メディアグランプリ

サバゲーはアートである。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:安達 悠樹(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
「残ったのは、俺達だけのようだ」
後方を警戒している相棒が、呻くように呟いた。
「そんな! 敵はまだ沢山いるのに」
バリケードにした、廃車の窓から正面を伺う。
こちらに向けられた、無数の銃口が目に入る。
「どうしよう、位置がばれてる」
下手に顔を出せば、たちまち銃火にさらされてしまう。
このまま身を潜めていても、囲まれるのは時間の問題だ。
どうする、どうすれば――。
 
これは遠い異国の出来事ではない。舞台は現代の日本である。
「サバイバルゲームフィールド」という、遊び場で繰り広げられる……。
 
そう、遊びなのです。
「サバゲー」こと、「サバイバルゲーム」の話。
名前だけは知っている。何となくイメージが思う浮かぶ、という方も多いのでは?
あれです。エアガンという玩具の銃で、互いに撃ち合う遊びです。
これだけ聞くと、何とも物騒ですね。
ですがルールを守りさえすれば、安全なので御安心を。
 
私が「サバゲーやってます」と言うと、多くの人が眉をひそめます。
「危ないやつ」
「いい年して、そんな遊びを……」
彼らの胸中を確かめるすべはありません。
ですが、概ねそんな印象を抱いているのではないでしょうか。
かく言う私も、友人に誘われて参加するまでは、同じような反応をしていました。
それは過去に起きた、エアガンを使った犯罪が原因なのかもしれません。
はたまた玩具とはいえ、銃器を扱うことに対する忌避感なのでしょうか。
 
しかし参加してみると、そんな負の印象を忘れてしまう程、楽しかった。
日常生活では、まず味わえないスリルと高揚感。
映画や漫画の登場人物になったかのような、錯覚に陥りました。
 
意外だったのはルールが整備され、安全管理に力を入れているという点でした。
 
まず場所ですが、「ゲームフィールド」と呼ばれる有料施設で行われます。
周囲から隔絶された空間で、参加者以外の一般人に迷惑をかけない配慮ですね。
 
そして基本ルール。
敵味方の勢力に分かれての撃ち合いです。
勝利条件は敵陣地にある目標への到達、または敵戦力の殲滅。
個人の敗北条件は「身体または、自身の装備品にBB弾が触れること」です。
この自身への着弾に対する判定ですが、なんと自己申告で行われます。
 
「え? じゃあ、いくらでも誤魔化せるじゃないか」
そんな疑問が飛んできそうです。
でも、そうはいかない。
そのような不正は、「ゾンビ行為」といって大変嫌われます。
やろうと思えば、いくらでもできるのでしょう。しかし他人の目がある。
同じ参加者や、スタッフが目を光らせているのです。
 
度が過ぎるとスタッフから指導が入り、悪質な場合は強制退場もあります。
サバゲーは、一人では出来ません。相手がいてこそ成立する。
なので参加者の大半は、ルールを順守する紳士・淑女ばかり。
例外はあるとしても、常識人が多いように感じられます。
 
「スポーツ」と「ごっこ遊び」の両面を合わせ持つサバゲー。
もう一つの側面として、「自己表現の場」とも言えるのではないでしょうか。
 
サバゲーの恰好は自由度が高いのです。
安全の為に着用する保護ゴーグルなど、必須の装備さえ身に着ければ、後は自由。
実在する軍隊の装備を忠実に再現する人、カッコイイですよね。
機動性を重視して、スポーティーな軽装で臨む若者もいます。
アニメや漫画のコスプレをした女性、被り物や着ぐるみで参戦する強者もいました。
「いや、そんなん動きづらいでしょ」
御意見ごもっとも、でも本当にいるのだからしょうがない。
参加者のコスチュームを見ているだけでも、大変楽しいのです。
 
武器についても、個性が現れます。
国内・海外メーカーを含め、流通しているエアガンの種類は膨大です。
その中から一つを選ぶ。個人の趣味趣向が、かなり反映されます。
カスタマイズして、自分だけの一丁を創ることも可能です。
まるで、プラモデルを組み立てるような楽しさ。
全くの別物に改造してしまう、猛者もいるほどです。
 
戦い方や取り組み方も、十人十色。
とにかく突撃して、最前線で暴れ回るも良し。
最後方に、守護神の如く陣取るのもあり。
相手の裏をかこうと、隠密活動に徹するのも良いでしょう。
実用性に乏しい武器を、あえて使うのも面白い。
技術を磨き、勝利を追求する人もいるでしょう。
 
ルールとマナーさえ守れば、格好も戦法も自由自在。
好きに着飾り、思うままに動き、なりたい自分になる。
さながら一つのアート作品として、自分自身を表現できるのです。
 
様々な側面を持つ、サバイバルゲーム。
 
興味を持たれた方は、いらっしゃるでしょうか?
もし居られたなら、一度、体験してみては如何でしょう。
思いもよらぬ自分自身の姿が、描き出されるかもしれませんよ。
 
 
 
 
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2020-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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