メディアグランプリ

タイムマシンがあっても使わず、今を遊ぶ


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記事:安平 章吾(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「生きるように働く」という言葉を最近よく目にする。
 
初めてその言葉を目にしたのは2年前。
そのときは意識高いな、綺麗事だろう、と考えていた。
 
しかし、仕事を10年続け、30代になった今ではその言葉の意味と重要性がよく分かる。
 
普段の生活の中に仕事があれば、好きなことを仕事にできれば、という考え方が私の中で理想になっている。
 
これまで、満然と日々を過ごし、特に先のことを考えず仕事を選択したこともあってか、仕事と遊びの境目を無くし、毎日を楽しく過ごしたい、という思いが強くなっていた。
 
私は、大好きだったバスケットボールを中心に、部活環境が充実した高校を選んだ。
大学は推薦で入学し、職業を十分に調べないまま、公務員試験を受けて県庁に入った。
 
文面だけで見ると順風満帆な人生を送っているように見える。私も県庁に入るまでは自分の人生が非常に充実しているように感じていた。
 
しかし、県庁で10年働き、日々の仕事に取り組む中で自分と向き合う時間が増え、何も考えなかったツケが今出てきている。
 
「君はどんな仕事をし、どんな部署に行きたいのか」
 
毎年、上司との面談で聞かれるこの質問が苦痛で仕方ない。どんなに考えても何も答えが出てこないのだ。
 
年数を重ねていくにつれ、仕事が楽しくなくなっていく。気持ちも入らないため、仕事がうまくいかなくなり、言われたことをこなす毎日になっている。
 
「何か職を変えたら、自分の生活は変わるのかもしれない」
 
そう考え、本格的ではないものの転職活動を始めている。日々、深夜にハロワークの求人票を見る時間が増えた。
 
しかし、30歳を過ぎた現在では将来をゆっくり考える時間もない。
 
焦る気持ちとともに、漫然と毎日を送ることへの辛い気持ちが積み重なっていく。
 
自分はこんな人生を送りたかったのだろうか。
 
少なくとも、大人になった自分の姿はもっと立派なものであった。
 
専門的な知識が必要な仕事、地域の中で多くの人に頼られている姿、どちらにしろ、自分にしかできない仕事に携わり、充実した毎日を送っているはずだった。
 
もし専門学校に行っていれば、もし部活で高校を選ばず地元の普通科に行っていれば、大学のときにちゃんと勉強し、職業を調べて色々な職場を巡っていれば……
 
過去がどうだったか、考えだすとキリがない。
 
そんな悩みを抱えていたとき、ふとした瞬間に思い出した。
 
「タイムマシンが使えたら、あなたならどうしますか?」
 
高校の推薦入試のとき、小論文で出題された課題である。
 
入試当時は、とりあえず目立った回答にしたいという意図から、あえて「使わない」という選択をし、内容をまとめた。
 
過去に戻ればこれまでと同じことを体験し面白くないし、仮に違うことをした場合、未来を変えてしまったら今の自分が存在しなくなる。
 
また、未来に行くとしても、自分の将来が分かってしまい、これから楽しみがなくなってしまうから嫌だ。
 
過去や未来を考えるよりも、その時間で「今」を楽しむことが重要だ。だから私はタイムマシンを使わない、という選択をした。
 
そのときの気持ちを振りかえってみて気がついた。
自分は「今」を楽しめているだろうか。
 
客観的に現状を悲観し、何も解決策を探さないまま、逃げている状態だった。
 
自分で選んだ人生。
 
これまで何も考えてこなかった過去を振り返り、将来どうなっているかという不安を考える必要はない。
 
「今」自分が何をしたいのか、楽しく日々を送るためには何をすべきか、ということを考えるようにしなければならない。
 
小論文を書いたときの気持ちを思い出して、まずは何でも良いので、仕事以外で楽しみを探すことにした。
 
そんな中、公務員が集まりつながりを持つ場である「よんなな会」というのがあることを同僚から聞き、すぐに私はその会のことを調べた。
 
すると、過去の開催結果の中に、お笑い芸人キングコングの西野亮廣氏が講師として呼ばれた会があった。
 
WEB上に講演記録が掲載されていたので、内容を読み、私は衝撃を受けた。
 
「公務員はすべての人間の中で一番攻めれる状態の人ですよね。公務員がすべての人間の中で一番遊べるんだから、一番遊んだほうがいいんじゃないんですか?」
 
「とにかく人助けみたいなのを普段からしといて、信用を稼いで、どっかのタイミングで公務員辞めちゃって。」
 
辞めていいのか、と読み終わったときは笑ってしまったが、同時に自分の中で何かがふっ切れた気がした。
 
「生きるように働く」という言葉の核心をついたような内容だった。
 
公務員だからと言って縛られる必要はなく、むしろ時間にゆとりがあるので、その時間で好きなことをしたらいい。
 
この考えはこれまでになかった。
 
それから、私は色々な行事や交流会などに顔を出すようにした。
 
地元青年部が行う夏祭りの運営に関わったり、市が主催する政策づくりの集まりに参加したり、ときには自分で企画した内容を業務時間外に事業者と実現させた。
 
気がつくと、仕事と同じくらいの時間を割いて、積極的に遊びに取り組んでいた。
 
休日も多くの予定が入り、場合によっては仕事よりも地域の行事に関わる時間が増えたときがあった。
 
これまでのように自分の過去を振り返り、先の見えない未来を考えるのではなく、「今」を楽しむことで日々が変わってきたことが少し実感できた。
 
忙しいながらも、仕事と遊びの線引きが曖昧な現状に満足している。
 
まだ、私は公務員を辞めてはいない。
 
しかし、西野氏が言うように、信用が稼げた上で、自分の中で良いお誘いやタイミングがあれば、今の仕事をすぐにでも辞めようと考えている。
 
「生きるように働く」
 
まだここまではたどり着いてはいないが、徐々に仕事と遊びの区別がつかなくなってきていることに、喜びを感じている。
 
 
 
 
***
 
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2020-04-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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