メディアグランプリ

大麻の種子から味噌を作った


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:川島智賀(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 

「大麻って、あの大麻ですか? 大丈夫なんですか?」
 
芸能人などの大麻所持による逮捕ニュースが世間を騒がせる昨今、日本はまだ大麻は合法ではなく、栽培することも許されていない。
 
そんな危険極まりない、一歩間違えば警察がやってくるかもしれない、大麻の種子を使って味噌を作るという、闇営業的なことをするのかと思いきや結構、堂々と指導してくれた。
 
アンチエイジングフード協会という、抗加齢のための食事術や健康法、環境問題など勉強する現役の医師が立ち上げた機関だが、ここのマイスターである、花巻ゆみ先生は主に発酵食品を研究されていて、独自でも料理教室やセミナーを開催されている。
 
実は最近、私もこの協会のマイスターとなり勉強を始めたところだが、この度ゆみ先生のご自宅にお邪魔して、“ヘンプ味噌”作りの教室に参加した。
 
「ヘンプ」とは大麻の呼び名で、ヘンプシード(大麻の種子)はスーパーフードなのだ。
現代人に不足するミネラルや、良質のタンパク質、オメガ3、オメガ6の必須脂肪酸など栄養素は満点。ダイエット効果や、免疫力アップ、アレルギー体質の改善などが期待できる。
これを使って今回、味噌を作ってきたわけだ。
 
普通、味噌は大豆で作るもの、という固定観念があり特に味噌に対して知識もなく、“ヘンプ味噌”と聞いて、大豆にヘンプを混ぜるのかな?なんて思っていたら、なんとヘンプ100%で作るということだった。
 
オーストラリア産のヘンプシードは粉末になっており、そのまま食べたらナッツのような食感と甘み、少々オイリーな感じでサラダの上にかけても良さそうな普通に、いや凄く美味しかった。
これを鍋に入れ、ひたひたまで水を入れ茹でた。そしてしばらく寝かせた。
 
次はボウルに米麹と塩を混ぜたが、この塩が「海部の塩」といい、塩なのに甘いのだ。多分ミネラル分がたくさん入っているからなのだろう。ゆみ先生も惚れ込んだ、珠玉の塩を使った。
 
先ほどの茹でて寝かせたヘンプシードを今度はビニール袋に入れ、麺棒でペースト状になるまで潰した。これが結構、力が要り今日一番の重労働だった。
掌で麺棒に体重を乗せ、コロコロと何度も転がす。手が赤くなる。左右に縦横にヘンプシードは白い汁気を滲ませ、形を変えていく。
 
いよいよメイン工程。
米麴と塩を混ぜたものに、このペースト状のヘンプシードを合体させる。これはちょうどハンバーグの種を作るような感覚だ。よく混ぜよく練る。ヘンプシードの香りが嗅覚を陶酔させる。やはり大麻だからか。危険な麻薬か。急激にお腹が空いてきた。重労働の後なのだ。思わず手についたヘンプシードをつまんでしまった。
 
「悪魔的だ~」
 
塩味と甘味の絶妙なバランス、めちゃくちゃ美味しい! 味噌になるまで待たなくていい。これをこのまま食べたい。
私は正直だ。
 
気を取り直し、一度手を洗い、今度は野球ボールくらいに丸め中の空気を抜く。ハンバーグと全く同じ。そしてそれを2Lの瓶の底に隙間なく埋めていく。何個も何個もボールを作り瓶の中で平らに埋めていく。
 
最後に、その表面を酒粕で蓋をする。
あらかじめ瓶の直径のサイズに合わせカットしておいた酒粕を、やはり空気が入らないように隙間なく押え接着させ、スプーンの腹でまた丁寧に押える。さらに瓶との境目に塩を一周させた。カビを生えさせないための策だ。
キッチンペーパーにアルコール度数の高い日本酒をスプレーし、瓶の口や内側のふちをキレイに拭いた。
 
瓶に蓋をして、やっと完成!
 
“ヘンプ味噌”が出来上がるまで、今日から10か月。冷暗所に保存する。
妊娠期間とほぼ一緒ではないか。我が子のような思いで待ち続ける。
 
味噌は日本の伝統食であり、和食には欠かせない調味料だ。
発酵という先人たちの知恵により優れた栄養素と、麹菌やはたまた私たちの掌にいる常在菌が融合する生きた食材、共生する関係だ。
これにより人の体は健やかに過ごせる。発酵食品は、人間と自然との一体感。
 
大麻は、人間との連帯感。
もともと古代の日本に自生した大麻草は、かつては「麻」として人間に多大なる利益を与えた。
現代では医療大麻なら日本でも合法らしい。
そんな禁断の種子で作った味噌は、我が子のように愛おしい。
 
10が月後、オリンピックも終わり寂しい木枯らしが吹くころ、私には楽しみが出来た。
初めて作った変わり種の味噌は、大麻の種子だ。
 
 
 
 
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2020-03-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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