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メディアグランプリ

ドラえもんの四次元ポケットと数学に恋する予感と


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:西田千鶴(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は学生の頃から数学が嫌いだった。数学って聞いただけで、即、あームリ! と脳がフリーズしてしまうのだ。問題を解くのは苦痛でしかなく、数式が美しいとか、これっぽっちも思ったことがない。むしろ、そんなことを言うヤツの気が知れない。数式が美しいと言えるのは才能を持っているからなんだ。私には一生無関係な話だ、と心から思っていた。そんな私が、ある日突然、数学に恋をしてしまったのだ。
ことの発端は、ある書店での出来事。最近はネットで本を買うことが多いのだが、私にとってリアルにある書店は、歩いているだけでいろんな発見がある宝箱のような場所だ。ふと見かけたおもしろそうなタイトルに惹かれて、わくわくしてしまう高揚感は、実際に書店に足を向けなければ味わうことができないもの。一歩わた店の中に入るだけで、いろんな情報が一気に流れ込んでくる。さあ、今日は何を見つけにいこうか。
よくチェックするのは心理学とか自己啓発のコーナー。最近は、見えない世界のコーナーを見るようになった。いわゆる精神世界いうやつだ。見えない世界というとオカルトチックで怪しげだが、怪しげだからこそ、おもしろい。見えないんだからなんでもありなのだ。幽霊だっているかもしれないし、いないかもしれない。だけどその存在を絶対にいないなんて誰にも証明できないのだ。自分が思い込んでいればなんでもありなんだよなんて、読みながら、うなずいてしまう。まるで龍や神様が本当にいるかのように書かれている本は、目に見える成果や根拠ばかりを求められる今の社会の中で安らぎの場所のように感じられる。
その日はめずらしく自然科学のコーナーを歩いていた。私は、ある本のタイトルに目を奪われてしまった。そのタイトルにはこう書いてあった。
 
「四次元が見えるようになる本」
 
4次元がどうとか、次元上昇とか、見えない世界のジャンルならよく出てくる言葉。だけど、ここは自然科学のコーナー。その本はどうやら数学の専門書らしい。
「え? なに? 四次元が見えるの? これって数学書だよね? 数学の本なのに怪しすぎない?」
私にとって、四次元といって連想するのはドラえもんの四次元ポケットくらいなもの。完全にファンタジーの世界のお話。その世界を数学で証明するとは、一体どういうこと?
目の前には、「ほら、おもしろそうやろ? 数学が嫌いとか言わんと。まあ、ちょっとかじってみ?おもろいで?」と、にやりと笑う数学書があった。
「私、数学は嫌いなんよなあ。ドラエもんの四次元ポケットなら好きなんだけど。もし、四次元ポケットを数学で証明してくれるとか言うんだったら、ちょっと興味あるかな。あ、でも数式とか難しいの嫌いだからね!」
ちょっと上から目線で手に取ったこの本との出会いが、私の今までの思込みを崩し、数学に対する思いを180度変えるきっかけとなっていった。
本を読みながら、そもそも数学では次元という考え方は当たり前にあったことに気付いた。Xを2乗、3乗していけば、次は4乗、つまり4次元になるのは当たり前の話だった。しかし、数学での4次元という言うのと、4次元ポケットが私の中で全く結び付かななったのだ。さらに、数字は、5、6…… と続いていくわけだから、数学では、5次元、6次元と世界は広がっていくのだ! それってドラえもん越えの世界じゃないか! 数学だからこそ、ドラえもんを超えた世界、目に見えない世界を証明できるのだ!
見えない世界は、見えないからなんでもありだし、怪しいものだと思っていた。だけど、数学を使えば、見えない世界を誰にでもわかるように証明できるのだ。もちろん、素人の私にそんなに簡単に証明できるわけがない。だけど、今まで固く閉じられた数学の世界の扉がすこーし開いたような気がした。そして、その先に待ってるワクワクした世界の可能性を感じることができた。それは恋の始まりの予感に似ている。
数学は目に見えないものを、数式で定義し、最後には誰にでもわかる形まで解いて、目に見えるところまで落とし込むという学問。その見えないものをいかに証明するか?に世の中の数学者たちは、日々頭を悩ませていたのだ。
私の世界に数学が加わった。恋は始まらないかもしれないけれど、今までと数学との付き合い方は変わるだろう。数学の意味を知ったことで自分の世界が大きく広がったことは確かだから。
「ねえねえ知ってた? 四次元って、数学ではちゃんと表せるんだよ」息子にドヤ顔をして言ったところ、「今更、お母さん、何言ってるの?」と軽くあしらわれてしまった。そっか、あなたの世界にはもう数学はあったんだ。
これって、野菜大嫌い! って反射的に言ってた子供が、何かのきっかけで野菜大好きになるのに似てる。嫌いは好きの始まり。もしかして、嫌いだって思ってることでも、なにかのきっかけで、大好きになってしまうことって、あなたの気づかないところにたくさん隠れているのかもしれない。
 
 
 
 
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2020-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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