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「普通」の鎧を脱いだとき


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ヨシノアヤ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私を守り固めていたその鎧が、ガラガラと音を立てて崩れ去った気がした。
 
昨年までの2年間、私は留学していた。
その2年間の生活の間に、学校で多くの新たな知識を得たし、様々な経験をした。いろんなところにとにかく出向き、たくさんの素敵な出会いもあった。多くの学びを得た貴重な経験であった。
 
だが、その中で私が得た最も大きな収穫は、「普通」は存在しない、ということを身を以って理解したことだったと思う。
 
「普通は、こうだよね」
「普通は、そんなことしないよ」
「普通は、……」
 
こういった、「普通」をかさに着て相手の言動をやんわり否定する言葉を誰しも一度は耳にしたことがあると思う。「同調圧力」というやつである。
そしてその見えない圧力をかけられて、「そうか……「普通」じゃないことをやっちゃいけないんだ……」と思い込んでしまう人が世の中には一定数いる。
 
私も、その一人だった。
 
そのような言葉を耳にし続けるうちにいつからか、「「普通」にしていないといけない」と思うようになり、自分を周りに合わせるようになった。その一方、ややこしいことに、「普通じゃない」ことへの憧れも、どんどん大きくなっていった。
 
この「普通じゃない」に憧れ、意識すればするほど、皮肉なことに「私は普通だ」と感じる瞬間も増える。そしてその度に、「私は普通」レッテルを自分で自分に貼り重ねることになり、自分でも気づかないうちに「普通」レッテルは堅く重たく、自分の全身を守り固める鎧のようになってしまっていた。この間私は、「普通」はこうしなきゃ、という考えを自分が持っていることにすら、気づいていなかった。
 
知らず知らずのうちにそんな「普通」の鎧で自分を守り固める社会人生活を送っていたが、そんな中、ずっと願っていた留学のチャンスを私は手に入れた。
幼い頃から海外に憧れ、大学時代に訳あって諦めた留学を、社会人になってようやく縁あって叶えることができたのだ。バラ色の生活が待っているに違いない、と胸は高らかに踊った。
 
しかしながら、その高揚感とは裏腹に、最初の1ヶ月は、正直言ってイライラしっぱなしだった。
 
「普通は、日本だったらこうなるのに……」
「普通は、日本人だったらこうやってくれるのに……」
「普通は、……」
 
と、「普通は、(日本に暮らしてたら)こうじゃん」という、日本でしか通用しない「普通はこう」のオンパレードを頭の中でぶち上げ続けていたのだ。
 
しかし当たり前だがここは日本ではないので、その考えが通用するはずもない。
目の前にいる人たちは、それぞれその人自身の「普通」を持って暮らしている。
 
そのことにハッと気づいたとき、自分がすごく小さな世界での「普通」の鎧を足元からつむじの先までまとっていたことに初めて気づいた。
 
私の考えていた「普通」は、これまで自分が生きていた狭い世界の中にしかなかった。
 
だから、目の前にいるアメリカ人もスウェーデン人もインド人も、隣国に暮らす韓国人ですらも、「普通」だと思うことは絶対に違う。それどころか、同じ日本人であっても、ずっと現地で暮らしている人と来たばかりの留学生とでは考え方はまるっきり違う。
 
私が知らない間に日本でまとってきたこの重たい「普通」の鎧は、日本を一歩出た瞬間に何の意味も持たなかった。
そのことに気づいた瞬間その鎧は音を立てて崩れ、そこで初めて、自分が鎧を着ていて、それをいま脱ぐことができた、ということに気づいた。
 
ひとりひとりがそれぞれの「普通」を持っている。たったひとつの「普通」はない。
共通認識がない分全てを言葉で説明しないといけないが、説明していく中で違いを把握でき、把握できた違いは、埋めていくことができる。
 
そうやって、いちから「お互いに違う」と認識して接する生活をすることで、かつて日本で感じていた「普通」と思われるものはどこかに消え去り、そもそも日本で暮らしていても「普通」というものはない、ということに気づいた。気づかないうちに鎧を脱ぐことができたのだ。
 
北風と太陽でいうと、留学は太陽だ。
当の私ですら気づかないうちに、私の「普通」の鎧を脱がせてくれた。
「個性を持て」と今の時代言われて久しいが、個性を持たせないように育て上げられた社会に生きる人たちから言われても、北風に吹きさらされているようなものだ。
 
個性とは、周りの個性ある誰かの真似をするのではなく、自分の内面から溢れ出るものをそのまま溢れさせることで出てくるものだ。かつての私のように、自分が内面から何かが溢れ出るのを食い止めている、という読者の方はたくさんいるのではないか。そのような方は、溢れ出させたいことにこれまで気づいてすらいなかったはずである。
これを読んでソワソワしてしまったあなた。間違いなく、溢れ出させたい何かがあるはずなので、ぜひ将来の選択肢のひとつに留学、もしくは海外で暮らすことを入れてもらい。
その先の未来は、確実に違うものになると、筆者は保証する。
 
 
 
 
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2020-05-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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