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外見と中身のギャップを埋めたいと思ったら

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤原 千恵(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「くるくるのパーマがかけたいんです、根元から、くるくるの」
私は、いつもの美容師さんにお願いした。
「……え? 急だね。まぁ、いいと思うけど(本当にかける?)」
美容師さんの心の声が透けて見えるような返答に心が折れそうになったが、私は続けた。
「今、かけてみたいんです」
 
それまでの私の髪は、月1でカラーはしているが、ケアは割としっかりしていたので、ほぼダメージのないサラサラな髪だった。
少しうねりのある癖があるが、それでも扱いにくいほどではなかった。
可もなく不可もないようなボブヘアで毎日暮らし、髪の艶が少しでも保てるように毎日ケアをしたりして、私は見た目の「きれい」を作っていた。
 
そしてある日、ふと気がついた。
 
私、こんなに、きれいじゃない。
 
もうすぐ30代も半ばに差し掛かる1人の女だ。結婚しているが、子どもはいない。
今まで仕事も友人関係も恋愛においても、泣いたり怒ったり笑ったりして、その度に心も身体もそれなりに傷ついてきた。
それなのに、なぜ私は「髪だけ」こんなにきれいでいようと思っているのだろう。
 
心の中と見た目(髪)にギャップがある。
何だかとても、とても居心地が悪く感じた。
 
昔から「髪は女の命」と言われているほど、髪は女性にとって大事なものだ。
たっぷりとした長い髪に艶が宿っているだけで、その女性は魅力的で「女らしく」見える。
同じ女性の立場から見てもとても羨ましく、手入れの行き届いた髪は惚れ惚れしてしまう。
 
それでも、だ。
それでも、私は「何か違う」の違和感と戦っていた。
私は童顔でほぼ全てのパーツが丸いので、一見やわらかく優しく見られることが多い。
ただ、家族や身近な友人からは「見た目と中身のギャップがある」と言われることが多かった。
見た目はやわらかく優しい、でも中身はそうではない面も大いにあるということなのだ。
自分が1番気付いている違和感を、周りもやはり気がついていた。
 
ギャップをうまく使いこなしている人に出会うと、とても羨ましく、その人の魅力につながっているなと思う。
私はというと、自分自身のギャップに自ら戸惑ってしまい、だんだんと混乱して疲れてくるので、どうもまだ使いこなせていない。
 
それならば、見た目の印象に中身を寄せていくのではなく、そのままの私(中身)に外見を寄せてもいいのではないか、と思った。
私は何も知らない無垢で純粋な子どもではなくなった。
だから髪だって少しは傷んでいても、好きなヘアスタイルで心から笑っていた方が「自分らしさ」が表現できるのでないか。
 
そして私は、くるくるパーマをかけようと思ったのだ。
明るめのヘアカラーの上からハードパーマをかけたので、案の定とても傷んだ。
美容師さんはハラハラしていたが、頭にトイプードルを飼っているかのようなボリュームのある髪型が気持ちにぴったりだった。
きれいじゃない、まっすぐでもない、でもこれが私なんだと心から思えた。
 
「似合う髪型」に自分を寄せていくよりも、自分が「したい髪型」でいる方が、なんだかとても身軽で肩の荷が下りたような気がした。
何も背負うものはないはずなのに、こうしなくちゃいけない、という呪縛のようなものを無意識に自分にかけていたのかもしれない。
優しい人でいなければいけない、反論をしない柔らかい人でいなければいけない……
その思い込みは、誰のためのものだったのだろう。
 
「ほんとうの自分」というとなんだか難しく考えがちだが、それはきっととてもシンプルで、いつも更新されていくものだと思っている。
今は魚が食べたいけど、数時間後にはお肉が食べたい、と気分も気持ちも変わっていくのが自然だ。
顔の造形はすぐには変わらないが、心は変化していく。それなら、心に合わせた髪型をしても何もおかしいことではないと思う。
 
私が思い浮かべる憧れの女性たちは、普通の髪型をしていてもそうでなくても、心がとても自由でユニークな人ばかりだ。
それは自分軸のようなブレない何かが、外見に「余裕」として滲み出ているから、どんな髪型をしていようと、その人の「スタイル」にぴったりハマっている。
それ故に、相手に違和感を感じさせないその人らしさになっているのだ。
 
私はくるくるパーマをかけて、心と見た目を少しだけ近づけることができたが、もうしばらくしたらやっぱり今までのサラサラボブヘアに戻っているかもしれない。
それでも、一度自分の枠を超えた結果であれば、行き着く先は前とは違うのでないかと思っている。
パーマをかける前と後では、もう同じ自分ではないと思える。
 
もし中身と外見のギャップに違和感を覚えているのなら、一度自分のしたいように外見をガラッと変えてみることをおすすめしたい。
万が一気に入らなければ、元に戻せばいいのだ。切ってしまっても、髪は伸びるし、意外とその自分に慣れるものだ。
 
自分に正直にズレがなく生きていくための術は、毎日をご機嫌で過ごすための知恵として、日々更新しつつストックしていきたいと思う。
 
 
 
 
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2020-05-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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