メディアグランプリ

「めんどくさがり屋は誰?」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中 真澄(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
2人の子ども達が中学生と時の話。
当時主人は海外転勤でフィリピンに在住で我が家は子どもと3人暮らし。
私は子ども達が中学生になったのでフルタイムで事務の仕事をしていた。
 
穏やかであまり不満の無い穏やかな毎日だった。
でも、1つだけ不満があった。それは子どもがめんどくさがり屋なことだ。
 
絶対に家事を手伝おうとしない。私の残業で忙しい時も手伝わない。
 
「手伝って」と口にしても返って来る言葉は、
「忙しい。」「めんどくさい」の二言葉だけだ。
 
手伝ったら、そんだ! とばかりに手伝わない。意地でも手伝わない。やぁやぁ言わない限りは無視をして部屋に閉じこもる。家事はお母さんの仕事と決め込んでいるらしい。
 
我が家はゴミ屋敷とはいかないまでも、結構、物が家の空間を圧迫している。
でも、これはこれで不満はなく、いつか片付ければいいやと軽く考え仕事の疲れもあって放置していた。
 
でも、九州に住む主人の母からの1本電話がその状態を許さなかった。
電話の内容は、1ヵ月後に観光の為義母が大阪の我が家に泊まりに来るとのこと。
それも義妹をつれて……
 
不味い、非常に不味い!
 
我が家は狭いながらも1つだけ空いている部屋がある。
元はちゃんとした部屋だが、使わないことをいいことに、捨てるのを迷った品々を放置してある。それもかなりある。
 
泊まってもらうにはその部屋しかない……
 
しかも片付けるのは、その部屋だけはない。
来客がないことや主人がいない気楽さを良いことに居間にも台所にもかなりの不用品を放置している。
 
義母達が来るのは1ヵ月後……
それまでに家中を片付け掃除をしなければいけない。
 
時間がない。どうしょう……
 
もう、心の中で良からぬ声が上がってくる。
どこかホテルをとってそっちに泊まってもらおうかなぁ……
でもご飯はうちで食べるだろうなぁ……
布団が無いって言おうかな……
ご飯の献立どうしょう……
お風呂のカビ取らなきゃ……
 
片付けるのを嫌さに義母達が我が家に泊まれない理由を考えてしまう……
 
でも、「泊めてもらえなかった」と言われる嫌さに片付けることを渋々決意した。
薬局に行き、ゴミ袋とマスクを買い片付けを開始。
 
いざ!と覚悟を決めて、始めるも、量の多さにすぐに心が折れそうになる。
 
着なくなった服、サイズの合わない服…
読み終わった本などなど……
 
やっぱりいるかな?
でも今まで使わなかったしを繰り返す。
 
いつか整理しよう、いつか捨てようと
後回しにしていた品々。
 
こんなにため込んでいたなんて、情けない思いで袋に詰るたびにため息がでる。
長年放置していたので、ハウスダストで目まで腫れる始末。
 
片付けを開始してからの毎日はいそがしかった。ごみの収集は朝の6時過ぎと早いので、寝坊は絶対にできない。大量のゴミを両手に持ち捨てに行き、仕事に行く。帰宅後はご飯を食べ終わると後は寝るまで片付けをする。
あののんびりとしていた日々は何処へ行った?と思ってしまうぐらいずっと動いていた。
 
半泣きになりながら、不用品の分別を続けるが。物への想いれが強いせいか中々思うようにははかどらない。
 
義母達が来る日迄、残り2週間…
 
もう、間に合わないかも……
ダメ元で子ども達にも手伝うように言うが、やはり手伝わない。
なんとか手を貸してもらいたくて大変だと言うことを説教臭く、くどくど言うが、
頑として手伝ってはくれない。横目で眺めているだけ。
時間がない。焦り出した私は便利屋を呼ぼうかと考え始めていた。
 
そんな時、あれほど動かなかった子どもたちが動き出した。
最初の日は無言で1時間だけ。でも、次の日もその次の日も手伝ってくれた。
子どもたちの変化に戸惑いながらも、手伝ってくれた事が嬉しかった。
 
日を重ねるごとに子ども達は自主的に動き出した。
 
中学生の時の本やノート、美術の絵、
漫画の本……etc
これどうする、置いておこうかと色々悩みながら、仕分けを続けていた。
片付けるのは無理だと思っていた家の中がスルスルと片付いていく。
今まで3倍のスピードで家の中が綺麗になっていく。
目処が立ってきた時、
 
やったー!万歳!これで間に合う!
文句を言われなくて済む! と心の中で喜んだ!
 
ほっとした私は、子ども達に「どうして手伝う気になったの?」と聞いてみた。
 
返ってきた言葉は、「 お母さんが頑張っているから」
その言葉を聞いた時、ハッとした。
 
私は、言葉だけで口だけで子ども達を動かそうとしていたのだ。
 
自分から動かねば人は動かない。行動で示さなければいけないことをすっかり忘れ、いつの間にか、口先だけになっていたのだ。
 
やりなさい、やりなさいと口からで言うだけ。
 
子ども達は、また言っているわ、位にしか感じず、面倒を押し付けられた感が
大きかったのだ。
 
そりゃ、動かないな……
 
しっかりと見抜かれていたのだ。
子どもたちを面倒くさがり屋に育てていたのは私だった。
そして、1番のめんどくさがり屋は私で子ども達は私の鏡だった。
 
ちゃんと行動が伴う伝え方をしよう、もう私の悪い行動を伝えないようにしよう思った出来事だった。
 
数日後、子ども達の協力のおかげで無事に片づけは終わり事なきを得たが、全員ハウスダストで目が赤かった。
そして、泊まってもらった部屋が物置になっていた事は、義母達には絶対に口が裂けても言えない事実だ。
 
 
 
 
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2020-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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