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小規模保育園ってね、実は。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大田知賀子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「うわぁー! 認可保育園、全部落ちたー」
「どこに決まったの?」
「小規模保育園……」
 
保育園の入園通知が届く時期、児童館で会ったママ友と何度もこのやりとりをした。
 
保育園が決まる、決まらないは、仕事をするパパママにとって死活問題だ。
 
仕事をするには、仕事時間中、子どもを安全に見守ってくれる場と人が必要だ。それが保育園。
そして保育園の中にも種類があり、認可保育園だと小学校に上がるまでの、0歳〜5歳の子どもを保育してくれる国の基準を満たした保育園。それに比べ、私の娘が通うことになった小規模保育園は、多くが0歳〜3歳までの子どもを保育し、住んでいる市町村区の基準を満たしている保育園。小学生に上がる5歳までの間に、1度は他の保育園に転園する必要がある。
 
ほとんどの家庭は、1つの保育園に子どもをずっと預けたいと思っている。うちももちろん認可保育園希望だった。
 
2月生まれの娘は0歳クラスに預けるには小さすぎて、1歳になった年に保育園入園希望を区役所に申請した。0歳の赤ちゃんたちで満杯になった枠に、数人程度の追加枠しかない1歳児クラスは狭き門だった。
 
希望する8つの保育園のうち、7番目に書いた小規模保育園に決まった。
保育園激戦のこの時代、やっぱり小規模保育園だったか……というのが正直な感想。
 
小規模という言葉どおり、1フロア、全部で20畳ほどのスペースに14人の子どもが預けられる。天井に青空の壁紙が貼ってあり開放感はあるものの、窓は小さく、庭園はない。外にでると少しの駐輪スペースがあり、すぐに車道だ。
 
園庭なくてかわいそうだな……夏のプールはどこで入るんだろう……
初めての我が子には快適な保育園ライフを送ってほしいが、施設があまりに小さい。少し不安だったが、もう行くしかない! 意を決した。
 
登園から2週間ほどは、慣らし保育といって、短時間だけ預けて慣らす期間がある。慣らし期間を含め、4月中、娘はずっと泣いていた。ギャーギャー泣く娘を背に「ママ、大丈夫ですよ! いってらっしゃーい」と、笑顔の先生の声に、いつも送り出してもらっていた。
迎えに行くと「今日も泣いてました〜」と言われたが、子どもがどのように保育園に慣れて行くか、毎日いろいろアドバイスしてもらった。そして、ようやく1ヶ月経った頃から、娘にとって、恐怖の場所は安心する場所に変わって行った。
 
先生が大好きになり、お友達ができ、親の心配などなんのその、毎日楽しそうに通うようになった。
 
規模の大きい認可保育園ではやってくれないような、英語とリトミックの授業を取入れている園で、毎週開催された。青のクレヨンを「ブルー!」といった日には、驚いた。習い事がない日は近くの空き地や公園に連れて行ってもらい、虫をみたり、走り回っていた。
 
給食は園の手作り。新潟のコシヒカリなど、こだわりの食材を使ったご飯。家では「いらなーい」と言ってあまり食べてくれないご飯だが、園では「好き嫌いなく、本当によくたべますね〜偉い!」と言われるほどよく食べた。おやつも手作り。バナナのおやき、フルーツ寒天、おにぎり、ケーキなど、魅力的だ。保育園の記録には毎日「おかわり」の文字が並び、順調に体重が増えていった。
 
お絵描きや、工作なども、月に1つずつ、季節のものを作る。
シールの貼り方、ノリの付け方、クレヨンの使い方は保育園でマスター。
作品ができあがり、玄関スペースに飾られると「ママ見て! これ作ったの!」と、親子のコミュニケーションにもなった。子どもも楽しいが、親も楽しみながら成長の記録が目で確認できるよう、工夫してくれていた。
 
狭いと思っていたスペースも、仕切りの柵を移動したり、形を変えたりしながら、子供たちが十分はしゃいだり、走り回れるスペースを作りだす。
先生たちの知恵と工夫が小さいスペースに詰まっていた。
持ち物は着替えとおむつ以外にはなく、ご飯を食べるエプロンや公園用の帽子は園から支給。それもスペースを活用して、先生たちが手際よく洗濯し、いつもきれいな状態にしてくれていた。
 
そして気づくと、娘はたくさん出来ることが増えていた。
外に出る時は「車来るかな? 車危なーい」といって警戒し、飛び出したりしない。
手を洗うときは石けんを手につけ、手のひら・指の間・手の甲の順に洗える。ゴシゴシといってタオルで手を拭くまでがセットだ。
絵本を読む時は絵本を読むための歌を歌い、自然と手を膝の上に置き、座って読めるようになった。
「パプリカ」も歌って踊れるようになった。
 
週末に入ると、「先生に会いたいのー。お友達に会いたいのー」というようになった。パパとママより、保育園が好きなんかーい! と思ったが、娘にとって楽しくて安心できる場になっていることが嬉しかった。
 
よく遊び、よく食べ、よく寝て、娘にとって保育園は快適な旅館なんじゃないかと思うほどだ。朝夕の両親の送迎付き、1食、昼寝付きプラン。
贅沢な1歳児だ。
 
保育園生活を謳歌している娘とは裏腹に、認可保育園に転園することが決まった。旅館のような小規模保育園は1歳と2歳の児童が全部で14人だった。それが、0歳から5歳までの、91名の大所帯になる。先生はほとんど20代と若い。子育て経験はなく、保育者としてやるべきことをやっている。子どもを安全に預かってくれていれば、それだけでありがたい……が、しかし。
 
転園が決まって、わかってしまった。小規模保育園の温かさ。
先生たちはみな子育て中か、子育て経験者で、保育園児たちを我が子のように可愛がり、注意し、抱きしめてくれた。園長は、従業員である先生に対するケアが厚く、先生たちがのびのび、余裕を持って働いているように見えた。
その先生たちの余裕と安定感が子どもにも伝わり、子供たちも安心して保育園生活を過ごした。
 
子どもが安心して、楽しく過ごす場には、園庭は必須じゃなかった。
備え付けのプールも、開放感のある広い部屋も、絶対じゃなかった。
先生の安定した心理状態と、子供たちへのたっぷりの愛情が一番だった!
 
先生たちは、娘を一緒に育ててくれる親戚のような存在になっていた。
成長を一緒に喜び、娘の好き嫌い、得意不得意をよく知っていてくれた。たぶん、私以上に。
 
そんなステキな保育園に通わせることができて、娘の大切な人間形成の時期、とてもよい時間が過ごせたと思う。
 
最初は、小規模保育園かぁ……と思ったが、そこには温かい旅館並のおもてなしがあった。
 
これから保育園に入園するパパママへ、認可保育園がいいですか?
 
私は今胸を張って言えます。保育園は大きさじゃない!
小規模保育園、おすすめかもしれません。
 
 
 
 
***
 
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2020-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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