メディアグランプリ

愛ある上司よ、永遠に!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田岡英明(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
「田岡の今の仕事に役立つ本を読んだから送るぞ。がんばれ!」
 
これは私が“愛ある上司”と呼ぶ、高橋進さんから送られてきた最後の本に添えられていた言葉だ。高橋進さんは私が新卒で入社した製薬会社で初めて配属された営業所の所長だった。
キャリアの世界では、新人として入社して、最初の3年間携わった上司が、その後のキャリアを決めていくと言われている。その上司がキャリアを上に上げてくれるという意味ではない。最初の3年間携わった上司から学んだことが、その後のキャリアを創っていくという意味だ。私も高橋さんから多くのことを学んだし、今のキャリアに繋がっている。
 
皆さんは、最初の上司を覚えているだろうか?そして、どんなことを学んだのだろう?優しい上司もいただろうし、思い出したくもない厳しい上司もいただろう。優しい上司だからいい、厳しい上司だったからダメといったものではない、その3年間に上司から何を学んだのかが大切なのだ。優しい上司は親切にいろいろ教えてくれるが、自分で考えることをしなくていいので成長が鈍かったかもしれない。逆に、厳しい上司だったおかげで、いろいろ自分で考えることをした結果、成長が早かったかもしれない。自身として何を学んだかだ!
 
高橋さんは、どちらかと言うと優しい上司だった。ただ、優しいだけではなかった。そこには“愛”があった。常にメンバーのことを気にかけ愛していた。
ある時、私は仕事で辛いことがあり、やる気を失っていた。そして、それが仕事の姿勢にも現れていたのだろう。高橋さんから、こんな一言をもらった。
「田岡、どうせやらなければならない仕事なら、楽しくやった方が得なんじゃないか?どうせその仕事やるんだろ!」
ハッと気づかされた。今でこそ心理学の世界ではよく言われるが、物事に色をつけているのは自分自身である。その色の付け方は自分次第なのだ。どうせやらなければならない仕事なら楽しくやった方がいいに決まっている。その日からこれまで、この考え方は私の軸になっている。休み明けの月曜日の出社が辛くなってしまう“ブルーマンデー症候群”等と言う言葉があるが、この高橋さんからの言葉のおかげで、毎週月曜日を楽しく迎えることが出来ている。
 
また、こんなこともあった。とあるメンバーが営業成績で悩んでいた。そのメンバーのことを高橋さんに、「あいつは営業センス無いですからね~何をやらしてもうまくできない」と毒づいた先輩がいた。その時は、さすがの高橋さんも怒った。
「○○!営業マンで自分の成績を落とそうとして、お客様周りをしている奴なんて一人もいないんだぞ!皆、一生懸命やっている。そんなこと言っていないで、育てろ!」
そばで聞いていた私は、これまたハッとさせられた。確かにそうだ。営業成績を下げたかったら訪問しなければいい。ただ、そんなことを思っている人は1人もいない。皆、営業成績を上げようとお客様を訪問しているのだ。高橋さんは、部下一人ひとりを信じて愛しているのだ。
 
そんな高橋さんも定年を迎え、製薬会社を退職した。そして、僕も2014年に長年勤めた製薬会社を卒業し、人材育成の道に進んでいる。高橋さんとは、年賀状のやり取りはしていたが、会うことは少なくなっていた。
しかし、ふとした瞬間に高橋さんから本が届く。昨年は佐々木圭一さんの「伝え方が9割」がメッセージと共に送られてきた。冒頭の「田岡の今の仕事に役立ちそうな本を読んだから送るぞ。がんばれ!」だ。不思議と仕事で悩んでいると本やメッセージが高橋さんから届くのだ。自分の今の状況を見透かされているようだった。
なぜ、こんなことが出来るのだろうと不思議に思っていたが、理由は一つしかない。
 
「部下を愛している」からだ!
 
そんな高橋さんも2019年に病気でお亡くなりになった。とても悲しかった。全国から高橋さんにお世話になった方々が弔問に訪れていた。そして皆、「仕事や人生で悩んでいると、高橋さんから不思議と本やメッセージが届くんだよな。ほんとにお世話になりっぱなしだったな!」と言っていた。
僕だけではなかったのだ。
すべてのメンバーに対して同じようなことをしていたのだ。
すべての部下を愛していたのだ。
 
やっぱり、すごい上司だった!
 
私は研修講師の仕事をしている。そして、管理職向けの研修がほとんどだ。これまで5000人を超える管理職の皆さんにお会いしているが、残念ながら高橋さんのような愛ある上司には巡り合っていない。時代は移り変わり、混迷の時代を迎えている。これからはますます愛ある上司が必要だ。そして、私は高橋さんから学んだことを、次の世代を担う上司の皆さんに伝えていきたい。
 
“愛ある上司よ、永遠に!”
 
 
 
 
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2020-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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