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時代は失恋直前みたいなもんだろ?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ムックブック(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「他に好きな人ができた」
「……」
「別れて」
「……」
「さよなら」
「……」
 
20年以上前の電話。
私がとある女性を振ってしまったときの思い出。
 
予兆はあった。
いつもと同じことをしても、急に楽しめなくなった。
昨日と同じことをしているのに、今日は楽しくなかった。
いつも通りのデートのはずなのに。
早く終わってほしいと願うようになる。
 
最近、そんなことを思い出した。
散髪をしに行ったときにだ。
 
多くの人が、コロナで不安になっていると思う。
もちろん、しんどい。
でも、気持ち的には意外と切り替えは簡単かもしれない。
今日は、そんな話だ。
 
私は美容院より散髪が好きだ。
それは、店主との会話だけでなく、顔剃りやマッサージなど非常に気持ちの良いサービスがあるからだ。
なので、長居をしたいし。
何なら、リラックスして、寝てしまうときだってある。
心が開いている。
 
しかし、その日。
会話は、ほとんどなかった。
自動ドアも全開だし。
マスクをしているし。
入口には消毒用アルコールが置かれているし。
今の状況の中で、可能な限りの配慮をしてくれていて。
きっと理容師のおっちゃんも不安を抑えて、営業をしているのだろうと思う。
 
ただ、チョキチョキと髪を切られながら、私は違和感をずっと抱えていた。
その日は違った。
 
「話しかけてこないで」
「顔を近づけてこないで」
「さっさと終わらせて」
「この居心地の悪い空間から早く立ち去らせて」
 
そんなことを心の中でつぶやいていた。
 
お客さんが少ないから。
いつもより丁寧に。
しかし、いつもよりテキパキとした仕事。
いつも以上の仕事、いつも以上の心配り。
でも、私にはどこか不安があった。
私の心は変わってしまっていた。
同じことをしているに、相手がどんどん冷めていく。
 
ふと気づいた。
その感覚は過去に味わったことがある、懐かしいものだった。
失恋手前のディスコミュニケーションと同じだった。
いつもと同じはずなのに、居心地が悪い。
昨日までは楽しかったのに、今日は楽しくない。
あの日に感じた予兆と同じ感覚。
 
いつも通りのデートのはずなのに。
同じことをしているのに。
早く終わってほしいと願うようになる。
失恋直前の、冷めてしまった恋人の気持ちのようだった。
 
別に恋愛話をしたいのではない。
コロナで変わってしまった自分の心。
不安だけれども、それは、過去に味わったことのある感情だったということだ。
 
コロナはいろんなことを変えてしまった。
仕事で言えば、同じサービスをしても、もうお客さんが満足してくれるかはわからない。
きっと今、いろんな方が、直面した仕事の課題に悩んでいるはず。
同じことをしようとしてもできない。
同じことをしていても、お客が来ない。
心変わりをされてしまった。
強制的にさせられてしまった、というべきか。
 
未曽有の危機、誰もが経験したことが無い時代。
そんなことをメディアは言うかもしれない。
しかし、知っていることに置き換えてしまえば、意外と何とかなる。
 
私のように、恋が終わる直前、と思ってしまえば、意外と怖くない。
これまでに味わったことがある経験と一緒なのだから。
 
ある日、突然、電話に出なくなった。
電話しても、長く話すことがなくなった。
メールの返信も遅くなった。
そうしたら、別に好きな人ができたと言われた。
夏休みに、楽しいことをしようと考えていた矢先だった。
 
なので、死ぬほどへこんだ。
うらみつらみの手紙を書いたが、出せなかった。
 
まあ、いい。
しんどかったけど、今は割り切っている。
大事なのは、乗り越えた事実。
 
振ったこともあるし、もちろん振られたこともある。
立ち直ってこれた。
すべて経験済みだ。
 
今、思考停止してしまうのではなく、身近な経験に置き換えていけばいい。
だから、必要以上に怖がる必要はない。
 
もしピンと来なければ、仮に仕事に置き換えて、考えてみてほしい。
今、この文章を読んでいるあなたは、振る側か、振られる側か。
消費者としては振る側か、仕事としては振られる側か。
振る側なら、無視するかもしれない、文句を言うのかもしれない。
振られる側なら、ちょっとした冷たさにビビるのか。
 
私の仕事はエンタメ系のイベント屋だ。
これまで通りに、「リアルは楽しいよ!」とだけ言っても、これまで通りにお客さんは来てくれないだろう。
別の魅力をアピールするのか、別のお客さんを探すのか。
手立てはいろいろだ。
 
少し想像しやすくなったのではなと思う。
それぞれのパーソナルな経験と変わらないということ。
実は、想像できる何かに例えることができた。
だから、怖くない。
もちろん、傷つくかもしれないけれど、
 
あれから女性に振られたことも何度もある。
そのたびにきっと何かを学んだ(はず)。
 
今、これからの仕事がどう変わっていくのか。
漠然とした不安があったが、もう大丈夫になった。
 
もし今、コロナで不安を感じているなら、失恋のことを思い出そう。
同じ振る舞いをしても、心が通わなくなってしまった、あの感覚。
不安しかない、気持ちが離れている状況。
つらいかもしれないが、過去の失恋から立ち直った人ならば、きっと今も大丈夫。
ちょっと痛いかもしれないし、ちょっと傷つくかもしれないが、それくらいがちょうどいい。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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