな」と気づき、ここでもチームプレーを感じることができた。
 
無観客試合はまるでソムリエのようである。それは、本質的に何が大切なのかを見極めることができるということである。ソムリエの場合は、「ワインでは本当に大切なことは何か、なぜこの料理に合うのか」を僕らに教えてくれている。
無観客試合の場合は「僕が絶対にできないことを彼らがやってくれていて、僕らを楽しませてくれている。魅せる野球をしてくれているわけだ」
魅せる野球にはチームプレーは必ず必要なわけである。
僕はチームで頑張る野球を見ることがとても好きだと改めて気づき、明日への活力をもらうことができた。
 
 
 
 
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2020-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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