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メディアグランプリ

まだ間に合う! あなたが知らないところで進行している、究極の大河ドラマを見逃すな。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:タカシクワハタ(ライティング・ゼミGW集中コース)
 
 
最近は毎週末を家で過ごしている。
それほど苦痛ということもないが、
やはりどこか手持ち無沙汰な気がする。
ただ、一つだけ、良かったことがある。
今まで知らなかった世界に触れられたことだ。
 
例えば僕の場合はコーヒーをきちんと淹れること。
それが未知の世界であった。
以前はインスタントコーヒーで済ませていたのを
今はきちんと粉から淹れている。
あつあつのお湯で、コーヒーを蒸らす。
すると、コーヒーに命が吹き込まれたように
いい香りがしてくる。
そしてドリッパーの円の真ん中から
そっと「の」の字を描くようにお湯を注ぐ、
フィルター状のコーヒーにお湯が触れると
細かい白い泡ができる。
そしてコーヒーがカップの中に落ちる音が聴こえてくる。
2度、3度とお湯を注ぐと
やがてカップは脳褐色の液体で満たされる。
こうして時間をかけて、味覚、嗅覚、視覚で
コーヒーを楽しむ。その時間がなんとも愛おしく、楽しい。
今の状況がなければ、おそらくこんな楽しみを知ることがなかっただろう。
 
ふと、思った。
同じように、僕は知っているけれども
他の人は知らないような世界もあるだろう。
そして、今はそのことを知ってもらうチャンスなのかもしれない。
そうだ、誰かが僕にコーヒーの素晴らしさを教えてくれたお礼に、
今日は、僕も誰かにとってまだ知らない世界を紹介してみようと思う。
 
プロ野球、サッカー、大相撲。
今、多くのプロスポーツ興行は自粛に追い込まれている。
その中で、無観客であるが、興行を続けているものもある。
その一つがこれから紹介する競馬だ。
 
「なんだ、ギャンブルかよ」
はい。今そう思いましたね。確かにそう。
競馬新聞、赤鉛筆、おっちゃんの集団。
そんな風景が頭に浮かんだことであろう。
確かにそうだ。
そのようなギャンブル性も競馬の魅力の一つであることは否定しない。
ただ、競馬の魅力はそれ以外にもたくさんある。
それを知らないのは非常にもったいない、と僕は思うのだ。
実は競馬場では、
毎週毎週大河ドラマのような因縁のドラマが繰り広げられている。
そう言われたら少し気にならないだろうか?
こんな感じでイメージして欲しい。
信長や、秀吉や、家康や、
武田信玄や、上杉謙信などの戦国武将が父親で、
その子供たちが再び戦国時代を戦っている。
つまり少数の活躍馬が種馬となり、子孫を残していく。
その子孫同士の戦いが競馬なのである。
ちょっとドキドキしないだろうか?
秀吉の子供が家康の子供を倒す、とか
武田信玄と上杉謙信の子供達がまた戦うとか。
そんな夢のようなストーリーが全国のどこかで繰り広げられているのだ。
 
さて、これから競馬を始めようとする皆さんは本当に運がいい。
実はちょうど今、とんでもないドラマが進行しているのだ。
 
2月の京都競馬場だった。
いつものように団子状態で4コーナーに馬が密集する。
その馬は外に進路を取り最後の直線コースを走る。
鞍上の騎手が合図を出す。
ひゅん。
その馬はギアチェンジをしたかのように加速し、
他の馬を置き去りにしてゴールした。
強い。
30年間競馬を見ているが、これは強い馬の走りだ。
僕はその馬の名前をチェックする。
デアリングタクト。3歳の牝馬だ。
こういう時、競馬ファンは大体血統をチェックするのが習性だ。
お父さんはエピファネイア。
お母さんはデアリングバードという名前の馬だった。
何か引っかかる。
すると重大なことに気づいた。
エピファネイアのお母さん、シーザリオ。
デアリングバードのお母さん、デアリングハート。
同じレースに出ていなかったか?
そうだ。桜花賞。3歳馬春のナンバーワンを決めるレース。
それの2着がシーザリオ、3着がデアリングハートだ。
これは極めて珍しい。
父方と母方の祖母が同じ大レースで2、3着。
人間で例えれば、おばあちゃんが
オリンピックの陸上100メートルの銀メダリストと銅メダリストで、
自身もこれからオリンピックの100メートルに出場する。
どれだけ珍しいことかわかるだろう。
孫娘が、おばあちゃんたちの叶えられなかった夢を果たす。
こんなストーリー、あまりに出来すぎだろう。
でもあの走りを見たらこのストーリーを信じずにはいられない。
僕は久しぶりに胸を踊らせて桜花賞の日を待った。
 
桜花賞当日。阪神競馬場は大雨が降っていた。
この天気はまずい。
デアリングタクトのようなラストスパートをかける馬には
雨でぬかるんだコースは非常に不利だ。
レースが始まるとひゅっと2頭が飛び出し、
残りの馬を引き離して走り始めた。
デアリングタクトは馬群の真ん中。いつもの位置だ。
4コーナーをカーブした。
先頭の2頭は相変わらず気持ちよさそうに走っている。
まずい。これは逃げ込まれるぞ。
そう思ったその瞬間、画面の外側から
一頭の馬が水しぶきを上げて猛追してくるのが見えた。
デアリングタクトだ。
残り100メートル。デアリングタクトは
信じられない勢いで追い込んでくる。
まるでおばあちゃん2頭が背中を押している。そんな走りだ。
そしてゴール寸前。間に合った。
デアリングタクトが勝った。
祖母の果たせなかった夢を叶えるストーリーが、今、完結したのだ。
 
このようなレースはなかなかお目にかかれない。
ただ、戦国武将を知れば知るほど歴史が面白くなるように、
血統を知っていくと競馬は面白くなっていく。
知識量と感動が正比例する、
やりがいのある趣味であることは間違いない。
決して一過性のものではない、
長く付き合える趣味となることをお約束できるだろう。
 
ちょっと気になる。
もしそう思ったのなら一ついいレースがある。
5月24日、東京競馬場。
優駿牝馬競走、別名をオークスというレースだ。
このレースが、デアリングタクトのストーリー第2章。
今度はおばあちゃんの勝ったレースを自分も勝つという
ストーリーが用意されている。
でもそのストーリーが成就するかはわからない。
ひょっとしたら下克上が起こるかもしれない。
そのストーリーの結末は是非ご自身で確認してみて欲しい。
 
 
 
 
***
 
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2020-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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