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メディアグランプリ

いつのまにか忘れていたもの

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:長倉恵美子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「ここ最近あなたは何か好きなことをしましたか? または好きなものに触れましたか?」
 
ふだんは職場と自宅の往復。休日は細々したことを片付けたり、人と会ったり、寝不足を解消することになったり。日々のやること、やらないといけないことで大人の毎日は過ぎていく。そんな日々を過ごしていると、いつのまにか忘れてしまうのだ。
 
最近、あまり自分の好きなことをしていなかった。そのことに気づいたのは出張先の美術館がきっかけだ。先月、イタリアに出張した際にヴァチカン美術館に行く機会があった。同行者がヴァチカン広場に行ってきたという話を聞いて、ヴァチカン美術館のことを思い出したのだ。学生の頃に行ってみてよかったので同行者にすすめてみた。ぜひ行ってみようという話になり、かれこれ10年以上ぶりに訪れることとなった。
 
ヨーロッパの美術館を訪れるのはひさしぶりで、「美しいものを愛でる」という好きなことをしばらくしていなかったことを実感した。東京でもたまに美術館に行くのだが、少なくともここ半年くらいは行っていなかった。今回訪れたヴァチカン美術館は、まず美術館にむかう時点で楽しい。入口を目指す途中の古い街並みも楽しい。ヨーロッパの美術館は建物自体が美しいことが多い。扉や柱、天井にいたるまで彫刻がほどこされていたり、天井画も美しい。首が痛くなりつつも天井画を見ながら、ああでもない、こうでもないと同行者と話すのは楽しかった。もちろん美術品も「教科書か資料集で見たことがあるような?」と思うものから、小さなものまで目に楽しい。ある展示室では昔の本がガラスケースの中におさめられており、その装丁の美しさにうっとりした。本が当時は貴重であっただろうことに思いをはせたり、いったいいくらするのだろうか? と想像してみるのもおもしろかった。前日の夜にチケットを事前購入して、目覚ましをかけて早く起きた甲斐がある。午前中の限られた時間だったし、うろうろ歩きまわったので後から疲れていることを自覚したりもした。すべての区画を見ることはできなかったが、それでも美術館を後にして午後の仕事にむかう私の気持ちは晴れやかだった。
 
昨年の秋から先月末にかけて仕事がわりと立て込んでいたこともあり、気分転換をすることはあっても「これが好き」というものにあまり触れていなかった。そういえば「月一のオルガンコンサートをサントリーホールに聴きに行きたい」とカレンダーに入れてあったのに見ないふりをしていた。この日は資料作成が、打合せが入りそう……と、なんだかんだ自分に言い訳をして有休をとるのをさぼってしまった。そうこうしている間に新型コロナウイルスの影響を受けて、今は実際にコンサートホールに足を運ぶことができなくなっている。仕事はちょっと横に置いて、普通にコンサートをやっている時に聴きに行くんだった! と思っても今さらである。
 
書いているうちに、まだ忘れていることがあるのを思い出した。花屋で好みの花を買って部屋の片すみに飾ることだ。別に特別な花を買う訳でもなく、キッチンブーケや何輪か選んで花びんに適当にさしているだけで満足できる。そんな適当な飾り方でも、たまに部屋の中に生花があるとなんだか華やかで好きだ。花屋に置いてある花が変わっていくのを見るのが好きなことも忘れていたと気づく。もう3か月もすると日中の室温が高くなるので、切り花を長く楽しむには適さないシーズンがやってくる。そうなる前に花屋に行ってウキウキと何か買って帰ろう。幸か不幸か、しばらく一週間以上の出張は入りそうにない。しおれてきた時にいつ処分できるんだろう? と出張直前の燃えるごみの日に悩むこともないのだ!
 
日頃の忙しさにかまけて、自分の好きなことや好きなものをそもそも忘れていませんか? まるでクローゼットの中にしまいこんでしまった大切な洋服のようになっていたりしないだろうか。ちょっと奥の方にしまってしまった、あなたの好きなこと、好きなもの。それはなんですか? 思いあたるものがあったら、そのうちと言わず、次の休日にでもやってみるのはどうだろう。人によって好きなことは様々だと思う。大人数が集まるようなイベントや海外旅行は難しいけれど、自宅や近場でできることであれば、ぜひ試してみてほしい。
 
たまたま行くことになった美術館で思い出したが、好きなことをしたり、好きなものに触れる時間はとにかく幸せだ。きっと「また明日もがんばろう」という元気をくれる。
 
 
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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