メディアグランプリ

通りすがりのマジシャンが教えてくれたマーケティングのイロハ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:片山峻(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
マジシャンに目の前でマジックやってもらったことありますか?
最近はコロナの影響で飲み屋に行ってる場合ではありませんが、飲み屋のテーブルを相手にちょっとした手品を披露してくれるマジシャンを時々見たことがある人ももしかしたらいるかもしれません。
 
少し前ですが、私もある日池袋の居酒屋で飲んでいると、マジシャンがふとやってきました。(最初は店員さんかなと思っていました。)
 
まずいくつか簡単(と素人目に見える)な手品をいくつかやってみせた後、そのマジシャンは次に同じテーブルに座っていた人ひとりひとりに向けた心理戦を交えた手品を提案してきました。
そして「これうまくいったらお気持ちで構わないので投げ銭ください。」と言ってきました。
 
こちらはお酒も入っているし割と社交的な面々が多かったので、これを快諾。
マジシャンとの心理戦交えたショーが始まりました。
 
ショーの始まり、と書いておきながら実際の内容がどういったものだったか。
それは残念ながらあんまり覚えていません。
結果から言うと、そのマジシャンは個々の心理戦にことごとく勝利し、同じテーブルのメンバー全員から投げ銭を獲得することができました。もちろん私もその一人でした。
なんならそのメンバーの中で一番多く払っていたかもしれません。
地味に感動、というか心地良さの度合いが他の人より大きかったのかもしれません。
 
なんとなくそのマジシャンは、心理的に「ノー」と言いにくいゲームへ持っていくのがとても上手だったのをなんとなく覚えています。
彼はまず「これうまくいったらお気持ちで構わないので投げ銭ください」とルールというか前提を伝えていました。
しかもこちらが断ってもいいように、あらかじめこちらにすべての選択肢を任せていたのです。
 
この提案以前に「お金ください」なんて一言も言わずタダで手品をいくつか披露していましたし実際メンバーは喜んでいました。
なんとなく「断る理由がない」状態にテーブルにいたメンバーが全員なっていたと思います。
 
そして投げ銭をもらう手品が彼の中での「目玉商品」だったのでしょう。
ここまでの流れを自然にかつ相手を心地良い状態で誘導していたので、この時点で彼の勝ちは確定だったのです。
当時なかなか新しいお客様への提案がうまくいっていないのを悩んでいる最中でもあったので、このスムーズさにすごく感動したのだと思います。
 
私たちは常に多くの広告を通じて商品やサービスのアピールを見せられ続けています。一方で販売や営業、企画をやっていれば、目の前のお客様に対して商品を提案することが日常茶飯事の人も多いと思います。
 
私だってもれなくそのひとりです。何よりフリーランスという身の上である以上、自分で自分のサービスの良さをプレゼンしなければならないですし、その結果も良い悪い関係なく自分にダイレクトに跳ね返ってきます。
 
「売る」という場面になると身構えるのは目の前のお客様だけではなく自分自身もそうなのかもしれません。苦手意識がある人ほどそうなりがちです。
 
社会人になって最初の頃は「普段通り喋れば良かったのに、なんで変なモードに入っちゃうの?」とよく先輩に叱責されていたのを今でも思い出せます。
 
今ではその原因が分かります。なんとなく提案する内容に不安な状態があったままだったのだと思います。
その不安は自分が思っている以上に相手にはとてもよく伝わってしまうのです。
そしてその不安が相手と自分の気持ちや態度を硬化させてしまうのです。
残酷ではありますが、これはほぼ事実と言ってもいいでしょう。
 
人は気持ちいいと思うものにお金を払ってくれます。
であれば、売るこちら側としてはまず相手に気持ちいい、心地いい状態や空間をまず作り上げたほうが、最終的に買ってくれる確率を上げてくれるはずです。
 
もちろん人が「気持ちいい」と思うトリガーはそれこそ無数にありますし、その時の気持ちにも大きく左右されます。
あまりそんな状態で出会いたくないのが本心ですが、「家族と喧嘩した」とか「二日酔いだ」な状態である可能性だってあるのです。
 
それに極力左右されないように、「売る」立場としてはやっておいた方がいいことはたくさんあります。
 
それは「ターゲットを定める」ことかもしれませんし、「無料であなたの商品やサービスの良さを体験できる機会を設定する」ことかもしれません。
 
ですが、それ以上に第一にやった方がいいことは、「どうしたら目の前の相手が気持ちいい状態になってもらえるか」これを考え抜くこと、そのために日々の仕事を大切に積み上げていくことなのかもしれません。
 
相手が気持ちいい状態になってもらえるように、「こんなことできるはずがない」を覆す大技を決められるように、常に自分のスキルを磨いていきましょう。あなたの「とっておき」を披露できるチャンスはきっと訪れます。
 
私も「とっておき」を披露して相手に喜んでもらえるように、これからも小さいけれど大切な日々の仕事を精進します。
 
 
 
 
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2020-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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