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メディアグランプリ

育児は「育父(いくじ)」でもある


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:氏野祥太(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「子供ができたかもしらん」
「お、おめでとう。(嬉しいはずなんやけど、複雑やな)」
 
そう思ったのが本音だ。
 
なぜだろう?
誰に報告しても、「おめでとう」と言われるこの嬉しい出来事に、私は素直に喜べなかった。
 
お金?確かに、これから自分のことばかりに使えるわけではない。
時間?携帯のゲームを辞めれば問題ない。
 
なぜだろう?
 
親になる重圧だった。親は、子供の性格、考え方、価値観、行動様式を作る重要な存在だ。
自分のような人間が親になるというのは実感がわかない。
 
ファンであるソフトバンクホークスが負ければ不機嫌になる。
食器かごの、もう乾きそうな食器の上に、新たな水滴だらけの食器を入れられるだけでも、不機嫌になる。
そんな私が親になるなど、どのような子供に育ってしまうのか……
 
ただ、時は止まってくれない。
 
妻のお腹の中で子供は育っていく。
 
妊娠6週目、妻に異変が起こった。
 
一日中続く吐き気。会社に行けないと、ソファーで寝たきり状態。
食べることも飲むことも、話すことも減っていった。
これか。悪阻というのは。
 
もちろん、今まで分担していた家事は、全て私がしなければならない。
私も仕事をしており、朝は6時半に家を出て、返ってくるのは20時半。それでも、妻の代わりに家のことは責任をもってやらなければならない。
 
妻は食事の幅がぐんと減ってしまった。
連続的に押し寄せる吐き気と闘いながら、飲食できるものを買ってくるのだが、要望も多い。
今まで買ったこともない食べ物を買いに走るため、一筋縄ではいかない。
面倒くさい。
仕事帰りに頼まれる買い物の量は、両手がふさがるどころか、買い物袋を床に置かなければ鍵が取り出せないほど多い。
自然とイライラしてしまう。
 
でも、妻は元気な子供を産むために頑張っている。
こんなことでイライラしてどうするのだ。
きっと子供が生まれてくれば、思い通りにいかないことも多い。
 
顔面にうんちを放たれても、服がよだれまみれになっても、常に平常心でいなければかっこ悪い親だ。
思い通りにいかないことしかないだろう。
 
平常心。平常心。
妻も吐き気と戦っている。美味しいランチも、見たい景色も、やりたい仕事もできない。
私よりも不自由なのだ。
 
困ったことは他にもある。
食事だ。
妻に任せっぱなしだったツケが回ってきた。
私に包丁を持たせれば、壊れた自動販売機状態。
食材は異なれど、出来上がるものは全て同じ炒め物。
多少、調味料が変わるぐらいで、味は似通っている。
食べられないことはないため、今こうやって課題に取り組む元気はある。
 
ただ、やはり飽きてくるし、何より、父も料理ができた方がかっこいい。
もこずキッチンのように、男性が美味しそうなパスタを作るなんて憧れだ。
妻からの助言で、正義の味方「クックパッド」を使う。
ドラえもんの四次元ポケット状態だ。これと食材さえあれば、料理ができそう。
クックパッドを使って、初めて作ったすき焼き煮に感動した。
意外と簡単にできたことから「案外、大したことないやん」と上から目線。
 
男として成長させていただいている。
 
妻は相変わらず、悪阻が酷い。
魂まで抜けてしまったような日もある。
3月は1カ月間仕事を休むことになった。
あんなに元気だったのに……と私も気が沈んでくる。
介護が必要になった時、こんな気持ちなのだろうか……とふと思う。
 
でも、一緒になって気が沈んでいてはどんどん気が滅入ってしまう。
せめて、元気な私が励ましてやらねばならない。
いつも通り、まずは体調を聞いてみる。
今日面白かったテレビを聞き、逆に私の日常の出来事も話す。
何気ない会話を絶やさず、妻と外の世界とを繋いであげる。
 
「お互いに年を取って、介護が必要になった時も同じなのだろうな」とふと思う。
同じように気が沈んでいては、もっともっと暗くなってしまう。
元気を分けてあげること、前を向けるような働きかけをすること、外とのつながりを持たせること、27歳という年齢で介護に必要なことも一部気付くことができた。
もっともっとあるのかもしれないが……
 
休日は、妻の体調も気になるため、外出をしなくなった。
社会人になって根を詰めて勉強をすることがなくなっていたことに気付いた。
企業会計、人材開発、マーケティングと、社会人として必要なことも勉強できる時間を確保できるようになった。
生まれてくる子供に、「こういう人間になりたい」と思わせたい。
そう思えるようになったのも、妻のお腹に小さな、本当に小さな豆粒ほどの、ただ、確かに生きているということを実感できる存在がいるからだ。
「全てにおいてレベルアップしなければ」と私に思わせてくれた。
 
穏やかな性格でいられること。
料理ができるようになること。
人を支え、勇気づけるということ。
そして、社会人になっても様々な知識を吸収し、常に進化していくということ。
 
親として子供を育てていくようで、男として、父として、子供から育てられているということに、気付くことができた。
今はまだ表に出てきていない我が子だが、もう既に大きな存在となっている。
 
 
 
 
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2020-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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