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営業はAIで崩壊しない

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:氏野祥太(ライティング・ゼミ2019.12月開講)
 
 
「え、買い物行ってたんとちゃうの?」
「家出たら電話かかってきて……」
 
スーパーに行くと思っていた妻は、車のディーラーに行っていた私に半ば呆れていた。
家を出る前に自家用車の購入を見送ったものの、熱心なディーラーの営業の方につられて、私はディーラーに行っていた。
営業として平日働く私が、営業の誘いを断れなかった……
 
ただ、率直に感じていたことは、「この人から買いたい」ということ。
 
なぜそう思ったのか?「この人なら任せられる」と思ったからだ。
 
そして、思うことは「営業はAIには務まらない」ということ。
なぜなら、心が読めないからである。
 
新車の購入を検討したのは、子供ができるからだ。
妻の通院や、買い物、帰阪する際など、快適により便利に生活するためには、自家用車が必要だと考えた。
裏の理由では、昔から自家用車は欲しかった。
車離れが世間では謳われているが、私は離れたくない。
車に乗った時の、大人になった実感や、自分だけの空間で、自分の思い通りに行きたいところへ行ける高揚感は、今でも持ち続けている。
子供の頃、ゴーカートに乗った時に、感じたものと同じだ。
まだまだ、心が子供だからそう思うのかもしれない。
私にとっての自家用車は、スポーツ選手にとってのオリンピック金メダルだ。
 
その高揚感をそのままに、検討を始めた1週間後にディーラー巡り。
年度末のこの時期、ディーラーの方も決算月ということもあり、値下げ交渉もしやすいだろう。
 
1軒目のA社。フレッシュな3年目の営業。体育会系ということもあり、私と境遇が似ている。私の検討対象の車に試乗させてくれ、オプションの説明や概算金額の見積もりと、必要なステップを踏んでくれた。
 
2軒目のB社。威勢の良い挨拶。
「交通の便が良い関東圏で、なぜ購入されるのですか?」「購入までのステップはどうお考えですか?」「奥様はどこを重視されますか?」「どんな支払方法だと楽ですか?」「10月まで気が気じゃないですね」「悪阻とか大丈夫ですか?」
あらゆる情報がその営業には吸い込まれていった。
実は妻の悪阻が酷いことも、ついプライベートな話までしてしまった。
 
3軒目のC社。希望車種をまずは実車で見せてくれ、試乗車を確保するため、裏の駐車場に行った。が、戻ってこない。20分は帰ってこなかった。悶々としたが、戻ってきた営業の方と試乗。車の性能は抜群。試乗終了後、他社との性能比較や機能の説明を行い、概算見積もりを提出いただく。
 
全ての面談で、「来週、妻と一緒に試乗に来ます」と伝え、終了。
 
車の特徴や価格は分かった。妻にも伝え、ある程度車種を絞っていく。A社が脱落。
デザインと価格と過剰な機能が選定ポイントだった。
残る2社で迷っている。
 
ただ、その日の夜、友人が自家用車を維持する費用の高さに苦しみ、手放したいと言っていた。しかも関東圏では自家用車を使用することも少なく、帰省も結局新幹線だそうだ。
自動車は本当に必要なのか?
妻にも話し、今はやっぱり不要だと判断した。子供が生まれて、必要性を感じた時、購入を検討しよう。
 
その次の日、ふと電話が鳴る。
「B社の○○です!奥様の悪阻は大丈夫ですか?」
気にかけてくださってありがとう。「妻は一旦落ち着いております」と伝え、実は昨日妻と話し、購入に後ろ向きなことを伝えた。理由を聞かれたので、「維持費です」と伝えた。
「氏野さん、一緒に維持費を計算しましょう!今日30分だけで構いませんのでお話ししましょう」
 
嬉しかった。「維持費」がどの程度なのか、定量的な数字が見えていなかったので、必要な費用を計算していただけるのはありがたい。
 
その後、すぐディーラーに向かい、維持費の計算を手伝っていただいた。
自分の想定以上に費用がかかることも分かり、自身の年収やライフスタイル、今後の子供の予定なども考えると、購入は少し厳しいことが分かった。
しかも、電車を使えば、生活できないわけではない。子供が生まれることで、どの程度お金が必要になるかも正確にわかっていないなかで、自家用車を購入するリスクを鑑み、子供が生まれてから購入した方がよいと判断した。
 
人は、不安な時に自分から不安とは言えない動物だと思う。
周囲に相談ができなかったり、助けを求められなかったり、特に人間関係が浅ければなおさらだと思う。
 
こちらから働きかけなくても手を差し伸べてくれる存在には、一番の信頼を置けると思う。
また、悩んでいる課題が本当に課題なのか、明らかにしてくださったことも非常にありがたい。
営業とは、課題を見えるようにする力、逆に悩んでいることが重要な課題ではないことを証明する力も必要である。挙げればきりがない。決めたことをやり切る力、コミュニケーション能力、すぐに行動に移せる力などなど。
 
ただ、やはり営業とは、相手の心境を察し、寄り添って行動できることだと思う。
その点、AIにはできないだろう。なぜなら、人の気持ちを察するのは、人でなければできないからである。
複数のデータを掛け合わせ、答えらしきものを導くことはAIに任せられる。
でも、人がどのような気持ちかを測ることは、やはり人でしかできない。
 
AIでなくなる職業に、営業は含まれないと思う。
その点、私も営業という職業柄、襟を正さなければならない。
 
子供が生まれたら、B社の営業の方に相談しよう。
この方から、学ぶことは多い。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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