花を買って、家に帰ろう。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:兼子奈生子(ライティング・ゼミ日曜コース)
コロナウイルスの影響で急に在宅勤務になった。慣れない在宅勤務、日に日に増加する感染者のニュース、一人暮らしの孤独感などでストレスが積み重なっていく日々。時間がある分、不確実なこの先のことについて、悶々と一人で考えては苦しくなっている自分がいた。しかしながら、ある生き物との出会いを通して、私の生活は少しずつよくなってきている。
ある生き物とは、「花」だ。
花がコロナで落ち込んでいた私を救ってくれたと言っても過言ではない。ここでは、そんな花との出会いや私の生活の変化についてお話ししたい。この状況が苦しいと感じている人に花を買ってほしい。小さなことかもしれないが、何か変化があるはずだ。
スーパーで食料を買いだめし、家に帰っている時、花屋さんが目に入った。そこには、色とりどりの花たちが、元気に明るく咲き誇っていた。綺麗だなーとは思うものの、今まで花屋さんは誰かに渡すための花束を買うための場所としか思っていなかった。なかなか自分のために花を買うということを考えたこともなかった。しかしながら、今回は何か買ってみたい! 花に元気をもらえる気がする! と思い、茎からピンク色の沢山の花びらが元気についているモカラを買ってみたのだ。家に帰る途中、きれいに包まれたモカラを見るだけでるんるんっと心が明るくなった。家に到着。岡山で「かわいいー。いつか使おう! 」と思って購入した倉敷ガラスの一輪挿しがあるということを思い出した。早速その1輪挿しにたっぷり水を注ぎ、モカラを挿し、テレビの横の目立つところに置いた。倉敷ガラスの水色とモカラのピンクがよくマッチしている。そこでもテンションが上がった。
モカラを迎え入れて、自分の中に2つの変化があった。1つ目の変化は、モカラの生命力で自分が元気になったことだ。今までの私は、花や植物に関心がなく、生命力をあまり強く感じることはなかった。しかし、部屋の一角で上を向いて咲き誇っているところや1枚1枚の花びらに個性があるところ、明るいピンクの色などに強い生命力、パワーを感じた。モカラを見ると、私も頑張ろう! と背筋が伸びる。モカラのパワーや存在感に支えられていたのだ。一人暮らしの寂しさもいつの間にか忘れていた。2つ目の変化は、モカラを世話することで、自己肯定感が上がったことだ。毎朝、「今日も元気かな~?」とモカラの様子を確認し、水を変えるということを行っていた。モカラとの対話とでも言うことができるかもしれない。当たり前だが、水をこまめに変えてあげないと花の寿命は短くなってしまう。つまり、花がどれだけ長く生きることが出来るかは、その人の手入れの方法、花との向き合い方も大きく関係してくるのだ。小学生時代皆が育てるプチトマトを枯らした私だったが、無事モカラは2週間ほど保つことができた。生き物と向き合い、最後まで世話をすることができた。小さなことかもしれないが、自分をちょっと褒めてあげることが出来た。自分の肌と対話し、肌が欲しがっているお手入れをする、それによって自分の好きな肌状態を保てている! という満足感に少し似ているかもしれない。ずっと家にいると日々変化がなく、自分を褒めることを忘れてしまう人もいるかもしれない。そんな中、自分を褒めるとテンションが上がるので、ぜひ試してほしい。
花が与えてくれた自分へのいい影響だけでなく、花を買うことでの社会へのいい影響ということも考えてみた。現在、コロナの影響で各地での式典やイベントが中止になり、花屋さんや花農家へ予約のキャンセルが相次いでいるというニュースを見た。花の取引の価格が低下し、経営が苦しくなっているという状況だ。花を買うことは、自分自身にとってプラスになるだけでなく、花屋さんや花農家にとって少しでもプラスになっているに違いない。
こんな気づきが出来るなんて。こんな状況になっていなかったら、きっと花の魅力に気づくのはもっと先だっただろう。これからも積極的に花を買っていきたい。
最後に、花を買って、育てて、一緒に過ごして、わかったことがある。花はまるで親友みたいなものだということだ。それはなぜかというと、花は親友のように日々の生活にいろどりを与えてくれるからだ。パワーや沢山の気づきを与えてくれる存在、私を支えてくれる存在なのだ。近くにいるとだけで、安心し、元気が湧いてくる。特に、私のように一人暮らしをしており、外に出れない状況の中で孤独感を感じている人、まだ花のパワーを体感していない人に声を大にして言いたい。
「花を買って、家に帰ろう」と。
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