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こんな時だからこそ、ゾンビドラマで人間性を学ぶのも悪くない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田由美子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
新型ウィルスで家に籠りがちな日々が続く。
ドラマを見る時間が増えた。
どうせ見るなら、心弾む楽しいものが見たい。
だが、また見てしまった。ゾンビドラマ「ウォーキング・デッド」。
 
もともと、ゾンビ映画もホラー映画も大嫌いだ。
怖いし気持ち悪いし、見るとどっと疲れてしまう。
それなのに、夫の強い勧めで見ることになってしまった。
 
“映画「ターミネーター」や「エイリアン」を手掛けたゲイル・アン・ハードが製作総指揮を務める、アメリカで絶大な人気を誇るドラマ”
“あのオバマ大統領(当時)も、安倍首相も番組のファンだと公言”
 
そう言われると興味がそそられ、見ることにしてしまったのだ。
 
そして気づいたら、今年でシーズン10。
見始めて10年目に突入してしまった。
 
ドラマでは、死んだ人は全員ゾンビになる。そしてゾンビは人間を食べる。常にお腹を空かせ、崩れた顔で唸り声をあげながら、食料(人間や動物)を求めて歩き回る。
 
ゾンビに噛まれた人もゾンビになる。よって、どんどん増殖する。
唯一、息の根を止める方法は、脳みそを破壊すること。なので人間は、自分を守るため、大切な人を守るため、銃やナイフ等で戦い続けるのだ。
 
見始めの頃、一番辛かったのが、
「家族や恋人、大切な人がゾンビになったら、どうするかー」
ということだった。
 
多少は生前の面影を残しているとはいえ、もはや人間ではない。
変わり果てた姿の家族の頭部に銃の照準を合わせる人、なすすべもなくゾンビとなった家族に食べられる人。倉庫等で“飼い”続ける人もいた。
 
現実にはありえないと知りながら、「自分だったらどうするか」をつい考えてしまうほど、切実なシーンが何度も出てくるのである。
 
そして、残った者同士で寄り添い、共同生活を始める。川から水を引き、荒れた土地を耕して農作物を収穫し、生活を営んでいく。苦境にあっても、人間の知恵、技術、チームワークは素晴らしいと感心した。
 
「人間は、文明は、きっとこうして進化を続けてきたのだな」
 
一方で、豊かになった人たちが出てくると、略奪や殺し合いが始まる。そして、一度殺し合いが始まると、復讐の連鎖が続く。敵はゾンビのはずなのに、人間同士で争うのだから不思議だ。
 
争いのある世界では、何度も「人間性とは何か」が問われる。
 
それは例えば、“壁”の向こう側にいる、家族や仲間以外の人間に対する対応だ。
武器を捨てて許しを請う相手を、生かすか殺すか。
偶然出会った見知らぬ人間から助けを求められた時、どうするか。
 
人はひとりでは生きていけない。
武器や食料や住む場所を奪い合う世の中では、隙きを見せれば自分や家族、街全体を危険に陥れることにもなりかねない。
「人間性」と「身を守ること」、その狭間で難しい判断が求められる。
 
突きつけられる選択肢について、夫と意見が一致する場合もあれば、異なる場合もある。でもどちらかの選択肢が「正解」と思えたことはない。
答えのない問いなのである。
 
「現実世界でも同じだな」
戦争、テロ、壁、差別。現実のニュース等を思い出しながら、いつの頃からかそう感じながら見るようになった。
 
そして気づいたら、ゾンビがちっとも怖くなくなっていた。
ゾンビは人間を襲うけれど、騙したり嘘をついたりしない。
空腹を満たすために襲ってくるだけで、ある意味、野生動物と同じだ。
しかし人間は、妬み、騙し、嘘をつく。
 
そう、これはゾンビドラマではなく、究極の人間ドラマだったのだ。
 
大統領や首相を始め、経営者等でもファンが多いと言われるこのドラマだが、究極の状況をリーダーとしてどう生き延びるか、置き換えて見ているのかもしれない。
 
もちろん、人間は素晴らしいと思えるシーンもたくさんある。
友情や愛、生き抜こうとする力。そして生命の誕生だ。
 
「こんな世界でも子供を生むのか」。
最大の問いではないだろうか。
 
身重の体では逃げることも戦うこともできない。ゾンビは音に反応するので、赤ちゃんが泣いたりすると、それだけで自分や仲間を危険に晒す。食料も不足しがちだ。
それでも、この世界で生きようとする人間にとって、新たな生命の誕生は希望であり、生きる勇気につながる。
 
しかしここでまた、新たな課題が生じる。
幼い子どもたちに、人間性について、人を信じるということについてどう教えていくのか。武器の使い方や戦闘方法をいつからどうやって教えるか。生き続けていく限り、悩みは尽きないのである。
 
いま、私たちは、想定外の日々と向き合っている。
差別やバッシング、買い占め、地域によっては食料の奪い合い等のシーンをニュースで目にした。
 
別に自分が聖人君子だとは思わない。
ただ、追い詰められると人間の本性が現れると言うので、なるべく平常心を保っていたいと思っている。
 
こんな時だからこそ、明るく楽しいコンテンツの合間に、こうした本格的な人間ドラマを見て、人間性について考えてみるのも悪くないなと思った。
 
 
 
 
***
 
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2020-04-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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