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メディアグランプリ

頭痛と二重人格


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松尾 恵実(ライティング・ゼミ通信限定コース)

 
 

朝起きると体がいつものようには動かなかった。
力が入らないのだ。
枕に乗せた頭を少しずらしてみる。頭に鈍い痛みを感じる。
え、これは、まさか今流行の感染症ではなかろうな?
普段、多くのお客様と接する仕事をしている。
感染対策は十分すぎるほと行っていると思うが、万が一ということもある。
念のため体温計で熱を測る。
 

平熱。
 
例の感染症ではないだろう。たぶん。
 
なら、このけだるさは一体なんだ?
 
あ、もしかして……。
 
ベッドに横になったまま、枕元から手を伸ばしカーテンを少しずらして外を見てみる。
時間は朝の8時。空は曇っているのが見える。
天気は曇りか、雨か。
 

スマホで天気予報を見てみる。
降水確率60%だ。
おそらく今日は1日雨の天気だろう。
 

間違いない。
この倦怠感は頭痛のせいだ。
 

私は片頭痛もちで、気圧の変化で頭痛が生じる。
天気の変化が大きい時に、よくその症状がでてくる。
晴れだったのが急に雨になるとか、
雨だったのが、急に晴天になるとか。
最近多いのは、昨日は最高気温が10度だったのに、今日は最高気温20度になるなど、10度の気温差になったりとか、だ。
 

実際、昨日は晴れだったが、今日は1日雨だ。まさに片頭痛の症状がではじめているんだろうな。
片頭痛の時は、頭痛だけではなく、全身の倦怠感や吐き気も同時に感じることがほとんどなのである。
 

頭痛ででた時は、いつもの自分となんだか違う人物になったような気がする。
記憶や知識は昨日までの私と同じ人間なのに、考え方に変化を感じるのだ。
なにせ、何をやるにも体がだるい。
やる気というものが全て抜け落ちてしまったような気がする。
昨日まで、ばりばり働くマンだった自分だったとしても、翌日に頭痛が起きたとなれば何をやるにも面倒に感じる自分に変化する。
まるで二重人格のように人格が切り替わってしまったようなのである。
 

まあ、本当の二重人格は、記憶や知識にも変化が現れると聞いたことがあるのでこれはもののたとえだ。例えるなら、私のこれは、記憶や知識は同一人物、性格だけが変わる二重人格なのである。
 
人格がかわるきっかけは天気や気圧の変化ということになる。
水をかぶると性別が変化するという設定の漫画があったが、それと同じように、わたしの場合はきっかけがあると性格が変わってしまうのだ。
 

片頭痛に悩ませられるようになったのは、大学生の頃からだ。
頭痛の前後での自分の気持ちの変化に、神経を擦り切らされていた。
なぜなら、頭痛が出ていない私「Aさん」が羨ましくて仕方がなくなるのだ。
頭痛のでている私「Bさん」は、なんで、やる気に満ち溢れている「Aさん」みたいにできないんだろう。
劣等生が優等生を羨ましがるように、私は頭痛の出ていない自分を羨ましく思っていた。
頭痛がでていると、考えるのも億劫になってただでさえ苦痛な勉強が余計苦痛になる。「頭の痛みに悩まされることなく生き生きとしている優等生」になりたくてもなれない自分が悔しくもなってきた。
 

そんな自分が少しずつ変化していったのは、社会人となり働きだしていく中での経験が大きかったと思う。
薬局で働く私は、日々、さまざまな病気の方と出会う日々を送っている。
 

薬局にはさまざまな患者さまが訪れる。
数日で治る風邪にたまたまかかってしまいその日だけちょっと体調を崩している人。
風邪をこじらせて、一ヶ月以上咳が続いている人。
生活習慣病で、食生活や運動を生活に取り入れて、少しでも健康になろうともがいている人。
そして難病をお持ちで、これから一生治療を続けていく人。
 

私の働く薬局は、定期的に来局される方が利用されることがほとんどなので、多くの方とは一ヶ月に一度程度は顔を合わせることになる。
同じ方が同じ症状で来局されることも多い。
でも、その時々によってその方達の表情はまるで違う。
表情だけでなく、声でわかるその日の機嫌や、ふとしたひとことに紛れる不安などの感情も感じ取られる。
 

そして、多くの人と接するうちに、私はやっと気がついた。
そうか、同じ人は同じ人なのだと。
表情は違っても別人であるわけではなく、ただその日の状態が違うだけなのだと。
当然のことだ。
だから、自分も同じなのだ。
 

それまで二重人格のAさんとBさんは別人のような気がしていた。
頭痛持ちの弱い自分を、認めたくなかった。
でもどちらも自分なのだ。
AさんとBさんを足して2で割ったのが私なのだ。頭痛になった私が変質して、異常な状態になってる状態だと思っていた。そんなことあるはずないのに。
 

両方ともわたし。
やる気のあるわたしもやる気のない私も、あわせて私。
そう思ったら、
やる気があって元気な私Aさんの方が、頭痛がひどくてやる気の出ない私Bさんをいたわりはじめた。
 

「私がかわりにやっておくから、元気の出ない時は休んでいていいよ!」
元気な方の私が、元気がない方の私にそう語りかけいるようだった。
 

頭痛がひどくて、元気がでなくて、やる気がでなくても、最低限の仕事ができるし、ご飯は食べられるし、顔も洗うことができる。
無理しなくてもいいから、できることを確実にすればいい。
そして、元気な私の方が復活したら、元気な方の彼女に面倒なことをやってもらえればいいのだ。
 

元気がでない方の私がでてきた今日は、まずはコーヒーを淹れることから始めることにした。
それだったら、今の私でも簡単にできそうだ。
無理なくできる簡単なことからスタートすること。
それが、どんな私であっても、そこそこいい一日をはじめるコツなのだ。
 
 
 
 

***
 
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2020-04-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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