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ふられた後には


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:あめ玉(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
「結婚願望はあるけど、君とじゃないんだよね」
不意に、私の隣に座る人がいった。
時が止まった気がした。
 
まだ付き合って一年。
いや、もう付き合って一年か。
この期間が長いのか、短いのか、正直わからない。
友達の中には、お母さんになった子も少なくない年齢だ。
今年のゴールデンウィークには、友達の結婚式がまたある。
 
そんな中、結婚を意識していなかったかと言われれば、嘘になる。
私だって結婚したい。
子どもを産んで、育てて、家庭を築いていきたい。
そんな中、不意に言われた一言で、夢が崩れていった気がした。
 
「結婚願望はあるけど、君とじゃないんだよね」
座って聞いていたはずなのに、自分がグラグラと、メリーゴーラウンドに揺られている気分だ。思考が止まる。
「今じゃないっていうかさ、これには同意してくれるでしょ?」
隣に座っている人は続けていった。
 
まぁ、今じゃない、というのは理解できる。
経済的な問題も、仕事の問題もある。
結婚も簡単なものじゃないことくらい、私でも理解できる。
 
え、でも、じゃあ私たち、つき合ってる意味は何?
「つき合う」のゴールは、結婚じゃないの?
 
思考がまわる。グラグラする。
 
「そ、そっかぁ……」
そう答えるので精一杯だった。
 
私の父は、母のことが大好きな人だ。
毎朝、子どもたちの目の前で告白をして、「ふーん」と母に流されている。
私が物心ついた時にはもうしていたから、結構長い年月、毎日告白していることになる。
私の祖父も祖母が大好きな人だった。
どうやって二人が結婚したのか聞いたら、
「恋愛結婚なんだよ」と祖父が秘密を教えてくれるみたいにこっそり教えてくれた。
しかし、実際はお見合いだったらしい。
「お見合いだったのよ〜」と話す祖母の横で、いたずらっ子のように舌をぺろっと出して、
満面の笑みを浮かべていた。出会いはどうであれ、祖父は祖母のことが大好きだったから、恋愛結婚のように感じていたのだろう。
 
男性陣の方が、情熱的でより愛を伝える家庭にいたからか、
男性はそういうものだと勝手に思い込んでいた。
 
まさか、隣にいる人から、
「君とじゃない」
と言われるとは想像していなかった。
 
もちろん、私だって完璧じゃない。
もっと可愛かったら、もっと要領よかったらと思う。
 
それでも、そんな私を選んで、いいと思ってくれてたんじゃないの。
結婚願望はあるって言ったところもムカつく。
 
ふつふつと浮かんでくる怒りが、自分自身にも、相手にも、向かっていく。
ただ、相手に直接ぶつけられる勇気は持ち合わせていないが。
 
そんな状況に陥った人がすることは二つだろう。
とことん落ち込む
自分磨きを頑張る
 
私も例にもれず、両方実践した。
まず、落ち込んでみた。落ち込んでも、落ち込んでも、自分のことが嫌いになって、相手のことが嫌いになるだけだと途中で気づいたので、早々にやめた。ただ、泣くことは必要なことだった。
次に、自分磨きをしてみた。自分磨きは、落ち込むことよりパワーを使った。
まず、何から始めたらいいんだ?
自分磨きって何したらいいかわからないほど、自分を磨いていなかった事実に直面した。
ベタに、美容院、ネイル、食生活を変えるなど、順番にやってみた。そのあとは、新しい洋服を買いにショッピング。友人に勧められたプロテインを飲んでみたら、なぜかニキビが一個もなくなった。それを機に、化粧品も変えてみた。
 
落ち込んでも、自分磨きしても、心の穴は埋められていないことに気づいていたけど、
どうしたら穴が塞がるのか、わからなかった。
とりあえず、自分磨きを実践していた。
ふと気がつくと、家にモノが溢れかえっていた。化粧品、つけ爪、ヘアケア……。
よし、次は断捨離しよう! それでスッキリしよう!
思い立ったが吉日、すぐに整理を始めた。小物の整理はすぐに終わった。
手こずったのは、洋服の整理だ。
 
洋服の整理にもいろんな種類があるらしい。
いろんな整理の方法を携帯で検索してみてみる。
理想の自分が着ていたいかどうかで、選ぶのがいいらしい。
よし、やってみよう。
 
服を買った時やもらった時のエピソードにつられて、考え込んでしまう時もあるが、
自分が着たいかどうか、理想の自分が着たいかどうかの軸に戻り、
選択していく。
 
結局、自分がどうしたいか。
服の選択をしているうちに、思考が整理されてきた。
 
自分はあの人とどうなりたかったんだろう。
結婚したいって気持ちはあったけど、あの人と結婚したかったんだろうか。
君とじゃないって言われてショックだったけど、それは相手の気持ちだったんだよなぁ。
私はどうしたかったんだろう。
 
結婚したい気持ちが先走りすぎて、相手との気持ちがすれ違っていたのかもしれない。
でも大事だったのは、私が、その人と結婚したかったのか、どうか。
相手も結婚したいと思ってくれているか、どうか。
 
考えながら、服を仕分けしていたら、クリスマスにプレゼントでもらった服が出てきた。
一回着たきりの服。深呼吸をして、服を手に取った。
 
自分に聞いてみる。
理想の自分はこの服を着ているだろうか。
 
手に取った服を眺めた。
小さくお礼を言って、仕分けの箱に服を入れた。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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