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コロナで見えた、食べて暮らせる安心


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:杉本 知隆(ライティング・ゼミ特講)
 
 
私は貸し農園で畑を借り、野菜づくりをしています。
普段は仕事なので、休日くらいしか作業する日はありません。
いわゆる週末農業というやつです。
週に1回か2回、畑で土に触れるのを楽しみにしています。
 
最近では、全国各地でコロナウイルス感染拡大が連日報道されており、世間は自粛モードです。
私自身も、他のいろんなお出かけをキャンセルもしていますが、畑作業だけは気にせず続けられるので助かっています。
 
畑作業は、よく言われるクラスター発生の条件と言われる3つの「密」の真逆だからです。
 
畑は、もちろん屋外なので、密閉空間ではありません。
菜園の他の利用者もいるにはいますが、それぞれ作業するエリアが決まっているので、密集とはいえません。
もちろん、密接して話すこともありません。
 
ただ、畑作業がおすすめなのは、コロナウイルスを気にせず出かけられるだけではありません。
畑で収穫した野菜を家で食べることができるからです。
 
自分で野菜を収穫することで、スーパーへの買い物も減らすことができます。
今は、外出自粛要請のおかげで、逆にスーパーへの買い物客が増えている気がします。
そんな中、あえて人混みに行かずとも、野菜が入手できる畑はありがたい存在です。
 
ただ、畑と言っても三坪ほどの小さな菜園です。
家族五人全員、毎日の野菜を賄うだけの種類も量もありません。
毎日の食事には、米や肉だって必要とします。
 
それでも、家庭での自炊が増えている中で野菜のレパートリーが増えるのは、ありがたいことです。
 
外食出来ずに、家でご飯を食べる機会が増えると、自分で野菜を作ったり、地域の直売所で野菜を買うことの大切さを感じます。
 
地域の野菜を地域で消費することを、地産地消と言います。
この世界規模の危機に直面した時、地産地消の力強さというものを感じています。
 
例えば「食料自給率」という言葉があります。
食料自給率は、ちょっと大雑把にいうと、一年に摂る食事のうち、「どれだけが国産であるか」という割合です。日本でいえば、約40%程度です。
 
少し前までは、国の施策として、自給率をあげようという動きもありました。
自給率40%が意味するものは、約60%が輸入に頼っているということです。
つまり輸入がストップしてしまうと、日本人が今の食事量(カロリー)の40%分しか取れなくなるということです。
 
それに対して反対意見もありました。
このご時世、輸入がストップすることなんて、どの程度あるでしょうか?
戦争が起きない限りはないのではないでしょうか?
専門家によれば、戦争よりも地道に貿易含めた経済活動を行った方が、国が潤うという意見もあります。
本当に戦争が起こる可能性なんてあるのでしょうか?
 
私も、実はこの意見に賛成でした。
無理に狭い日本の国土で、頑張って生産するよりも、頼れるところは外国に頼ればいいとさえ思っていました。
 
でも、この意見は間違っていました。
 
この世の中、何が起こるか分からない。
コロナウイルスという脅威に直面する今現在、世界中の国と地域で、このことを噛み締めている人は多いのではないでしょうか?
 
医療従事者。
観光業や接客業の事業者の方。
宿泊業の方
学校関係者。
 
コロナが直接的に関与している業種だけではありません。
農業の世界でも、飲食業が冷え込んで、影響を受けています。
和牛券やお魚券などは報道されている通り、高級路線であればあるほど、苦しい状況です。
中国からの輸入野菜量が激減していることも指摘されています。
 
今はまだ、今後どこまで影響が広がるかも、わかりません。
でも、新型コロナウイルスによる感染症が、日本の食にとって、戦争級の影響に発展する恐れがあることが今回わかったのです。
 
言い方を変えれば、戦争以外の理由で、日本の食が脅かされる可能性があることが分かったのです。感染症に限らず、世界の流通がストップするリスクはどこに潜んでいるかもわからないのです。
 
コロナや戦争で人間の行動は変わりますが、人間の生命活動である「食」は変わりません。
和牛を食べなくなっととしても、あるいは外食を控えるようになったとしても、必ずどこかで何かは食べなければ、生きていけません。
 
日本の農業は、近年、ブランド化の路線を辿ってきました。
美味しいお米や野菜、果物を作って輸出する。そんな動きが、国を挙げて取り組まれてきました。
それは、いわば産業としての「農業」です。
 
でも、生命活動としての食を支えるのも、やはり「農業」です。
よそに売り込んだり、よそから買うことばかりに偏ってしまうと、日本人の胃袋を満たすことができなくなるリスクだって出てくるのです。
 
世界規模の危機に直面した時、それでも飢えるわけにはいかない。その時、自分で作った野菜や地域で作られている農産物こそが重要になるのです。
 
実際、今回のコロナ騒動で、外出自粛要請があり、家庭内での消費が高まっています。
流通が不安定になった時、地場の野菜は強みになるのです。
 
私の家庭菜園では、そろそろ大根が収穫予定です。
一本あれば、1週間は持つでしょう。
もう少し、月日がたてば、玉ねぎだって収穫できるようになります。
 
この先どんな事態になろうとも、食べて暮らせる安心が畑にはあるのです。
 
 
 
 
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2020-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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