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メディアグランプリ

「死を目のあたりにして考えた生きる事の意味に驚愕した話」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:綿谷しふみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「紹介状を書くので直ぐに入院設備の整った大きな病院に行ってください」約2年前、会社の健康診断で言われた言葉に気持ちが大きく沈んだ。
 
今までずっと病気らしい病気はしたことがなく、健康診断もオールAの優等生だったのに、一体どんなことが私の体に起こっているのか。
 
ただただ憂鬱な気持ちでいっぱいだったあの日。
 
あわてふためいて、とにかく病院へ行こうと突撃したところ、どうやら予約がいるようで、門前払いされトボトボ帰宅する羽目になった。
 
その後、気を取り直し、予約を取って診察を受けた。
 
一番の気がかりはできている腫瘍が悪性か良性かにつきる。もし悪性だとすると部位的に長く生きられない可能性があり、健康優良児の私は恐れおののいた。
 
100歳位までは余裕で生きれそうな気がしていたし、もしかすると死ねない病気にかかっているかもしれないと思ったりもしていたから。
 
「健康優良児が早死にって。何なの一体」そう思ったりもした。
 
不安に追い打ちをかけるように、健康診断のオプションで付けた腫瘍マーカーの結果が異常値を示している。
 
腫瘍マーカーは癌発見機だと間違った認識をしていた私はビビりまくった。
 
「これはもう悪性決まりでしょ! ということは、そう長くは生きられない。 生きることができても5年位か。仕方がない。運命を受け入れよう」こんな風に往生際よく、自分の死を受け入れたつもりであった。
 
「なんという、潔さだろう」自分を絶賛してみたりもした。あることが頭をよぎるまでは。
 
そのある事とは、「人生100年時代」であった。この言葉が頭をよぎった瞬間。「早く死ぬなんて、なんか損した気がする。絶対損。だって宝くじが当たって大金持ちになるかもしれないし。日本にカジノができて大当たりするかもしれない。100歳までの間に何かとってもいいことがあるかもしれないのに、早く死ぬって損かもしれない」
 
長生きの時代に早く死ぬのはとっても損だと思ったのだ。
 
宝くじもギャンブルも一度もしたことがなく興味もないのに、何故こんな発想がでるのか甚だ疑問ではあった。そして何よりも損得で生と死を考えている自分自身に驚愕した。
 
本当だったら残された家族のことを考えたりするのだろう。考えはした。だけど私がいなくてもきっと大丈夫だろうと思ったのだ。
 
そして次にまた驚愕する考えが浮かんできた。ひとりの人の死によって一番悲しいのは誰か問題である。
 
私がくだした結論は一番悲しいのは死んでいく本人だということ。
 
死んでしまったら、もう誰にも会えないし、したい事もできない。全ての記憶が消し去られ無になる。こんな悲しいことはない。
 
遺された人たちは死んでしまった私に会えないかもしれない。だけど、あとは何も変わりがないではないかと思ったのだ。
 
早合点で100%死ぬと思い込んでいたので、まだ命がある人達がとても羨ましく、嫉妬の感情すらわいてきた。
 
「もし遺された人たちが、私がいなくなったことで悲しみ続けるとすれば、それはちょっと違うんじゃないか。一番可哀想なのは死んでいく私なのだ。それなのに生きている人が悲しみ続けるなんて厚かましい」と思ったりもした。
 
その時、死ぬきマンマンだった私は、元気な人との間に見えない薄い膜のようなものが張り巡らされているように感じた。
 
決して破られることのない薄い膜。異次元の世界へ放り込まれたような孤独感。
 
心の中は千々に乱れ、死についてあーでもないこーでもないと、自分一人で議論を戦わせていたのだが、病院での検査結果はあっけないものだった。
 
良性で特に問題なし。
 
腫瘍マーカーは腫瘍があると良性でも悪性でも異常値を示すらしく、関係ないとのこと。
 
今まで通り生きられると思ったとたん、どんなことも怖くなくなった。だって、死より怖い物なんてないから。
 
時々「いつ死んでもいい。そんなに長生きしたくないし」なんて言う人がいるが、それはきっと幸せボケのせいだろうと思う。
 
目の前に死があるわけじゃないから、そんな悠長なことを言ってられるのだろう。
 
「いつ死んでもいい」という言葉は、生きたくても生きることができなかった人達に、とっても失礼な気がするのだ。
 
もう二度と愛する家族や友人と会えないし、したくてもできなかった事が沢山あるはず。
 
私自身、死を目の前にして生きる事への執着がこんなにあるとは思いもしなった。
したいことを後回しにし、してこなかったことへの後悔が怒涛のごとく押し寄せてきたから。
 
死と向き合ったことは、ただ生きるのではなく、全力投球で生きていきたい強く思うようになったとても貴重な経験だった。
 
 
 
 
***
 
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2020-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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