合法トランス「ととのう」
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:富山 有樹(ライティング・ゼミGW集中コース)
突然だが、みなさんは「ととのう」という言葉をご存知だろうか。
「整う」ではなく、「ととのう」だ。
ざっくりいうと、
「あーーーーーーーー超気持ちいいッ!!!!! マジ極楽!!! 生きてて良かった!!!」
という状態だ(本当に)
経験したことがある方もいるかもしれないが、
「ととのう」は、サウナと水風呂を交互に入ると起こる状態を指す。
これは、温冷交代浴(あるいは交互浴)と呼ばれる入浴法で、
多くの効果・効能を得られることで知られている。
専門書籍が発売されるなど近年注目を集めている。
自律神経の改善、疲労回復、快眠効果、美肌効果、冷え性改善――。
どんだけ効果あんねん! 関西人のわたしはそんなツッコミをしたくなる。
現代人の疲れた心を癒す最高の快楽ツールのといっても過言ではないだろう。
職場に一人はいそうなサウナ大好きおじさんは、これにハマっているのだ。
「ととのう」のメカニズムを、医学的に解き明かそうとする研究も存在する。
詳細は割愛するが、「ととのう」はいくつかの脳内ホルモンが分泌することで引き起こされており、それによって疲労感の軽減や精神の安定などにつながることが証明されている。
長時間走り続けると気持ちよくなることで有名な「ランナーズ・ハイ」に似ているらしい(もじってサウナーズ・ハイという造語も存在する)。
しかし、一種のトランス状態ともいえる快楽自体については、
まだ研究途上の段階でハッキリとした答えは証明されていないらしい。
「ととのう」 イズ 摩訶不思議。
わたしが「ととのう」に出会ったのは数ヶ月ほど前だ。
転職をしたばかりで、慣れない環境や業務に少しストレスがたまっていた。
毎日の睡眠は必ず6,7時間はとるようにしていたのだが、
朝起きるとどうにも疲れがとれていない。
肉体的にも精神的にも、倦怠感がつきまとう日々が続いていた。
なにもかも忘れて、ぱあっとハイになりたい……。
(ダメ。ゼッタイ。以外の方法で)なにか良いのはないものか。
そんなときに、たまたま「ととのう」について書かれたネット記事を読んだ。
物は試し。
早速、自宅から徒歩10分のところにあるスパに行ってみた。
入浴料500円、サウナは別料金400円、バスタオル200円。お会計1,100円。
リストバンドを渡された。
個人的には驚きのシステムだったのだが、
リストバンドにはICタグが内蔵されており、飲食やマッサージなど、
館内で利用できる別途サービスの料金はすべてそのICタグに記録される。
そして、帰る際に後払いで支払いをする。
なるほど、帰るまで財布はロッカーの中に閉まっておける。
入浴後は気が抜けてしまうので、財布の紛失が多いのかもしれない。
キャッシュレス化の顧客体験がよく考えられているなと、感心した。
浴場は多くの人で賑わっていた。
体を洗う場所は満席で、空くのを待つ列ができていた。
20代のわたしと同世代であろう若い人も多い。
こんなに人気だったのか……。
現代社会におけるサウナ人気を、まざまざと見せつけられる。
ちゃちゃっと体を洗う。
10分ほど湯船に浸かる。
――さあ、お目当てのサウナへ。
扉を開けた瞬間、粘度の高い熱い空気が体の前面に直撃する。
さながら、先制ジャブを食らったボクサー。
少しウッと思いながらも、順応せざるを得ないその環境に、身も心も一気に引き締まる。
ダラダラと汗を垂れ流す男たちのなかに、わたしは身を投じた。
90℃弱。室内の温度計が指し示す。
顔から、首から、胸から、腕から、足から、陰部から。
全身のありとあらゆる場所から、自然と汗が噴き出す。
こんなにも汗をかくのはいつぶりだろうか。中学の剣道部ぶり? あれは凄かった。
はじめてのサウナでもないのに、辛かった剣道部の練習をふと思い出す。
サウナ1回の目安は10分前後らしい。
サウナタイマーに目をやる(針が12分で1周する特殊な時計だ)。
そろそろ10分。あと2分、1周するまで頑張ろう。
全身が火照る。ああ、シンプルに暑い。
少し辛くなってきた。
無意識に頭が垂れる。
そろそろだ……。
じゅう
きゅう
はち
なな
ろく
ご
よん
さん
に
いち
――ぜろ!!!
水っ! 水っ! 水っ!
※水風呂に入る前は、必ずシャワーで汗を流すこと。
水風呂へ向かう。
温度計は12℃を指している。
恐る恐る膝まで浸かる。
うお、なんだこれ、半端なく冷たいぞ……。
直立不動で膝を曲げるのに躊躇していると、少し周りの視線を感じた(気のせいだ)。
ビビッてなるものか。
えいやっ! 一気に首下まで体を落とす。
するとどうだろう。
――わたしは「ととのった」のだ。
その日を境に、わたしは週3,4回はスパに通うようになった。
緊急事態宣言が解除された暁には、
是非「ととのう」を実際に体験していただきたい。
一度でいい。騙されたと思って。
ハマってしまったなら。
ようこそ沼へ! と大いに歓迎しよう。
<補足>
自宅でも「ととのう」の体験が可能だ。
わたしは家に湯船がないためやったことがない。
早々に「ととのう」を味わいたい方は、
『ととのう 自宅』で検索して調べてみてほしい。
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