「選んで、進む」という人生を、あなたは振り返らずに歩んでいますか
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:布施京(ライティング・ゼミ平日コース)
フェイスブックで元夫を検索してみた。
私は、14年目前の分岐点で離婚を選んだ。
離婚して、5年後には再婚して、子どももできた。
家事も育児もよくやってくれる夫だ。
でも、口が悪く素直じゃないから、カチンときてケンカが絶えない。
そんなとき、自分が選択した分岐点を思い出す。
そして、あの選択は本当に間違っていなかったのだろうか、と考えてしまうのだ。
元夫とは、憎しみ合って別れたわけでも、嫌いになって別れたわけでもなかった。
現夫と違い、話し方がやさしくて、素直だった。
では、なぜ別れてしまったのか。
それは、私が自由すぎてしまったから、だった。
自分のしたい仕事を選択して、遠距離夫婦を5年続けた。
仕事の契約が終わるのに、私は夫が待つ家に帰ろうとしなかった。
それよりも、「次に自分がしたいこと」を見つけることのほうが大切だった。
夫の待つ家に帰ろうとしない私に、元夫は電話で問いかけた。
「どうして僕がいるのに、帰りたくないの?」
私は、頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしていた。
「……好き、じゃない……から?」
夫が唖然としているのが沈黙からわかった。
私も頭の中では半信半疑だった。
しかし、その言葉を口に出してみると、質問の回答にはしっくりくる言葉だった。
遠距離夫婦をしているとき、韓国の友人に言われたことを思い出した。
「韓国には『目に見えなくなると、遠くなる』という諺があるから気をつけて」
そのとおりになった。
夫婦というのは、近くにいたら、一緒に生活していく中で一体となって、イチイチ好きかどうかなんて、考えないのではないだろうか。
だが、「好きじゃない」と気づいてしまった。
それに気づいた後の私の行動は早かった。
離婚届に判を押して、彼に渡すまで、時間を要さなかった。
「もう連絡はしないでほしい」
最後に元夫からそう言われていた。
でも、私が再婚するとき、元夫がどうしているか気になった。
Google検索で、元夫の氏名を入れてみたが、特にヒットはしなかった。
それ以来、検索したことはなかった。
それが、最近フェイスブックをよく使うようになり、検索をかけて、友人のフェイスブックを探したりするようになった。
そして、ひらめいた。
「元夫が出てくるのではないか!」と。
同姓同名は3名だった。
うち2名は顔写真が載っていたので、違うとすぐにわかった。
残り1名のフェイスブックを開けてみると、奥さんと子どもの写真が最初に載っていた。奥さんは、とてもやさしそうな笑顔で写っていた。
「友達」欄を見ていたら、私も知っている人が数名いた。
「これだ」
確信した。
そして、思った。
「ああ、よかった。幸せなんだ」
本心からそう思って、長くゆっくりと息を吐いた。
妬ましさはなにもない、穏やかな、純粋な気持ちだった。
そして、目の前の霧が晴れていくような感覚になった。
「私の選択は間違ってはいなかった」
そう、確信できた。
彼の奥さんは、仙台出身だった。離婚した当時、彼は仙台に転勤したばかりだった。
推測でしかないが、おそらく、離婚した後に、そこで知り合ったのだろう。
離婚後、彼はその奥さんに出会い、私は今の夫に出会った。
あのときの分岐点から、お互いに次の分岐点に進み、選択した。
それで、よかったのだ。
離婚してから2年後、友人の結婚式に出席した。
その時、教会の神父さんがこんなことを言った。
「幸せになるために結婚するのなら、今すぐこの結婚をやめなさい」
一瞬会場がどよめいた。
「なにを言い出すんだ、この神父は!」
誰も口には出さなかったが、こんな心境だったのではないかと思う。
しかし、神父は続けてこう言った。
「相手を幸せにしたい、幸せにしてあげたいと思うなら、この結婚式を続けます。
互いに相手を幸せにしてあげたい、という気持ちを持つことで、結婚は成り立つのです」
「そういうことだったのか!」
誰もが納得した。
私は自分のことに照らし合わせて合点がいった。
私は、元夫に幸せにしてもらおうとは、思っていなかった。
しかし、幸せにしてあげたいとも思ってはいなかったのだ。完全に欠落していた。
だからうまくいかなかったのだ、と。
教訓から学んだ私は、二度目の結婚は、「相手を幸せにしたい」という自分の気持ちを確認してから結婚した。
でも、なぜかケンカは絶えなかった。
「どうして〇〇してくれないのか」
「もっと〇〇してくれたらいいのに」
相手を変えようとばかりしていることに気が付いた。
「相手を幸せにしたい」なら、自分から行動しなければならないはずなのに……。
夫は、神父さんの言葉を聞いていない。
まずは、私が「相手を幸せにしたい」行動をしなければ、始まらない。
自分を変える。
今、私は新たな分岐点に立っている。
そして、「自分を変える」という選択肢を選ぶ。
そうだ。
選んで、進む。
それだけのことだ。
人生はその積み重ねだ。
選んで、進む。
怖がらなくていい。
今までの私の選択も間違っていなかったのだから。
***
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